離乳が完了しても、小さな子どもは噛む力や味覚、消化器官や手の機能などの発達が不十分なので、まだ大人と同じように食べることはできません。
子どもの発達に合わせながら、少しずつ味や硬さを慣らしていきましょう。
また、このころは遊び食べやむら食いがはじまる時期でもあります。
昨日まで好きだったものを急に食べなくなるなど、独自のこだわりやマイブームが出たり、何を提案しても「イヤ!」と言われることもあるでしょう。
3歳ごろまではしつけをしようと思ってもルールや約束を理解できる年齢ではありません。
叱ったり無理強いすると逆効果になることも。
心配かもしれませんが、多少食べなくても、すぐに健康上の影響が出ることはないので、そういう時期だと思って様子を見ていても大丈夫です。
食事のポイント
調理のポイント
子どもと大人の同時調理
食事のポイント
お腹が空くリズムを持ちましょう
よく体を動かすと、お腹が空いてしっかり食べられるようになります。
早寝早起きでおいしく朝ごはんを食べられるリズムを身につけましょう。
食べたいもの、好きなものを増やしましょう
偏食はダメだ、なおそうとがんばるよりも、食べたいものが増えたらいいなという気持ちでいると少しはラクになりませんか?
何か食べないものがあるからと言って、わがままに育つとか健康に支障が出るということはないので、無理に食べさせようとしなくて大丈夫。
ただ、食べないからと言って、食卓に出さないのはもったいないです。
大人がおいしそうに食べてみせると子どもも食べたくなるタイミングが来るかもしれないので、食べなくても食卓には出し続けましょう。
主食、主菜、副菜をそろえましょう
主食(ごはん、パン、麺類など)、主菜(肉、魚、卵、大豆製品など)、副菜(野菜、きのこ、いも、海草など)を毎食そろえて食べましょう。
3皿用意しなくても、焼きそばなど、1皿の中に全部入っている料理もいいですね。
おやつは食事の一部と考えましょう
幼児は1回に食べられる量が多くないため、3食で必要な栄養素を摂るのが難しいです。
おやつはその分を補う「食事」です。
食事で摂りづらい、乳製品や果物、野菜を積極的に取り入れましょう。
おやつの例
さつまいもとりんごの重ね煮+牛乳
おにぎり(刻んだ青菜を混ぜる)
果物+ヨーグルト
ホットケーキ
調理のポイント
まだ大人と同じように噛む力はないので、気持ち軟らかめに火を通しましょう。
また口の中の機能もそこまで発達していないので、基本的には歯に載るくらいのサイズにカットしましょう。
ただし、噛まなくても飲み込めるような大きさ・硬さのものばかりだと丸のみの癖がついてしまうことも。
食材によって調整しましょう。
どんなことに気をつけたらいい?
舌触りをよくしましょう
ざらっとした舌触りが苦手です。
イモ類は軟らかく煮る、ひき肉はとろみをつけるなどしてパサパサ感を和らげましょう。
うす味にしましょう
味覚が発達する時期です。
味覚は微妙な味を体験することで育っていくため、できるだけうす味に仕上げましょう。
目安は大人の半分くらいの味つけです。
調味料を入れる前に子どもの分だけ取り出して、味つけを分け、少し軟らめに加熱しましょう。
子どもと大人の同時調理
彩りをよくしましょう
明るい色を好み、茶色っぽいものが苦手なことが多いです。
食べにくい食品と調理の工夫
奥歯が生えそろう3歳くらいまでは食べづらい食品がたくさんあります。
まだ噛む力も弱いので誤嚥などにも注意が必要です。
弾力性が強いもの
ちくわ、かまぼこ、こんにゃく、いか、たこ等
これらの食品は、1~2歳のうちは噛み切ることができません。
奥歯が生えそろい、他の食材でじゅうぶん噛む練習ができてから食べ始めましょう。
皮が口に残るもの
豆、トマト、きゅうり、なす
これらの食品は、皮をむくと口に皮が残らずおいしく食べることができます。
豆やトマトなど、皮をのみこんでも問題ありませんが、いつまでも皮が残るのがいやで食材が苦手になることも。
きゅうりやなすは全部皮をむかずにしましまにむくのもおすすめです。
口の中でまとまりにくいもの
ひき肉、ブロッコリーなど
口の中でばらばらになりやすい食材は、とろみをつけたり、何かに混ぜたりしてまとまりを出しましょう。
ひき肉は、豆腐や野菜を入れて肉団子にするとパサパサになりづらくておすすめです。
肉団子をうす味で煮て、とろみをつけるとさらに食べやすくなりますよ。
ペラペラしたもの
わかめ、レタス、葉物野菜など
ペラペラしたものは噛み切りづらく、子どもには食べにくいものです。
加熱して刻んだり、葉物野菜の場合は細かく刻んで卵に混ぜて焼いたりおにぎりに混ぜると食べやすくなります。
パサパサするもの
パン、魚、ゆで卵、さつまいも
口の中でパサパサするものは、水分を加えてしっとりさせましょう。
魚は、ムニエルにしたり、少しマヨネーズを縫って焼くとしっとり食べやすくなります。
ほぐしてごはんに混ぜる方法も食べやすくなりますよ。
卵はゆで卵よりオムレツの方が食べやすいです。
そのときも、パサつかないように少し水分を足すとより食べやすくなります。
誤嚥しやすいもの
餅、こんにゃくゼリー、ミニトマト、ぶどう、球形のチーズ
餅やこんにゃくゼリーは奥歯が生えそろい、しっかり噛めるようになるまでは与えないようにしましょう。
ミニトマトなどを与える場合は、そのままのサイズではなく小さく切ったり、調理して軟らかくしましょう。
噛みつぶせなくていつまでも口に残るもの
肉
肉の繊維を断ち切れず、食べづらい場合があります。
たたいたり、繊維を断ち切るようにカットすると食べやすくなります。
しゃぶしゃぶ用の肉であれば、やわらかくそのままで食べやすいです。
鶏肉はそぎ切りが食べやすいですよ。
薄切り肉がペラペラして食べにくそうであれば丸めたり、重ねたり、具材を巻くと食べやすくなります。
そのまま焼いてもOKですが、小麦粉をまぶして焼くとぱさぱさになりづらいです。
噛む力・手の機能を育てる調理
大きめに切り、少しだけ硬さを残す
にんじんや大根などは、大きめに切り、少しだけ硬さを残して加熱すると「かじり取る」「噛む」ことの練習になります。
手で持てるスティック状にする
きゅうりなどは、手で持てる長さのスティック状にしてみましょう。
手づかみ食べで手先を器用に動かす練習ができます。
子どもと大人の同時調理
子どもの食事には軟らかさや味つけなど配慮が必要ですが、毎日別々に作るのは大変。
味つけ前に子どもの分だけ取り出して
大人用より軟らかく煮る
たれや汁をうすめて子どもの分を味つけする
具材を小さめに切る
など途中から取り分けて作るのがおすすめです。
子どもの分の追加加熱は電子レンジを使うと手軽にできますよ。
献立例
【主菜】鶏肉の照り焼き・野菜のソテー
①野菜をひとくち大に切る
②フライパンに油を熱し、鶏肉を両面しっかり焼く。
③鶏肉を取り出し、食べやすい大きさにカットする。
★子どもの分だけ分けておく。
④鶏肉を取り出したフライパンで野菜をソテーする。
★子どもの分だけ野菜を取り出す。
⑤大人の分は塩・こしょうで味をつける。
⑥野菜を取り出し、カットした鶏肉を再びフライパンに入れ、しょうゆ・砂糖・みりんで照り焼きにする。
⑦汁気がなくなるまで加熱し、絡めて大人の分は完成!
★子どもの調理
①大人用では大きいので、取り分けた鶏肉、野菜を2センチ角くらいのサイズにカットする。
②大人用の加熱では野菜がまだ硬いので、耐熱ボウルにカットした野菜を入れ、水を加えて電子レンジで加熱する。
③大人の調味料では味が濃いので、大人用の調味料を2倍にうすめたものを用意する。
④子どもはとろみがついている方が食べやすいので、③に片栗粉を加えてとろみをつける。
⑤②にカットした鶏肉を加えて、④を入れ、さらに電子レンジで加熱する。
⑥レンジから出して、全体にとろみがからむように混ぜたら完成!
【副菜】長いものかき揚げ風
①にんじんと長芋を4センチ長さくらいのせん切りにする。
②小麦粉と水混ぜて衣を作る。
③②に①を入れて混ぜる。
④フライパンに多めの油を熱し、③を小さな塊にして入れて、揚げ焼きにする。
★大人も子どもも同じものが食べられます。
子どもには少し大きめサイズですが、サクサクして手づかみ食べで食べやすいです。
濃い味に慣れた大人は、最初物足りなく感じるかもしれませんが、大人の減塩も大切です。
野菜の甘さでおいしく食べられますよ。
【汁物】野菜のみそ汁
①野菜を切り、煮る。
★子どもの分だけ取り出す。
②顆粒だし、みそを入れて煮立たせたら大人の分は完成。
★子どもの調理
①大人の調理で大きい具材があればカットする。
②そのまま軟らかく煮て野菜スープにする。
牛乳を足してミルク煮にしたり、とろみをつけてあんかけにするのもおすすめです。