記者資料提供(2024年5月29日)
企画調整局医療産業都市部
このたび神戸医療産業都市の進出企業である株式会社村田製作所が開発した低侵襲でワイヤレスな連続測定電子体温計「Moni-Patch 深部体温センサシステム」が、医薬品医療機器等法に基づき製造販売認証を取得し、販売を開始しました。本システムについては、公益財団法人神戸医療産業都市推進機構が開発支援や医療ニーズ調査への協力等を行ってまいりました。
ポイント
・株式会社村田製作所が得意とするセンシング技術を応用したワイヤレスな「Moni-Patch 深部体温センサシステム」は、患者の侵襲的負担軽減、混雑する配線から解放された容易な取り回し、術前から術後まで場所を限定しない連続測定を実現し、医療現場における体温モニタリングの課題解決に貢献します。
・神戸医療産業都市推進機構は、海外における市場ニーズを把握するため、株式会社村田製作所と海外展示会(MEDICA)へ共同出展するとともに、神戸市立西神戸医療センターとの共同研究を橋渡しし、コロナ患者を対象とした重症化予測への適用可能性等の検証を支援しました。
Moni-Patch 深部体温センサシステムの概要
・クラス分類:クラスⅡ 管理医療機器(特定保守管理医療機器)
・寸法・重量:
Moni-Patch 表示ユニット 118mm×44mm×28mm 38g(電池除く)
Moni-Patch 深部体温センサ 65mm×45mm×10mm 12g
Moni-Patch
貼り付けシート 45mm×65mm
・Moni-Patch 貼り付けシートを用いて患者の頸動脈位置に貼り付けたMoni-Patch 深部体温センサと自動無線接続したMoni-Patch 表示ユニットに深部体温が表示され、またMoni-Patch 表示ユニットを生体情報モニタに差し込むことで生体情報モニタに深部体温が表示され、術前から術後まで場所を限定せず連続測定が可能となります。Moni-Patch 深部体温センサは、Moni-Patch 貼り付けシートを交換することで、最大60回繰り返し使用が可能で環境にもやさしい技術です。
写真提供:株式会社村田製作所
背景
株式会社村田製作所は、2019年にドイツで開催された世界最大級の医療機器展示会MEDICAにおいて、神戸医療産業都市の共同出展ブースに出展した際、遠隔ウェアラブルデバイスの有用性を確認していました。
その後、神戸医療産業都市推進機構が神戸市民病院機構と共同で実施している医療現場ニーズ発表会において、神戸市立西神戸医療センターの医師が発表した臨床現場ニーズが、同社が検討していた医療現場の検証テーマに合致したため、共同研究に結び付きました。
コロナ禍においても共同研究は継続され、発熱患者に装用することで、遠隔で体温を連続測定することができ、重症化予測および早期医療介入の提言が可能であるという結果を見出すことができました。
深部体温測定の現状
原因特定が困難な発熱疾患は発生頻度が高いものの、多種多様な検査を行ったとしてもその原因を特定できないケースがあり、患者に長期間の療養、不必要な検査を強いてしまうことが課題となっています。
また、手術中に患者の深部体温を測定する機器は現存するものの、有線で機器とモニタを接続するものが多いことや患者に負担を強いる侵襲的な機器もあり、測定場所やタイミングが限られていることなど患者のみならず医療従事者にとっても負担になっています。
株式会社村田製作所は、このような課題を改善するため、ワイヤレスで低侵襲であり、タイミング・場所を問わずに連続測定が可能な深部体温計の開発を行ってきました。
期待される医療現場への貢献
術前から術後までタイミングや場所を限定しない連続体温測定の実現は、従来からの課題を解決に導き、在宅医療等への応用が期待されます。
機器を患者体内に挿入せず、ワイヤレスで拘束が少ないことから、患者の身体的負担軽減につながります。また、シンプルな操作方法に加え、自動無線接続により混雑した配線から解放されることでユーザビリティが向上し、質の高い医療の提供、臨床現場の医療安全に寄与できることも期待されています。
Moni-Patch 深部体温センサシステムに関する問い合わせ先
株式会社村田製作所
https://medical.murata.com/
神戸医療産業都市における医工連携に関する問い合わせ先
神戸医療産業都市推進機構は、医療現場に革新をもたらすような神戸発の医療機器創出支援により、神戸医療産業都市の発展に貢献していきます。
公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 クラスター推進センター
メールアドレス:kiki-plat@fbri.org
※お問い合わせはメールでお願いします。