最終更新日:2024年10月31日
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外観(北東から)
楠の大樹に囲まれたこの館は、1886年の来日以来、1908年まで神戸に住み、神戸のアメリカ総領事となったハンター・シャープ氏(Hunter.Sharp)の邸宅として、建築されました。木造2階建で、下見板張りの洋風建築物ですが、外観の意匠が大変きめ細かく整っていて、全体の構成や室内の意匠に格調の高い内容がうかがわれます。
この建物の外観上の見どころは、西側の正門を入ったところからの眺めで、左右に異なった意匠の張り出し窓があり、その中央の屋根に煉瓦積の煙突があがり、見事な構成となっています。また復原された1階の開放型ベランダとともに室内の玄関ホールがこの建物の重要な見どころとなっており、広いホールに奥行のある階段がゆたかな空間を創り出しています。1階の左手に応接間、右手に食堂があり、接客や日常生活の公的な部屋が配置され、2階は寝室、化粧室、子供部屋などがあります。
各部屋の意匠として注目されるところは、暖炉のマントルピース(暖炉前飾り)とタイルの意匠、壁紙、各張り出し窓の内部空間などです。明るいベランダの空間は、この建物の特徴をよく示しており、とくに窓から海に向かっての眺めは素晴らしいものがあります。
シャープ氏は、アメリカ東部のノース・カロライナ州ハートフォードで1861年(文久元年)に生まれ、ノース・カロライナ大学で学び1886に来日、1900年神戸で結婚し、まもなくこの館を建てました。神戸を去ってからはモスクワ、リオン、エジンバラの領事を勤め1923年に死去するまで、生涯を外交官として活躍しました。
その後、1944年故小林秀雄氏(元神戸電鉄社長)がドイツ人より取得し、1978年まで住んでおられました。家具などは小林家の調度をそのまま使用しているものもあります。
なおこの建物は、1987年1月から1989年6月まで2年6ヶ月間かけて半解体修理を行い、建物当初の姿に復原しました。修理前は白い外壁のため「白い異人館」とよばれていましたが、修理によって当初のペンキの色に変更したため、「萌黄の館」とよばれるようになりました。
木造2階建、寄棟造、桟瓦葺
1階:192.91平方メートル
2階:190.43平方メートル
合計:383.34平方メートル
803.66平方メートル