最終更新日:2024年10月1日
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2024年7月3日に国土交通省近畿運輸局の認可を受け、2024年10月1日から市バスの運賃を改定することを決定いたしました。
新型コロナウイルス感染症の流行を契機とした「新しい生活様式」の定着や原油価格をはじめとした物価高騰による急速な社会変容は、市バス事業の経営状況に著しく大きな影響を与えています。
令和4年度決算における資金不足比率(※1)は19.1%であり、特別減収対策企業債(※2)を発行していなければ、実質的に経営健全化基準である資金不足比率20%を上回っている状況であることなどから、市バス事業はこれまでにない危機的な経営状況に直面しています。
こうした状況下において、早期に危機的な経営状況を脱却し、「市民の足」として将来にわたって安全かつ安定的に事業を継続していくためには、経費削減や増収対策など最大限の経営努力を前提に、運賃改定が必要であると考えています。市民のみなさまへは、広報紙等でも周知をはかってまいります。どうかご理解賜りますよう、よろしくお願いいたします。
(※1)地方公共団体財政健全化法における資金の不足額を事業規模で除した比率を表します。仮に20%を上回って経営健全化団体へ転落した場合、「経営健全化計画」を策定し、4年という短期間で単年度収支均衡を図る必要があります。そのため、路線廃止・大幅な減便などサービスの低下や、大幅な運賃値上げといった急激な利用者負担の増加にも短期間で踏み込まざるを得ない状況になることが想定されます。
(※2)総務省が「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための取り組みに伴う利用者の減少等による大幅な収入減に対する資金繰り対策」として特別に発行を認めている企業債(借金)のことで、2024年度以降の発行は認められていません。
新型コロナウイルスの感染拡大に端を発した大幅な乗車人員の減少に加え、原油高をはじめとするエネルギーコストの上昇等により、交通局は極めて危機的な経営状況に陥っていることから、2023年6月に交通事業審議会に対して「中長期的な経営基盤の強化」に向けた方向性について諮問を行い同年11月に答申をいただきました。
交通局は、この答申も参考として、1992年以来、消費税改定を除いて32年間据え置いてきた市バス運賃の改定案と各種割引制度の見直し案を策定し、2024年3月に神戸市会において議決をいただき、2024年7月3日に近畿運輸局の認可を受けました。
審議会では全7回にわたり幅広い見識と多角的な視点から議論いただきました。答申では、経営危機からの早期脱却のため、短期的には、早期の市バス運賃改定は事業継続の必須条件であり、通勤定期運賃など各種割引制度の見直しを検討すべき、中長期的には、公共交通が果たしうる役割を踏まえ、神戸市全体の公共交通をどのように維持していくのか議論を深め、自動車から公共交通に転換していく戦略が必要になるといった指摘をいただきました。(審議・答申の内容はこちら)
敬老パスの優待料金は小児料金を適用しています。
このため、市バス普通区の場合は、現在110円の優待料金でご利用いただいておりますが、運賃改定後は120円になります。
運賃改定日を含んでいても、定期券の有効期間内はそのままご利用いただけます。追加料金は必要ありません。
定期券は、使用開始日の14日前(2週間前の同じ曜日)から発売しており、2024年9月30日までは運賃改定前の価格でご購入いただけます。
(使用開始日が10月14日までの定期券は、9月中に運賃改定前の価格で購入いただくことができます。)
発売開始日 |
使用開始日 |
9月17日 |
10月1日 |
9月18日 |
10月2日 |
9月19日 |
10月3日 |
9月20日 |
10月4日 |
9月21日 |
10月5日 |
9月22日 |
10月6日 |
9月23日 |
10月7日 |
9月24日 |
10月8日 |
9月25日 |
10月9日 |
9月26日 |
10月10日 |
9月27日 |
10月11日 |
9月28日 |
10月12日 |
9月29日 |
10月13日 |
9月30日 |
10月14日 |
なお、定期券WEB予約サービスで、9月30日までに予約完了となった場合でも、券売機での購入が10月1日以降であれば、運賃改定後の料金でご購入いただくこととなりますので、ご注意ください。
運賃改定前に購入いただいた定期券を運賃改定後に払戻しされる場合は、運賃改定前の定期料金を基準として払い戻し額を計算します。
JR西日本が発売している、JRと市バス(普通区)の連絡定期券は、9月30日に発売終了となります。
ご利用のみなさまへはご不便をおかけしますが、10月1日以降に定期券をお求めの際は、JR、市バスそれぞれの定期券をお求めください。
市バス・地下鉄共通1日乗車券の料金は、1,040円のまま据え置きです。
地下鉄1日乗車券も830円のまま据え置きです。
現在、1ヵ月利用額が1,000円以上の場合に、利用額に応じて1~13%の割引を適用していますが、割引率を概ね5%引き下げ、1~8%に見直します。
月額利用額 |
割引後月額利用額 |
|
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見直し前 |
見直し後 |
|
1,000~1,090円 |
1,000円 |
1,000円 +(ご利用額-1,000円)×0.55 |
1,100円 |
1,000円 |
1,055円 |
1,110~2,190円 |
1,000円 +(ご利用額-1,100円)×0.90 |
1,055円 +(ご利用額-1,100円)×0.95 |
2,200円 |
1,990円 |
2,100円 |
2,210~4,590円 |
1,990円 +(ご利用額-2,200円)×0.83 |
2,100円 +(ご利用額-2,200円)×0.88 |
4,600円 |
3,982円 |
4,212円 |
4,610円~ |
3,982円 +(ご利用額-4,600円)×0.87 |
4,212円 +(ご利用額-4,600円)×0.92 |
改定前の運賃では乗車できません。改定後の運賃が適用されます。
「神戸市営交通事業経営計画2025」に基づき、職員人件費の見直し、職員や車両の稼働率向上など、単年度収支の均衡、累積資金不足額の減少にむけて取り組みを進めています。今後、さらなる効率的な運行体制への見直しなど、徹底した経費削減や、保有資産の活用による増収対策に加え、需要に見合った路線・ダイヤの適正化などに取り組むことで、経営改善を図っていきます。
日本一安全・安心な市バスを目指し、「4.21三宮重大事故」を過去のものとして風化させないため、研修を実施しています。運転士の段階別研修を行うほか、定例研修においては新たな専門機器を使用して運転士の行動をデータ化し、把握・分析・改善の取り組みを外部機関協力のもと実施し、添乗調査とあわせ安全運行を徹底しています。
また、全車両のバックカメラや運転技能評価システム導入、ドライブレコーダーの順次更新、運転評価機能の活用、「ドライバー異常時対応システム(EDSS)」を装備したバス車両の導入などを進めていきます。
市バス料金・サービスの民間バスとのシームレス化(「神戸のバス」)を目指し、市バス普通区IC定期券の神姫バスでの共通化に加え、2024年10月1日から、神姫バス(24系統、71系統、75系統、区75系統、ポートループ)と市バスの乗り継ぎ割引を実施します。
※神姫バス山手線はこれまでどおり乗り継ぎ割引の対象です。
バス停留所では、誰もが安心して移動でき、気軽に腰を下せる環境を作るため、まちづくりの視点から、バス停施設(上屋・ベンチ)の整備を進めています。
また、休日のマイカー利用から公共交通への転換を図るため実施している、エコファミリー制度の拡充や、CO2や環境負荷物質を排出しないクリーンな水素バス(燃料電池バス)の導入など、環境に配慮した取り組みを進めています。
現時点においては、地下鉄の運賃改定は予定していません。
しかしながら地下鉄においても、非常に厳しい経営状況が見込まれ、今後も「市民の足」として事業を継続していくために、安定的な経営基盤を確立していく必要がある点については市バスと同様です。