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神戸市立医療センター中央市民病院における医療事故の発生について

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記者資料提供(2024年6月19日)
健康局地域医療課

公表に当たっては、患者ご本人及びご家族が特定・識別されないよう、個人情報の保護に最大限の配慮を行いつつ、事案の内容について一定の範囲で公表を行っています。

1.事案の概要

(1)発生日時
2022年11月(事案の認知は2023年12月)
(2)患者
神戸市内在住 男性(80歳代)
(3)事案の内容
他院でのMRI検査で転移性腫瘍が疑われ、紹介により当院の整形外科を受診。整形外科は、CT検査と腫瘍内科への診察依頼を実施した。
腫瘍内科は、CTより前立腺がんの脊椎転移および大腸がんの所見を確認し、患者のがんの進行状態を踏まえ、転移性脊椎腫瘍と前立腺がんの治療の緊急度が高いと判断し、整形外科の脊椎外科専門外来と泌尿器科へ診察依頼を実施した。
各診療科で検査による精査および治療を開始されたが、大腸がんへの診察依頼を行わないまま腫瘍内科では終診とし、大腸がんのフォローがされない状態が続いた。
また、CT検査をオーダーした整形外科医の外来予約は、整形外科の脊椎外科専門外来への診察依頼に伴いキャンセルしたため、CT検査をオーダーした整形外科医もCT所見を確認できていなかった。

(経緯)

  • 2022年11月

整形外科:他院の紹介により受診、CT検査を実施
腫瘍内科:・CT検査の結果より、前立腺がん(ステージⅣ)、脊椎転移、大腸がんの所見を確認
     ・整形外科の脊椎外科専門外来・泌尿器科へ診察を依頼し、終診
     ・整形外科の脊椎外科専門外来の予約と重複するため、CT検査をオーダーした整形外科医の外来予約をキャンセル

  • 2022年12月

整形外科:脊椎腫瘍切除術施行
泌尿器科:前立腺がんに対しホルモン療法開始

  • 2023年12月

腹痛、下痢の症状が発現し当院消化器内科受診
消化器内科:下部消化管内視鏡検査実施(大腸がんの診断)

  • 2024年1月
消化器内科:大腸がんの告知2024年2月外科:大腸がん手術施行2024年3月腫瘍内科:化学療法開始

 

2.事案の原因

(1)腫瘍内科は、緊急性の高い転移性脊椎腫瘍および前立腺がんの治療を優先し、整形外科の脊椎外科専門外来と泌尿器科へ診察依頼したが、整形外科の脊椎外科専門外来と泌尿器科での治療終了後に、大腸がんの治療のため腫瘍内科の予約を入れてもらう等の調整を事前に行っておらず、大腸がんのフォローができていなかった。

(2)整形外科の脊椎外科専門外来への診察依頼に伴い整形外科の予約が重複することを受け、腫瘍内科がCT検査のオーダー医である整形外科の一般外来の予約をキャンセルしたことで、オーダー医がCT所見を確認できていなかった。

3.再発防止策

継続診療が必要な病態に対して適切かつ確実な対応を行うため、以下の3つに取り組むとともに、市民病院機構内で今回の原因を共有し、再発防止に向けて安全対策の徹底を図る。
(1)診療科間での申し送り・診察予約の徹底
診察継続すべき病態がある場合は、診察依頼する診療科(以下、主科)は、診療依頼先となる診療科にその旨を申し送りし、継続すべき病態の治療が可能になった段階で、診察依頼を受けた診療科は、主科の診察予約を入れる等の調整をすること。
(2)診察予約の漏れ防止
上記(1)の診察予約漏れを防止するため、主科が必要と考える一定期間後の予約を取得することなど、継続的に診療の実施運用を行うこと。
(3)専門診療科への周知徹底
多臓器がん等、医療の専門性が高まる中で、特に診察依頼を受ける専門診療科に対して、本件事案を改めて周知し再発防止に取り組む。