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よく「神戸市交通局の地下鉄は環境に優しい移動手段」と言われます。なぜでしょうか?
いくつか理由があります。
まず、鉄道そのものの特長として、「大量輸送機関である」ことや「走行抵抗が小さい」ことなどが挙げられます。
同じ距離を移動するのにマイカーを使うより大勢でバスに乗ったほうが、一人当たりのエネルギー消費量は少なくて済みます。鉄道はバスよりもさらに大量輸送ができますから、マイカーに比べるとそれだけでかなりのエネルギー節約になります。
また、「走行抵抗が小さい」というのは、自動車の足回りと比較するとよくわかります。路面とゴムタイヤに比べて、鉄道のレールと車輪の表面は遥かに滑らかです。その分、ころがり摩擦も自動車に比べて小さく、走行抵抗(ロス)が少ないのです。
次に、電車、特に神戸市交通局の地下鉄の特長として、「VVVF制御」の採用と「回生ブレーキ」の採用などが挙げられます。
「VVVF制御」は、半導体スイッチを使っているため、架線から受け取る電気エネルギーを無駄なく駆動用電動機に送り込むことができます。そして「回生ブレーキ」は、変電所の電力回生インバータ装置と相俟って、電車を動かすために使ったエネルギーを回収・再利用します。
3000形や1000形制御更新車で採用された「遅れ込め制御」は「回生ブレーキ」の利用率をさらに高める工夫です。また、3000形・5000形で採用の「SIV低圧電源装置」は、走行用電力だけでなく、車内で使う低圧電力さえ無駄の無いようにします。
このように、神戸市交通局の地下鉄車両は極めてエネルギーの利用効率が高いのです。当然消費する電力が少なくて済みますから、発電のために必要な燃料も軽減できる、ひいては二酸化炭素の排出量も抑えられるわけです。