2023年度 神戸市の大気質・水質・騒音・公害苦情処理等の状況

【概要】

○市内の環境は、近年、総じて良好な環境を維持しており、2023年度においても、大部分の環境測定結果が環境基準に適合していました。
・大気質については、20の測定局（一般環境大気測定局15局、自動車排出ガス測定局５局）で測定を行い、二酸化硫黄、二酸化窒素、一酸化炭素、浮遊粒子状物質、微小粒子状物質（PM2.5）については、測定した全局で環境基準を達成しました。
　一方、光化学オキシダントについては、全局で環境基準を達成せず、全国的にも環境基準の達成率が低い（2022年度　1,174地点中1地点達成）状況が続いています。なお、光化学オキシダントが原因となる健康被害は発生しませんでした。
　アスベストについては環境基準が定められていませんが、測定した全10地点で、一般の大気環境と同程度とされている石綿繊維数濃度（１本/L程度）を下回っていました。
・水質については、60地点（河川35地点、湖沼２地点、海域23地点）で測定を行い、河川の一部の調査地点で自然的要因により、環境基準値を超過した砒素（１地点）とふっ素（１地点）が検出されましたが、概ね良好な結果でした。
　しかしながら、湖沼ではCOD及び全燐については環境基準を達成しておらず、また、海域の燐、窒素については、環境基準を達成していましたが、瀬戸内海においてはノリの色落ち等が問題になっていることから、今後は、兵庫県条例で定められている燐、窒素の下限値にも対応していく必要があります。
・明石川流域における化学物質（PFOS及びPFOA）については、調査を行った21地点中8地点で、年平均値が国の暫定指針値（PFOS及びPFOA の合計値50ng/L以下）を超過しました。
・自動車騒音については、調査した幹線道路沿道21地点のうち、12地点（57％）で昼間及び夜間ともに環境基準を達成しました。
○公害苦情件数は365件あり、工事現場の作業音等の騒音（39％）が最も多く、次いで悪臭（33％）に係る苦情が多く寄せられました。

１. 主な大気質の状況

（１）二酸化窒素

測定した全局（18局）で環境基準を達成しました。2001年度以降、概ね減少傾向で推移しています。

（２）微小粒子状物質(PM2.5)

測定した全局（17局）で環境基準を達成しました。2013年度以降概ね減少傾向で推移しています。

（３）光化学オキシダント

測定した全局（12局）で環境基準を達成しませんでした。全国的にもほぼ環境基準を達成していない状況です。（2022年度測定地点1,174地点中、1地点達成）
環境基準を超過した日数については、全局の平均で64日と近年横ばいの状況でした。
また、光化学オキシダントが原因となる健康被害は、2002年度以降発生していません。

（４）アスベスト

環境基準は定められていませんが、測定した全10地点で、一般の大気環境と同程度とされている石綿繊維数濃度（１本/L程度）を下回っていました。

２. 主な水質の状況

（１）河川の水質

河川の水質汚濁の代表的指標であるBOD^※は概ね良好な水質（３mg／L以下）で推移しています。しかしながら、自然的要因により、環境基準値を超過した砒素（１地点）とふっ素（１地点）が検出されました。

※BOD（生物学的酸素要求量）
水中の有機物が微生物の働きにより分解される際に消費される酸素量

＊都市河川水域（東部・西部）については、毎年測定している地点（東部：住吉川、都賀川、生田川、西部：新湊川、妙法寺川、福田川）のデータにより作成している。
＊75％水質値：ＢＯＤ及びＣＯＤについて環境基準の適否を評価する場合に用いられる統計値。日平均値の全データを値の小さいものから順に並べ、0.75×ｎ番目（ｎは日間平均値のデータ数）のデータ値のことをいう。

（２）海域の水質

瀬戸内海において、富栄養化の指標である燐や窒素については、すべての調査地点で環境基準値を下回っていました。
 

<全燐>

全燐の環境基準値（上限値）・水質目標値^※（下限値）との比較

項目	年平均値 （mg／L）	類型※※	環境基準 （mg／L）	水質目標値 （mg／L）
全燐	0.027	Ⅱ	0.03 以下	0.02 以上
	0.036	Ⅲ	0.05 以下
	0.047	Ⅳ	0.09 以下

<全窒素>

全窒素の環境基準値（上限値）・水質目標値^※（下限値）との比較

項目	年平均値 （mg／L）	類型※※	環境基準 （mg／L）	水質目標値 （mg／L）
全窒素	0.20	Ⅱ	0.3 以下	0.2 以下
	0.37	Ⅲ	0.6 以下
	0.42	Ⅳ	1.0 以下

※兵庫県が定めている瀬戸内海の海域における良好な水質を保全し、かつ、豊かな生態系を確保する上で望ましい栄養塩類の濃度（全窒素・全燐の下限値）（兵庫県「環境の保全と創造に関する条例」に規定）
※※調査地点は、現況の水質や利水状況等を勘案し、水域ごとにそれぞれ環境基準の目標レベル（類型）が設定されています。

３. 明石川流域における化学物質の状況

明石川流域において、調査を行った21地点中8地点で、年平均値が国の暫定指針値（PFOS及びPFOAの合計値50ng/L以下）を超過しました。

４. 自動車騒音

幹線道路17路線の沿道21地点で測定し、12地点（57％）で昼間及び夜間とも環境基準を達成しました。
また、昼間のみ環境基準を達成したのは3地点（14％）、夜間のみ環境基準を達成したのは1地点（5％）、昼間及び夜間とも環境基準を達成しなかったのは5地点（24％）でした。

５. 公害に関する苦情処理の状況

・2023年度の公害苦情の受付件数は365件でした。
・種類別にみると、工事現場の作業音等の騒音が最も多く（144件、39％）、次いで悪臭（119件、33％）、水質汚濁（53件、15％）に係る苦情が多くありました。

６. その他

（１）データ等の詳細は、環境局ホームページに掲載しています。
（２）関連する神戸市HPのリンク
　   ア　過去の資料（神戸市の環境の状況）
　　　　https://www.city.kobe.lg.jp/a66958/kurashi/recycle/kankyohozen/kohyo.html
　   イ　環境情報（環境保全・環境アセスメント）
　　　　https://www.city.kobe.lg.jp/a66958/kurashi/recycle/kansikekka/index.html