最終更新日:2023年3月28日
ここから本文です。
司会:
それでは、ただいまより3月2回目の市長定例会見を始めさせていただきます。
市長、よろしくお願いします。
久元市長:
よろしくお願いいたします。
今日お話を申し上げたい案件は、コロナの関係とネットモニター、それから津波対策の3件ですけれども、その前に、昼のニュースなどで報道されておりました遺留金に関する総務省の勧告に関する事柄について、少しお話を申し上げたいと思います。
残念ながら、孤立・孤独が進んでいまして、独り暮らしの高齢者の方など、身寄りのない方が亡くなられて、誰も葬儀をする人がいないというような場合には、自治体が埋葬をすると、火葬にして埋葬するということになります。
その関係で、自治体に対して残されたお金が、金品が委ねられることになります。もう少し制度に則って言いますと、相続人や親族、遺言執行者など、葬祭を行う者が明らかにならない場合には、これは自治体が葬祭を行うことになるわけです。そして警察、あるいは独り暮らしの方が入っていた施設、あるいは病院などから金品が、福祉事務所がある自治体に持ち込まれることになるわけです。これが遺留金と呼ばれているものです。
この遺留金につきましては何の根拠もない状態でして、私は市長に就任以来、遺留金の問題には強い問題意識を持っておりました。これはなかなか関係省庁との折衝にも苦労したんですけれども、やはりこれは放っておけないということで、神戸市が独自に神戸市遺留金取扱条例という、とにかく法律に根拠がないのであれば、法律に違反しないという前提で条例をつくることにいたしました。平成30年4月1日に神戸市遺留金取扱条例を施行いたしました。
遺留金の取扱いについて、今回、総務省行政評価局の行政評価の一環としての勧告だと思いますが、総務省が厚生労働省と法務省に対して勧告を出しまして、遺留金の取扱いについての法的根拠をしっかりと示すようにと、こういう勧告が出されたと。詳細は必ずしも報道ベースでしか仕入れていませんので、明らかではありませんが、そういう勧告が出されたということだと思います。この点につきましては、こういう取扱いを行ってきました神戸市として、総務省のこの勧告は歓迎したいというふうに思います。
現在の遺留金の状況がどうなっているのかということを少し説明させていただきますと、遺留金取扱条例では、それまで遺留金の管理に関する根拠がなかったわけですが、その根拠を条例でつくる。そして、この条例で歳入歳出外現金として保管をする。いわゆる歳計現金というわけですが、自治体が使えるお金というのは、これは原則として全て予算に計上して、予算に基づいて執行されることになるわけですが、予算に計上されない歳入歳出外現金という制度が地方自治法にありまして、この中に位置づけるという、そういう条例の取扱いにしたわけです。
そして、自治体が預かる、その遺留金の根拠がここで明確になりましたので、遺留金は、これは自治体の財産ではありませんが、しかし、この条例に基づいて、身寄りのない方の相続人が果たしておられるのか、おられないのかという調査、これに充てることができると、こういう根拠をつくったわけです。そして、この調査費用に対して、なお残余の遺留金がある場合には、相続財産を管理する相続財産管理人の選任申立てに必要な費用に充てることができると、こういうような規定を設けたわけです。
この遺留金が現在どういう状況になっているのかといいますと、2022年3月31日時点、去年の2022年度の年度末で、遺留金の額は1億3,800万円余りになっております。ただし、この中には5,000万円の遺留金が一旦持ち込まれ、その後、遺族が判明いたしまして、遺族に返還した5,000万円のケースがありますので、実質的には8,800万円余りという金額です。これは年々増えておりまして、相当な額になっているということです。
同時に、遺留金が持ち込まれる根拠というのは、これは墓地埋葬法等に基づきまして、神戸市が火葬を行うというケースから発生するわけですが、この墓地埋葬法等に基づいて神戸市が行う火葬の件数は597件ということに上っております。そして、597件に要した費用は1,300万円余りでして、そこから後で遺族が判明いたしまして、遺族から、弁償金というふうに呼んでおりますが、弁償金が支払われ、この額を除きますと、実質的に神戸市が身寄りのない方の葬儀に、火葬などに要した費用は1,100万円余りという金額になっております。
こういう形で遺留金取扱条例を制定したわけですが、今後、この総務省の勧告に基づきまして、厚生労働省、そして法務省で検討がなされる、その検討内容に期待をしたいというふうに思います。そして、できることならば、この遺留金、自治体が管理している、神戸市が管理をしている遺留金から、火葬に、それから埋葬に要する費用に充てられるようにしていただきたいというふうに考えております。
とりあえず、先ほどそういう報道に接しましたので、遺留金に関する現状と課題につきまして、お話をさせていただきました。
それでは、ほかの項目ですけれども、コロナウイルスの関係です。
感染は今日の発生が20人ということで、かなり減ってきて、低い水準になっています。
現在の医療提供体制はフェーズⅢということで、病床使用率は15%、重症者の方はなくなりました。
そして、ワクチンの接種状況ですけれども、市の人口に対するオミクロン株対応ワクチンの接種実績は41.1%ということで、若い世代になるほど接種率が下がるという傾向は従来と変わってはおりません。
そういう中で、5月8日から感染症法上の取扱いが2類から5類に移行するということになります。この点につきましての国の方針を踏まえた神戸市の考え方、5月8日に移行いたしますので、5月8日からの対応につきまして、お話をしたいと思います。
まず相談窓口ですけれども、外来や救急への影響緩和のために自治体の受診相談機能は継続するということになっております。これを踏まえ、健康相談窓口は継続いたします。外国人の検査相談コールセンターは終了いたしまして、健康相談窓口に統合いたします。神戸市が独自に設けている後遺症相談ダイヤルは継続いたします。
自宅療養者への支援といたしましては、国の方針では、外出自粛要請が終了するので、食事やパルスオキシメーターなどの物資の支援は終了するということで、神戸市は自宅療養の方に対するケアを行う自宅療養フォローアップセンターを設けておりますが、これも国の方針を踏まえ、終了いたします。それから、自宅療養者の方の受診相談につきましては、継続する健康相談窓口で受け付けることといたします。
それから、個々の要請者についての発生届は、発生届自体がなくなりますので、健康フォローアップセンターの陽性者の登録機能も終了すると。神戸市はこの方針に基づいて、オンライン確認センターを設け、そして、相談をいただいた方に対しては検査キットの配布、あるいは検査キットによる陽性判定者の方に対する保健所の医師による確定診断や市販薬の配布などを行っておりますが、こういうような業務は終了することになります。
それから、入院調整につきましては、軽症者の方から病院間での調整に移行する、現在は保健所が行っているわけですが、移行いたしまして、秋以降は重症者も医療機関の間での調整に移行するというのが国の方針です。そこで、神戸市も軽症・中等症の患者は5月8日以降、医療機関間での調整に移行いたしまして、重症患者につきましては、当面は引き続き保健所が調整を行います。
宿泊療養施設につきましては、隔離目的の療養は廃止するということ、それから、高齢者などの方が療養していくための施設は、一定の自己負担を前提に、自治体の判断で9月まで継続するというのが国の方針で、こういう方針を踏まえまして、要介護高齢者などの療養のための宿泊療養施設は2施設、すなわちニチイ神戸ポートアイランドセンターの宿泊棟と、神戸メディケアセンタービルの6階、この2施設については当面継続をするということにいたします。
それから、高齢者の施設などへの対応ですが、重症化リスクが高い高齢者が多く生活している高齢者施設等につきましては、引き続きの措置は当面継続するという方針で、そういうことから、神戸市が実施をしております職員への定期的検査、これも当面継続いたします。陽性者が発生した施設におきましては、施設の意向確認をした上で、同一フロアの方に対する検査は当面実施するということにいたします。これが国の方針を踏まえた当面の対応です。
以上がコロナの対応です。
2つ目に、ネットモニターを高校生まで拡大したいというふうに思っております。
市民の皆さんの意見を市政に反映させる、そして、神戸市として様々な施策や事業を実施していく上で、市民の皆さんがどう考えておられるのかということを知りたいケースがあります。そういうような神戸市からの要請に応えていただく上で、ネットモニターという制度を設けております。これは、事前に登録をしていただきまして、月に1回から2回程度、神戸市の方からインターネットでアンケートを行って、回答していただくという、そういう対応を行っていただく方々です。
これまで、例えば神戸市歌やワクチンへの対応、マイナンバーカード、スタートアップ支援、地域活動への参加、救急安心センターこうべ(#7119)など、いろんなアンケートを行ってきました。このネットモニターに対してアンケートを行いますと、このアンケートの質問を送ってから集計するまで、大体1か月程度でできるということで、タイムリーに、そしてスピーディーに市民の皆さんの意見が把握できることになります。また、デジタル世代の意見把握にも効果的で、若年層の意見も分かるということになります。
2022年度、現在、6,000人程度の方に登録をしていただいております。こういうネットモニターのアンケートを実際に市政の判断の参考にさせていただいたというのは、「しあわせ運べるように」というのを2つ目の神戸市歌とするということについては、半分近くの方が「よいと思う」ということでしたので、これを2つ目の神戸市歌に指定いたしました。一昨年の1月17日に指定をいたしました。この前提として、その前に、そもそも今の神戸市歌、これは昭和26年に制定された神戸市歌ですけれども、市民の皆さんが知っているか、あるいは歌いますかということについては、ほとんど歌えない、ほとんど知らないという方が圧倒的でした。そういうことで、この「しあわせ運べるように」を2つ目の神戸市歌にするということはどうなのかということを問題提起して、こういうような反応があって、神戸市歌に指定をすると、こういうふうにしたわけです。
また、コロナ禍も幾つか質問をいたしまして、例えばワクチンの接種についてどんなことが知りたいかというと、56%がワクチンの安全性、あるいは副反応について知りたい、あるいは効き目について知りたい、受けられる時期について知りたいということでしたので、副反応や安全性に関する情報を神戸市のウェブサイトの中でさらに詳しく掲載するということにいたしました。また、自由意見では、ワクチンを接種するときに託児できるようにしてくれれば接種しやすいという意見もありましたので、大規模接種会場ノエビアスタジアムではキッズスペースを設置するというふうにしたわけです。これは1つの例ですね。
このネットモニターは約6,000人いらっしゃるわけですが、多いのは40代、それから50代ということになっております。半分強が40代、50代ですね。そして、30代、60代、そして18歳から20代は6%ということにとどまっておりまして、70代以上も10%ということで、必ずしも平均の年代別割合というのに比例する必要はないというふうにも思いますけれども、やはり10代の皆さんにもうちょっとネットモニターになっていただいてもいいのではないかというふうに従来から考えてきました。
最近、高校生の皆さんと意見交換をする機会が複数回ありました。県立兵庫高校の皆さんとSDGsなどについての議論をし、質問は、子育て支援についての質問が多かったわけですが、そういう意見交換をしたり、それから、ごく最近は、県立長田高校で子育て支援についてのお話をして、それについての質問をいただいたり、それ以外に、複数の生徒さんから神戸市の市政の課題についての提案をいただいて、ディスカッションも行いました。それから、その後も、香川県立高松高校の生徒の皆さんが来られて、ユダヤ人難民に対する神戸市の対応、あるいは人道支援についての考え方を聞きたいというようなことで高松からお越しをいただいたりしました。
こういう機会に感じますことは、高校生の皆さんは地域あるいは社会のありようにかなり強い関心を持っておられるということでした。そういう生徒の皆さんもたくさんいるということが改めて分かったわけです。そういうことから、このネットモニターについては、今は18歳以上にしているわけですけれども、この18歳以上を15歳以上に拡大いたします。中学生を除く15歳以上、高校生が大部分になるということだと思いますが、高校生の皆さんから日常生活や学生生活で感じる生の声を寄せていただく、また、神戸市からのアンケートにも答えていただく。そういうことで、若者の意見をさらに神戸市の施策に反映し、市政参画のきっかけにしていただきたいというふうに考えております。
これが2番目のテーマですね。
3番目が、津波対策です。
1000年に1度の津波対策が今年度いよいよ完了をいたします。津波対策と高潮対策は共通しているところがあります。神戸市は古くから高潮の被害に悩まされてきました。私もかなり鮮明に覚えていますが、1964年に大きな台風が来襲いたしまして、ものすごい暴風雨に見舞われたことを覚えています。この1964年の台風では、兵庫、長田、須磨で約4,000戸が床上浸水するというような甚大な被害も発生をいたしました。これを教訓に、神戸市臨時海洋防災本部を立ち上げて、高潮対策事業をスタートさせたわけです。そういう対策を進めてきましたけれども、2004年には4度の台風が襲いまして、国道2号が冠水するなどの被害が発生をいたしました。その後も、三宮の南部地区などは度々浸水被害が発生をいたしました。
こういうことから、この雨水幹線に集中する雨水をポンプを使って海に排出すると、こういうポンプ場の整備、内水排除ポンプ場、これを京橋などで整備いたしまして、2015年度には全てのポンプ場が供用開始となりました。これによって、その後の台風、大雨によって三宮の南部の浸水被害が全くなくなったわけです。高潮対策は一応完了したというふうに考えられて、一応完了はしたわけです。
しかしながら、2018年の台風では、六甲アイランドやポートアイランドの港湾部分で浸水被害が発生をいたしまして、そこでコンテナバースのかさ上げとか、あるいは港湾倉庫の屋上に緊急の避難スペースを設けると、こういうような防災対策も実施をしてきたわけです。
時系列的には少し前に遡ることになりますが、2011年の東日本大震災のときには、これは言うまでもなく非常に大きな被害が出ました。神戸市では100年に一度の津波に対応できるような津波対策は、2015年度に完成した高潮対策で対応が出来ています。
さらに、この東日本大震災を踏まえれば、1000年に1回の津波も想定した対策をしないといけないということで、防潮堤の強化、あるいはハザードマップの整備と避難、ハード・ソフトの対応を組み合わせた津波対策ということを行ってきたわけですが、これが2023年、この3月31日に完了をいたします。つまり、この1000年に1回の津波というのは、あらゆる可能性を考慮した最大級の津波と考えられておりまして、マグニチュード9クラスの地震で起きる津波、神戸での最大水位は3.9メートルと考えられています。
具体的にどういうような津波対策をするのかというと、1つは、津波が防潮堤を越えにくくするためのかさ上げです。メリケンパークなどでこういうかさ上げを行います。それから、洗掘防止。津波で壊れにくい、津波はかなりの力がかかりますから、それによって壊れにくい、そして掘り下げられにくくする洗掘防止の対策を行います。新港突堤などでこれを実施いたします。あとは、隙間から津波が入り込んでくるということがないような、そういう対策を行うと。こういうような対策を実施してきたわけですが、これが今回完成をするということになるわけです。
これによりまして、この津波対策は、対策前は、この水深が、この浸水の深さがかなり広がっていたわけですが、この対策を講じることによりまして、人命に影響を与えない30センチ未満のレベル、緑色のレベルでまで軽減をされることになります。このオレンジ色のライン、これが防潮堤のラインです。この防潮堤の北側、あるいは内側に住居があるわけですが、住居の部分には津波は行かない、浸水はなくなると。神戸では、この住居地域についての浸水は基本的にはなくなるというふうに考えております。
30センチ以上になりますと、もう脚が動きづらくなりまして、避難行動が取れなくなるわけで、1メートル以上、2メートル以上ということになると相当被害が拡大をいたしますから、神戸の場合には、基本的にはそういう浸水エリアというものはなくなる。あと浸水が生ずるところは、この防潮堤の外ということになりますが、こういうところについても、先ほど申し上げましたようなかさ上げなどの工事を行っておりまして、これも浸水の深さはかなり小さくなって、浸水エリアも大幅に縮小されるということになります。さらに、この防潮堤、確実にこの防潮堤が機能をしていくためには、水門や、あるいは陸閘というふうに呼んでおりますけれども、陸上部分のゲートを安全に開閉するということが必要になっております。
神戸市では、2020年度から自動開閉によるシステムを導入してきました。対象となる78基の、このゲートの遠隔操作、これが2024年度に完成をすることになります。神戸市は、タブレット端末から開閉できるようにするというのが特徴でして、これを神戸市は早く、この防潮堤の自動開閉を行ってきまして、これは幾つかの自治体でも既に取り入れているところがありますが、タブレット端末による自動開閉を行っているのは神戸市だけです。こういう形で新しいテクノロジーを導入していく。この自動開閉のほかにもドローンを活用した防災情報の収集ですとか、あるいは日常施設の点検、例えば台風が通過した後の迅速な被害調査や、あるいは水中部にある施設の調査にドローンを活用するということも進めていきたいと考えております。この防潮鉄扉の遠隔操作のイメージを、最後に動画で御覧をいただきたいと思います。
(動画上映)
久元市長:私からの説明は以上です。
記者:
冒頭にお話しされた遺留金についてなんですけども、市長として大変以前から強い問題意識を持ってきたということで、改めて、具体的にどのような点に問題意識を持ってこられたのかお話しいただけますでしょうか。
久元市長:
根本的には、これは孤立・孤独が地域社会の中に広がっていて、ひっそりと亡くなるそしてお葬式をあげる方もいない。そういう中で自治体が火葬、埋葬を行うと。こういう、ある意味で孤立・孤独・無縁社会が広がっているということが、やはり根本的にこの問題の背景にあるということですね。
もう1つは、そういう中で、お金が残されるわけです。ひっそりと1人で亡くなった方のお金が残される。これは誰かが管理しないといけないんですけれども、そのお金の管理の根拠が何もないと、自治体が何の根拠もないのに、お金を手元に置いておかなければいけないということは極めて不適切です。ですから、これは法律が本来根拠としてあるべきですけれども、それがなかったので、これはもう自治体が自分で考えるしかないということで、当時の厚生労働省などは、何を根拠にそんなものをつくるんですかとか、信じられないような対応も返ってきたわけですけれども、これはやはり、とにかく法律がないのであれば、条例でこれを根拠付けないといけないということで、とにかく根拠をつくったということ。そして、残されたお金があっても、これはもちろん自治体のお金ではないわけですから、相続人があれば相続人にお返しをしないといけないです。その相続人を調査するための費用、これに充てられるようにしようということで、条例でそういう根拠をつくったわけですが、そういうふうに、2つ目の問題意識は、そういうお金を管理する根拠をつくるとともに、相続人を調べるという、そういうような使途に使えるようにする必要がある、相続人の調査ということですね。
あと3番目は、この火葬、埋葬に関する費用は自治体が負担しているわけです。神戸市が負担をしているわけですが、いわゆる遺留金を火葬、埋葬の費用に充てられるようにしていただけないか。これは今回、総務省の勧告を踏まえて、厚生労働省と法務省が、そういう方向に踏み出していってもらえればありがたいというふうに思います。最終的には、今この遺留金は国庫に帰属するということになっていますが、一番こういう、無縁社会と言われているような、孤立・孤独の問題と向き合い、現実にひっそりと亡くなった方に対して対応しているのは自治体ですから、最終的にはこの遺留金も、国庫ではなくて地方自治体に帰属をさせていただくようにしていっていただければというふうに思っております。大きく言って、そういうような問題意識を持っています。
記者:
もう1点、最後の津波対策のところなんですけど、遠隔操作が導入されるまでは職員さんが現地に行って閉めていたりしたんでしょうか。この遠隔操作を導入するに至った経緯、問題点等を教えていただけますか。
久元市長:
基本的には職員が行くケースが多いですけれども、こういう海沿いにある施設ですから、決められた民間企業の職員などが開閉することもあります。場合によっては、緊急の場合には消防職員や、あるいは消防団員が開閉をするということもあったというふうに聞いております。
記者:
実際、現場に行くことによって、もちろん身の危険もあるかと思うんですけど、そういったところから、今回この遠隔操作というのが始まったんでしょうか。
久元市長:
遠隔操作をスタートさせた一番大きな理由は、東日本大震災のときに津波が押し寄せてきて、水門を閉めるために出動した消防団員が殉職をしたということです。こういう事態というのはやっぱり避けないといけない。そのためにはやはり遠隔操作という方法が一番有効ではないかということでスタートさせたということです。
記者:
先ほどの鉄扉の遠隔操作のところなんですけども、タブレットで操作するのは神戸市が初めてということなんですけども、タブレットじゃない遠隔操作が主流ということなのかと思うんですけども、そのタブレットによるメリットというのが、あえて言うならどういったところなんでしょうか。
久元市長:
タブレットであれば、例えば、職員の自宅からでもできます。執務している、仕事をしている場所、あるいはタブレットを自宅からでも操作することができるということで、利便性が非常に高まるということです。簡易に操作ができるということですね。
記者:
その分、ちょっと何か、安易に操作でき過ぎてしまうみたいなリスクも生まれてしまわないかと思ったりもするんですが、そのあたりは大丈夫でしょうか。
久元市長:
あり得ないと思いますが、それは、きちんと操作権限を付与して、そういう、この緊急時の対応ができる職員に限定をして、そういう権限を付与して行いますし、操作に当たってのルールやマニュアルもきちんと整備をしていますから、安易に開閉するということは、まずあり得ないと思います。もちろん、今日の記者会見でそういう御質問があったわけですから、改めてそういういう注意は徹底したいと思います。
記者:
あと、ドローンによる情報収集というのも今後進めていくということですけども、具体的に何か計画されていることはあるんでしょうか。
職員:
ドローン、最近あちこちで使われている状況になってきておりまして、我々としましては、今、まず手始めに台風後の被災調査とか、あと日常の、先ほど市長も申しましたとおり、点検をまず行っております。今後は、それをどんどん、我々、使える職員を今、こういったドローンを使うに当たって一定の資格が要りますので、そういった職員を今増やしていっている状況です。そういったことによって、使える範囲を今後も増やしていきたいと考えております。
記者:
先ほど、タブレットによる遠隔操作の利点についてお話しありましたけれども、自宅からタブレットで操作できることで、よりスピーディーというか職場に出てこなくても開閉操作ができるという利点もあるのでしょうか。
久元市長:
職場に出てこなくてもというよりも、離れたところで、例えば職場にいるときは職場からタブレットを操作するし、自宅にタブレットを持って帰っているときは自宅から操作するということですね。
記者:
じゃ、安全性のほうに利点があるということでしょうか。
久元市長:
もちろん、安易に操作することがあってはいけないし、必要な時に必要な操作をするということですから、その場合にはきちんとそういうルールやマニュアルを整備しています。
記者:
あと、2023年3月31日に完了する1000年に1度の津波対策のところなんですけれども、全ての防潮堤において強化をされたんでしょうか。完了する何か所かという数があれば教えていただきたいんですけど。
久元市長:
これは計画的に進めてきたところが今回完了するということで、もう少し詳しい話はそしたらお願いします。
職員:
全体が大体防潮ラインの延長が60キロほどございますけども、今回、この1000年に1回の津波に対応するためにそのうちの大体14キロほどをいろいろ強化しております。
記者:
同じく防潮堤、高潮対策についてなんですけども、「3月31日完了へ」ということですが、もう日にちありませんが、完了と言っていいんでしょうか。
職員:
現場的には、ほぼほぼもう大体完了しております。
記者:
しましたということですね。
職員:
はい。
記者:
あと、これは2016年度から始まって、当初は多分5年計画だったと思うんですが、2年延びたというのはやっぱりこれはコロナの影響でしょうか。
職員:
いろいろ整備に当たっては、沿道の方との調整とかいろいろございまして、その辺にも少し手間取った部分はありまして、今回、今年度に完了する運びになっております。
記者:
あと、59.8キロを整備した時は確か300億円だったんですけども、今回の14か所に関しては幾らかかっていますか。
職員:
今回は14キロということなんですけども、47億円です。
記者:
防潮堤の関係で1つ補足で伺いたいんですが、このタブレットはふだんから何人かの幹部の方が持ち歩いているようなものなんでしょうか。
職員:
実はこのタブレットは5台ほどありまして、我々港湾局職員の4人がそれぞれふだん持ち歩いております。1台は予備という形で置いております。
記者:
この防潮堤の開閉のための専用のタブレットという理解でよろしいですか。
職員:
そうですね、基本は。これ、実はそのものなんですけども、iPadにそういったソフトを入れておりまして、それによって開閉を行っているということです。
記者:
あともう1つ、遺留金の関係で伺いたいんですけれども、今、神戸市のほうで8,000万円ぐらい遺留金があるということなんですけれども、これは基本的には相続先がないかその調査をしつつ、この8,000万円はもうそのまま、別に何に使えるわけでもなくというか市が取りあえず管理をしていて、相続人を探しているという状態にとどまるという理解でよろしいでしょうか。
久元市長:
そうです。
記者:
あと、条例をつくったけれども、条例では埋葬に充てられるとか、そういうことにはできないわけでしょうか。
久元市長:
条例で規定してしまえば、ひょっとしたらできるかもしれませんが、しかし、基本的にはこれは神戸市のお金ではないし、正直、規定してしまえば法律に違反をすると厚生労働省や法務省が問題視して、何らかのアクションを取るかどうか、あるいは取らなかったかもしれませんが、正直、法的な根拠がない以上は少なくとも根拠をつくり、歳出外現金に位置づけるということと、調査費用に充てるというところが自治体としてやれる限界ではないかなと当時は考えました。
記者:
遺留金の関係で1点だけ伺いたいんですけども、今後、厚労省とか法務省でいろんな検討が進められる中で、市長として先ほど期待されることも申し上げられていたと思うんですけど、神戸市としてなり、指定都市市長会としてなり、何らかの形で書面で要望みたいなことを出すお考えというのは現時点でいかがでしょうか。
久元市長:
既に神戸市は、指定都市市長会としてもこの遺留金の問題については要望は行っております。平成29年の条例化する前に「国としての明確な根拠や方針を出してほしい」という要望でした。ただ、なかなかそれが進まないとも思いましたので、並行して神戸市としての条例の制定作業を開始したということです。
記者:
今回の勧告を踏まえて改めて要望するみたいなことは、今のところお考えはないでしょうか。
久元市長:
これは報道に接したばかりですから、恐らく総務省の勧告の中には、厚生労働省と法務省に対してこういう問題があって、こういう観点から検討するようにという方向性が示されていると思いますから、まだそれは今日の昼に報道に接したばかりなので、勧告の内容も見た上で対応は考えたいと思います。
記者:
今週末の31日に統一地方選の前半の告示日ということになりますけど、二元代表制の一翼を担う議会の4年に一度の選挙ということで、市長としてはどのような論戦といいますか、期待されるところありますでしょうか。
久元市長:
やはり今回は神戸市会議員選挙、それから兵庫県は兵庫県会議員選挙などが行われるわけですけど、両方の議会議員選挙におきましては、やはり兵庫県全体で人口減少が続いている、それから若者や女性の流出も残念ながら続いているという状況の中ですから、こういうやっぱり人口減少対策、つまり若い世代も含めた魅力のある地域づくり、学校を出て、神戸など兵庫県で就職ができる、働くことができる、あるいは働き続けることができる。そういうために何が必要なのかということについての論戦をまずは期待をしたいと思います。ほかにもいろいろあるだろうと思いますけど。
記者:
それと統一選だと毎回投票率の低さというのが課題に上がるわけなんですけど、市の選管でもいろんな啓発活動とかを行っていかれると思うんですけど、政治の関心をどう高めていくのか、このあたりの市長の考えを聞かせてください。
久元市長:
投票率が上がる要因というのは、それはいろんな要因があろうかと思いますが、やはり地方選挙の場合には具体的な政策が議論されて、論戦が闘わされることを期待したいと思います。
残念ながら日本の選挙制度は、かつて私も選挙制度の立案に長く関わったことがあるということから考えれば、残念ながらそういう論戦が行われる場が、あるいはそういう手段が限られていると。これは今回の選挙ですぐには無理かもしれませんけれども、ひたすら名前を連呼するような選挙運動、こんな選挙運動をやっている国なんか主要国では無いんですよね。神戸市は外国籍の職員もいますけど、もうびっくりするんですよ「これが先進国日本の選挙運動なんでしょうか」と。やはり政策論議が闘わされるという場が、かつては立会演説会もあったけれども、これはたしか昭和50年代に廃止されたままですよね。
もう少し「べからず選挙」のような選挙ルールというものを見直して、生き生きとした論戦が目に見える形で闘わされるような、そうでなければきちんとした政策論議はなかなかできないですよね。もちろんネットでの選挙というのは、かなり緩和されてきましたけれども、しかし、それはそれぞれが一方的に主張するだけで、政治というのはやっぱり議論が必要です。そういう選挙制度の見直しというのも、やはりこれから投票率を上げていく上では不可欠だろうと思います。もちろん、投票環境を向上させるということは必要ですし、それは相当それぞれの選挙管理委員会が努力をされていると思いますけれども、より根本的な問題はそういう政策議論が闘わされるようなルールに変更していくということではないかと思います。
記者:
4月1日から水素バスの運行が開始されると思うんですけれども、神戸市としてスマートシティー構想で水素に力を入れていらっしゃると思いますが、水素バスの運行が始まることに関して期待されることをお伺いしたいです。
久元市長:
この前、私も試乗しましたけど、大変乗り心地がよかったです。ぜひ、これは多くの方に乗っていただいて、水素バス(燃料電池バス)というのは何なのかということを身をもって体験していただきたいと思います。
神戸市は、水素サプライチェーンの構築をするということで、水素の受入れ、それから貯蔵、輸送といったサプライチェーンの構築、つまり、水素エネルギーをつくる方向のための政策というものを空港島やポートアイランドなどで行っていますが、やはりこれを身近なところで水素エネルギーを使う、利活用することが必要になってきます。そういう意味で、この水素バスの導入というのは、その第一歩とは言いませんけれども、それを前に進める1つの契機になると思います。
記者:
ネットモニターの対象拡大について1点お伺いしたいんですけれども、15歳以上の中学生を除く高校生を対象に加えられたということで、若年層の意見を施策に反映していく必要性ってどこにあるのか、改めて伺ってもよろしいでしょうか。なぜそれが必要なのかということです。
久元市長:
この年代の皆さんは、選挙権はないわけですが、選挙権がないからこそ、やはりその意見を反映したいと思っておられる皆さんがたくさんいることは間違いありません。
それから、神戸市が行っている施策というのは、高校生の皆さんに関連するところはたくさんありますね。自治体は高校を設置する主体でもあるし、高校生の皆さんが、学び、暮らし、通学も含めて日々暮らす中でどういうところに問題意識を感じているのか。それから、先ほども申し上げましたように、人口減少が続いている中での施策を考える上で、もう間もなく大学に行く、あるいは間もなく就職する世代の意見というのは、魅力ある地域づくりや人口減少対策ということに非常に重要です。
もう1つ、高校生の皆さんに聞いて感じることは、これは私の問題意識とも通底するところがありますが、やっぱり将来に対する不安です、このままで本当に日本は大丈夫なのかという。自分たちが社会に出て社会を支えようとするときのことを考えれば、やはり将来に対するいろんな意味での、そのときに日本がどうなっているのか、社会がどうなっているのかということに対する不安を相当持っていると感じますね。そういう感性というものが、私たちがいろんなアンケートをする中で、やはりどういう形で答えが返ってくるのか、その感性が具体的に表れたような答えが返ってくるのか、どういう意見が出てくるのか、これを大変楽しみにしています。
記者:
先日、文化庁が京都に移転したと思うんですけれども、兵庫県も、当時、募集があったとき、観光庁とか防災系の機関の移転を要望していたと思います。ただ、それから何年かたって、なかなか移転が進まないという現状があり、今も市長として兵庫県あるいは神戸に観光庁であるとかそういう防災系の機関がまた来てほしいと思っていらっしゃるのか、ちょっとそのあたり、伺ってもよろしいでしょうか。
久元市長:
もちろん来てほしいとは思いますが、あまり実現可能性は高くなさそうですね。人間のエネルギーが限られているとするならば、別の形でエネルギーを使う方がいいかなと思います。
記者:
それは、もうこの6、7年の間にだんだんそのように思うようになったのでしょうか。それとも、当時から難しいんじゃないかと思っていらっしゃったんでしょうか。
久元市長:
観光庁が来るということは、多分、有り得ないでしょうね。また、そもそも防災庁というのがまだありませんから、防災庁をまずつくるところから考えていかないといけないと。今の防災部局というのは、内閣府の中に全体を総合調整するセクションがあって、あとは複数の府省に分かれているわけです。ですから、まずそういうところから整理していかないといけないということを考えれば、つまり、防災庁の設置ということを前提に防災庁を誘致するということを考えれば、なかなかこれは、はるかな道のりだと思います。
記者:
あと、もう1つ、これも京都の関係なんですが、空き家税というのを京都が導入するとということで、総務省が同意したというニュースがありました。これ、制度もなかなか複雑なのかなと思うんですが、京都は景観の規制が厳しくてマンションがなかなか造れないというので、住宅供給不足というのがあるみたいなんですけれども、神戸でも導入の検討をしたりとか、そういうことはあるのでしょうか。
久元市長:
京都市の非居住住宅利活用促進税という内容は私も承知しております。政策目的やこの税の内容についての内容は理解できるところがあります。若干、京都の状況と神戸の状況はやっぱり違うということは事実ですが、そういう違いを勘案しても、理解できるところあります。
ただ、これを、実際に条例をつくって、新税をつくって運用しようとするときに、やはり実務上、大きな問題になるのは、非居住住宅かどうかという認定だと思うんですよね。実際に住んでるか住んでないかということも含めて、非居住なのか居住なのかという判定についてはかなり難しい面が出てくるだろうと。実際に課税対象になるかならないか、つまり、税金がかかるかかからないかということになれば、よほどこれは、限界線上の事例がどちらなのか分からないということがないように、きちんとしたルール、要件をつくらないといけないし、それに当てはまるか当てはまらないかということについては、一件一件、相当慎重な判断を要するケースというのはたくさん出てくるだろうと思いますね。
そうすると、この運用については相当大きな労力や負担を伴うことになるのではないか。広い意味でこれは徴税コストの問題なんですけど、徴税コストがかなりかかるということを考えれば、やはり本当にこれを入れることが現実的なのかどうなのか、京都市さんはそれができるとお考えなんだろうと思うんですが、実際に私も税務行政に関わったことがありますが、難しい判断に迫られることになるのではないだろうかと。
そういうことを考えれば、神戸市も空き家・空き地対策というのは相当力を入れて取り組んでいますから、空き家の利活用を進める、それから、老朽危険家屋については撤去していく。神戸市は、老朽危険家屋を撤去するための全国でもトップクラスの補助金を用意して、相当、神戸市は、近年ここ3年ぐらいで2,400件ぐらい、もう撤去しているわけです。これは全国でもトップクラスだと思うんですよ。この予算も2022年度は700戸分の予算を用意していたんですが、2023年度は1,000戸分用意するということで、神戸市独自の施策も講じてきておりまして、さらにこれを強化しようとしていますから、まずはそういう対策をしっかり行っていきたいと思っております。
現時点で同様の新税を提案することは考えてはおりません。
記者:
3人いる副市長のうち油井さんが3月末で退任されますけども、今後の方針、2人体制でいかれるのか、後任をどう考えられているのかというのを教えていただけますでしょうか。
久元市長:
当面は2人体制、今西副市長と小原副市長に2人で副市長をお願いしたいと思っております。
ただ、ずっと2人というよりは、もし3人目の副市長として適任者が得られるのであれば選任はしたいと思っております。その場合の考え方としては、3人副市長がいる中で、市の職員の出身者が3人とも占めることがいいのかどうかということについては、そこは議論があるだろうと思います。今までも総務省出身の副市長になってもらったこともありますし、特にコロナ対策の初期の段階では、国との連絡調整とか県との連絡調整とか、あるいは、関係機関とのパイプなども生かして新しいコロナ対応を提案するなど、これは成果があったと思います。
今、神戸が置かれている状況というのは、とにかく新しい政策にチャレンジをしていかなければいけないということを考えるときに、市の職員出身の2人の副市長に加えて、できることならば民間出身の方に3人目の副市長になっていただきたいという願いは持っています。しかし、現実にまだそういう方を人選できる状況ではないため、適任者はすぐには見つからないだろうと思っておりますが、民間人の起用を模索していきたいと思っております。まだめどが立っているわけではありませんから、当面は2人体制でいきたいと思っております。
このページは接続環境によって、映像・音声などがみだれたり、スムーズな視聴ができない場合があります。あらかじめご了承ください。