記者資料提供(2024年8月19日)
企画調整局医療産業都市部
神戸市立神戸アイセンター病院で先進医療B「遺伝性網膜ジストロフィーにおける遺伝子診断と遺伝カウンセリング」として実施していた遺伝子検査が、2023年8月に保険適用となり、神戸アイセンター病院は日本網膜硝子体学会から検査実施施設に認定されました。
また、当該検査の結果を用いて、治療の適否を判断する遺伝子補充療法について、神戸市立医療センター中央市民病院・神戸市立神戸アイセンター病院は同学会から実施施設の認定を受け治療の準備を行っていました。
この度、神戸市立医療センター中央市民病院/神戸アイセンター病院において、当院1例目となる投与手術を実施しましたので、報告いたします。
1.概要
神戸市立医療センター中央市民病院/神戸アイセンター病院は、遺伝性網膜ジストロフィーに対する遺伝子治療「ルクスターナ®注」の投与手術を8月上旬に実施し、経過良好です。
2.手術について
実施日:2024年8月上旬
対象者:30歳代 女性
3.遺伝性網膜ジストロフィーに対する遺伝子治療
遺伝性網膜ジストロフィーの原因遺伝子の1つである
RPE65遺伝子に病的変異があると、RPE65 タンパク質を作ることができず不足してしまい、夜盲(暗いところでものが見えにくくなる)、視野狭窄(視野が狭くなる)などの視覚障害が生じます。
RPE65遺伝子変異を持つ遺伝性網膜ジストロフィーの患者に「ルクスターナ®注」を眼の網膜下に投与することで、網膜色素上皮細胞へ正常な
RPE65遺伝子を届けることができ、RPE65タンパク質が長期間安定して作り出されるようになります。その結果、視機能が維持されることが期待されます。この薬剤は眼科疾患の遺伝子補充療法として日本初の治療です。
4.遺伝子検査・遺伝子治療対象患者
遺伝性網膜ジストロフィーと診断され、
RPE65遺伝子に病的変異を疑う場合に検査を実施し、
RPE65遺伝子に病的変異が認められ、十分な生存網膜細胞がある成人及び小児患者に対して遺伝子補充療法を検討します。
5.参考
(遺伝性網膜ジストロフィー)
遺伝子変異が原因で網膜の機能に進行性の障害をきたす一連の疾患で、代表的な疾患として網膜色素変性があります。夜盲(暗いところでものが見えにくくなる)、視野狭窄(視野が狭くなる)などの症状から始まり、場合によっては失明する可能性がある遺伝性・進行性の病気です。
(関連画像資料)
手術風景・調剤風景 (神戸市立医療センター中央市民病院)