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オーバードーズ(医薬品の過剰服薬)

最終更新日:2024年8月20日

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オーバードーズ(略称:OD)とは薬の過剰摂取のことです。
今、市販薬のオーバードーズで救急搬送される10代~20代の若者(特に女性)が急増しており、深刻な社会問題となっています。

市販薬のオーバードーズ(過剰摂取)とは?

薬局やドラッグストアで購入できるで、手軽に手に入る市販薬を大量・頻回に服用することです。
市販薬でも過剰に服用すれば、重篤な意識障害や肝臓・腎臓の障害、呼吸不全を引き起こし最悪の場合は死の危険もあります。
また、乱用を続けることによって耐性ができ、同じ量では満足できなくなり少しずつ量が増え、「やめたくてもやめられない」状態 (薬物依存) になってしまう場合もあります。

若者のオーバードーズの現状

高校生では2クラスに1人は市販薬の乱用経験がある

「オーバードーズ」は、10代の若者を中心に広がっており、2021年に行われた高校生を対象とした調査では、過去1年以内に市販薬を乱用した経験のある人の割合が、約60人に1人という結果が得られました。およそ「2クラスに1人はいる」という割合です。
高校生割合
 

10代患者の「市販薬」乱用割合が急増

2022年の調査によると、薬物乱用の治療を受けている10代の65%が市販薬の乱用が原因でした。かつては、覚せい剤や大麻などの違法薬物やシンナー、脱法ハーブなどの危険ドラッグが中心で、2014年時点では市販薬はゼロでしたが、年々市販薬の割合は拡大しています。
楽物乱用変化

全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査より 国立精神・神経医療研究センター

若者のオーバードーズの背景

なぜ若者はオーバードーズにはしるのでしょうか。
その多くは、若者が抱える「生きづらさ」にあります。
「つらい気持ちから解放されたい」「不安な気持ちをまぎらわせたい」など、いわばストレスへの対処法であり、「自分ひとりでなんとかしなくては」という気持ちから、誰にも頼らずに自分一人で対処できる生きるための手段なのです。
周囲からの視線や評価が気になる、自信が持てない、不安、焦り、孤独感、依存と反発・・・、若い世代の心は傷つきやすく揺れ動きます。
また、家庭や学校に居場所が見つけられず、最近では、オーバードーズや自傷行為を介してSNSの世界でつながりを求めることが多くなっています。親や教師の目の届かないところで、SNS仲間とのつながりが優先し、オーバードーズが依存化した当事者は、やがて家族からの心配する声や止めようとする声が届きにくくなり、深刻化して追いつめられる状況になってしまうことも考えられます。

周りの大人ができること

「オーバードーズをやめなさい!」はダメ、絶対。

叱ったり薬を取り上げたりすることでは決して問題解決にはなりません。
オーバードーズは背景にある悩みや不安、生きづらさにより生じている結果です。まずは、そうせざるを得なかった本人の背景や辛さを理解し、受け止め、寄り添うことが重要です。
その過程で自らを傷つけずにすむ対処法を一緒に探していくことができるかもしれません。
また、依存化した状況では、もはや意志の力だけではコントロールできない状況にあります。
迷わず専門の相談窓口や医療機関に相談してください。見守りとともに必要な支援につなげましょう。
こころのSOS

オーバードーズの相談窓口(2024年8月20日開設)

精神保健福祉センターではオーバードーズ専用の相談ダイヤルを設置し、相談員による電話相談を行っています。

専用ダイヤル番号

Tel 078-371-1966

相談時間

月曜~金曜(祝日・年末年始を除く)
10時30分~12時00分、13時00分~16時30分

対象 神戸市にお住まいのオーバードーズに悩むご本人・ご家族
相談 悩みごと相談

10代・20代のあなたへ

10代の若者たちの間では、市販薬を通常の使用目的以外で乱用したり、それにより救急搬送されたり死亡したりする事例が報道で取り上げられています。
高校生を対象とした調査によると約60人に1人が市販薬の乱用経験があるという結果でした。その「1人」は、今これを見ているあなたかもしれませんし、あなたの友達かもしれません。

やめたいけど、やめられない

市販薬の乱用とは、決められた用法用量以外の飲み方で飲んだり、大量に摂取(オーバードーズ)したりすることです。
決められた用法や用量どおりに飲めば安全な薬でも、必要がないのに、また過剰に摂取すると、副作用が出て酔ったような状態になったり、感覚が鈍くなったり、気を失ったりすることがあります。内臓への影響が出て、呼吸や心臓が止まり、最悪は死に至ることもあります。
また、市販されている薬の中には、麻薬や覚せい剤と同じような成分がごく少量含まれているものもあります。コーヒーやエナジードリンクに含まれるカフェインも多くの市販薬の成分になっていますが、興奮作用を引き起こす可能性があり、多量の摂取や薬と一緒に飲むなどの行為は身体への大きな影響が出る可能性もあるため、注意が必要です。

あなたの気持ちを聞かせてほしい

オーバードーズをするのは、学校や家庭など、毎日の生活の中で積み重なった「あーしんどいな」というつらい気持ちをやわらげたい、まぎらわせたい、という気持ちを持っていることが背景にあることが多くあります。
「なんとなく」「がんばるために」オーバードーズをしているあなたの心は実は傷ついていています。あなたの「心」は「心を守るため」に、鈍感になり、自分自身では「何に傷ついているのか」わからなくなっていることもしばしばあります。
悩みながら、自分ひとりで何とか解決したいと考えた結果ともいえるかもしれません。
あなたの周りにも、こうした「もやもや」「息苦しさ」「生きづらさ」に寄り添いたいと思っている大人がいます。家族に相談しにくければ、スクールカウンセラーや保健室の先生、学校の先生たちなど、あなたが信頼できる大人への相談を考えてみてください。

コラム

コラム1:若い世代の自殺状況

2023年、全国の自殺者数は21,837人(警察庁自殺統計確定値)でした。そのうち小中高生は513人で、過去最多の22年(514人)に次ぐ高い数字となっています。
(神戸市の昨年の自殺者数は298人で昨年よりも43人増加しており、10代20代では39%増加となっています。)
自殺者の陰には10倍以上の数の未遂者がいると考えられ、決して他人ごとではありません。

コラム2:乱用・依存症・中毒の違い

依存症は、急に発症するものではありません。特定の物の使用や特定の行為を続けた結果、生じるものです。
また、アルコール依存症は、俗にアルコール中毒、薬物依存症は薬物中毒などと言われることもありますが、依存症と中毒が示す状態は異なります。
 

乱用 本来の目的や、社会のルールから外れた用い方をすること
依存症 脳の働き方に変化が生じ、やめよう、控えようと決意しても自分の医師ではコントロールできなくなる状態
中毒

毒(=薬物)によって生じる身体的に危険な状態

急性中毒:薬物による直接的な薬理作用によるもの。生命に危機が及ぶこともある。

慢性中毒:乱用が続くことで生じる慢性的な変化。乱用を中止しても続く場合がある。

 


 

 



 

お問い合わせ先

健康局保健所精神保健福祉センター 

健康局保健所保健課