技術者クロストーク
株式会社 福原精機製作所
中:西川 和宏 様(技術部 開発課/係長)
右:寺川 芽生 様(技術部 開発課)
左:真鍋 瑠美 様(技術部 開発課)
ニット丸編機で
グローバルビジネスを展開
ものづくりの現場を見て
関心のスイッチが入る
Q 技術職を目指したきっかけは?
西川様(以下 敬称略):
父が製造業で設計や生産技術の仕事をしていて、自宅でもいろいろなものをつくっていた影響で、自分もものづくりに関わる仕事がしたいと考えるようになりました。
就職活動では、技術職に就くことと、神戸で働けることが条件でした。エリアを軸に会社探しをしていたところ当社に出会い、資料を見たら業績がすごく良かったんです。連絡すると、今の上司が「会社見学に来ないか」と。それで工場を見学させてもらうと、日常生活では見ることのない機械が並んでいて、ものづくりの虫がうずいたんです。
寺川様(以下 敬称略):
私が当社に出会ったのは、先生の勧めがきっかけでした。サンプル生地のデザイン担当の採用があるということで声をかけていただいたんです。最初は正社員として働くよりも、自分がやりたいことを優先したい気持ちが強かったのですが、まわりから「せっかくのチャンスなのにもったいない」と言われたんです。それで会社見学をさせてもらったら、何か惹かれるものを感じたんです。そして1年目からデザインを担当してほしいと言っていただき、自分が必要とされていることが伝わってきたので、「この会社でがんばろう」と思いました。
真鍋様(以下 敬称略):
私は経営学部だったこともあり事務職志望でしたが、当社の面接で「あなたは技術職に向いているのでやってみないか」と言われたんです。そして大学の理系出身の先生や父親から「チャンスは活かすべき」と背中を押してもらい、チャレンジしようと思い立ちました。
西川:
真鍋さんは学生時代にバックパッカーとして世界中を旅してまわった経験があるということで、自分で考えて行動する力があると思ったんです。技術職にとって、こうした主体性は大事なんです。知識や技術は勉強をして経験を積めば覚えられますが、今言ったような資質はなかなか身につきません。当社の採用や配属は、本人の希望はもちろん、一人ひとりの社員が力を発揮するためのマッチングも大切にしているのが特徴です。
綿密な計算と
職人的な感覚を統合する
Q 現在担当しているお仕事内容は?
西川:
私は丸編機の開発全般に携わっています。新機種の開発に取り組むこともありますが、既存製品のアップデートの方が多いですね。どちらも当社のシーズを活かして行うケースと、お客さまのニーズに応じて行うケースがあります。
開発の主なプロセスは、まずプロジェクトを立ち上げて、設計や生産技術など関連部門と連携しながら開発コンセプトや具体的な仕様を決めていきます。そして試用機で何度もテストを行い、計画通りの性能を発揮することが証明されれば製品化されます。
丸編機を購入してくださったお客さまの工場を訪問し、細かな調整を行うことも重要な業務です。当社の製品の大半は世界各国に輸出されているので、海外出張する機会は多いですね。
寺川:
製品化された丸編機をお客さまにアピールする時の武器となるのがサンプル生地です。言葉で説明するよりも、実際に機械を使ってつくった生地を見ていただいた方がダイレクトに伝わりますから。先ほどお話しした通り、私はそうしたサンプル生地のデザインを担当しています。
仕事では単に目を引くデザインをおこすのではなく、販売する丸編機の特性が伝わるようにすることが重要です。はじめに「こういう編み方をアピールできるデザインにしてほしい」という要望があるケースと、自分から提案するケースがあり、どちらも機械開発の担当者と連携してサンプル生地をつくっています。
真鍋:
私は11月まで生産部で、納入する丸編機が正常に動くかをチェックする仕事を担当していました。
西川:
当社では入社後生産部に配属され、丸編機や生地について理解を深めます。少なくとも半年間は生産部で勉強するのですが、僕の場合は10年間所属した後、現在の部署にうつりました。長く経験を積んだことで、お客さまの工場で機械の調整などソリューション業務を行う際の対応力がついたように思います。
真鍋:
私はまだ開発課に入って日が浅く、基礎から学んでいるところですが、先輩方が親身になって指導してくださるので、ありがたいですし、いろいろなことを覚えるのがとても楽しいです。
寺川:
私も機械についての知識が足りないので勉強中。真鍋さんが言うように当社はアットホームな雰囲気で、社員同士の風通しが良いので働きやすいです。
西川:
開発課はさまざまな情報や意見を活発に交わす必要があるので、気軽に話せる職場でないとだめでしょう。うちの課でいえば、8割がリラックスしていて、残りの2割が真剣に取り組んでいる感じかな(笑)。それはともかくメリハリは大切。
寺川:
ところで西川さんはどんなところに技術職の醍醐味を感じますか。
西川:
いきなり深い質問をしてくるね(笑)。私たちが手掛ける丸編機の開発は、机上の計算だけではうまくいかない。職人的な感覚も必要なんです。このふたつをどう組み合わせるかがむずかしいところであり、おもしろいところ。そして、製品化された丸編機が動くところを見た時の感動は、ちょっと言葉では表せません。
寺川:
すごくわかります。いろいろな条件がある中で、いかにそれらをクリアしていくかがおもしろい。そういう試行錯誤があるからこそ、完成した製品を見た時に感動が生まれるのだと思います。また、いろいろな人と協力しながらかたちにしていくことも、この仕事の醍醐味。自分とは違う視点から意見をもらうことで、一人で考えるより良いものができる場合が多いんです。
真鍋:
私も早く一人前になって、そういう感動を味わいたいです。当社は繊維業界では世界中でよく知られているメーカーで、常にトップレベルの品質を求められているのを日々の業務から感じます。そういう環境で働いていることが成長につながるし、誇らしい気持ちにもなります。
神戸には他の街にはない
雰囲気とスタンスが息づく
Q 神戸の魅力は?
西川:
関西の他の街にくらべて、時間の流れが穏やかなところが好きです。私が神戸で働くことにこだわったのは、街の空気感が大きな理由です。
真鍋:
人もマイペースというか、やさしい人が多いですよね。
寺川:
私は街を散策するのが好きなんですが、大きな商業施設だけでなく、個性のある路面店が多いので、ブラブラ散歩していると楽しいですね。
西川:
まちなみも人も、大阪や京都とは違う個性があるよね。新しいものを取り入れて、自分に合うようアレンジするのも得意な気がします。これは、ものづくりに関わる者として刺激になります。
当社は転勤がなく、神戸で世界を相手に働けるのが魅力。神戸とものづくりが好きな方は、ぜひ会社見学に参加してください。
神戸イチオシスポット
寺川:
須磨海岸沿いがお気に入りのスポット。ファッションだけでなく、カフェやインテリアショップもあり、見るだけでも気分転換になります。
真鍋:
私も須磨海岸沿いは好きです。あと、北野坂エリアにも友だちと一緒によく行きます。
西川:
昔は須磨海岸沿いに出かけていたけど、子どもが生まれてからは近所の公園がよく行くスポットになりました(笑)。公園つながりでいうと、「なぎさ公園」は広くて開放感があるのでおすすめです。
会社紹介
株式会社 福原精機製作所
福原精機製作所は、アンダーウェアからアウターウェアまで、私たちの生活で欠かせないニット製品に使われる丸編(まるあみ)生地をつくる、国内唯一の丸編機専門メーカー。製品の95%はアジアや中東をはじめ世界中に輸出され、高い評価を得ている。近年は繊維業界にとどまらず、自動車のファブリックシートなどの産業用資材や医療用素材の分野にも進出している。