最終更新日:2024年8月19日
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神戸市では市内医療機関等の協力のもと感染症発生に対し逐次情報を収集・分析し、その内容を市民のみなさまに公表することで感染症予防に役立つよう努めております。
感染症発生動向調査は、1981(昭和56)年から開始され、1999(平成11)年4月に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)が施行されたことに伴い、感染症法に基づく施策として位置づけられた調査です。
感染症の発生情報の正確な把握と分析、その結果の国民や医療機関への迅速な提供・公開により、感染症に対する有効かつ的確な予防・診断・治療に係る対策を図り、多様な感染症の発生及びまん延を防止することを目的としています。
2014(平成26)年感染症法改正に伴い、2016(平成28)年4月1日より感染症に対する情報収集体制が強化されることとなりました。詳細は下記の厚生労働省ホームページをご覧ください。
市内全医療機関の届出により把握する全数把握対象疾患(91疾患)と、あらかじめ指定した医療機関(定点)からの報告を得て行う定点把握対象疾患(25疾患)の合計116疾患について、患者発生状況の情報収集をしています。
〇全数把握疾患は、発生数が希少で患者数の動向よりも個々の症例の疫学調査に重点が置かれる疾患です。感染症法上の分類では一類~四類感染症の全部、五類感染症の一部、新型インフルエンザ等感染症及び新感染症が該当し、診断したすべての医師に報告の義務があります。
※届出は神戸市保健所保健課まで提出をお願いします。
【感染症法第12条抜粋】
(医師の届出)
第十二条 医師は、次に掲げる者を診断したときは、厚生労働省令で定める場合を除き、第一号に掲げる者については直ちにその者の氏名、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を、第二号に掲げる者については七日以内にその者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
一 一類感染症の患者、二類感染症、三類感染症又は四類感染症の患者又は無症状病原体保有者、厚生労働省令で定める五類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者及び新感染症にかかっていると疑われる者
二 厚生労働省令で定める五類感染症の患者(厚生労働省令で定める五類感染症の無症状病原体保有者を含む。)
〇定点把握疾患は、身近に存在し比較的報告数が多く、その流行状況を把握するために、患者数の動向把握に重点が置かれている疾患です。感染症法上の分類では五類感染症の一部及び法第14条第1項に規定する厚生労働省令で定める疑似症が該当します。全数把握疾患とは異なりあらかじめ指定された定点と呼ばれる医療機関のみ報告の義務があります。
【感染症法第14条抜粋】
(感染症の発生の状況及び動向の把握)
第十四条 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、開設者の同意を得て、五類感染症のうち厚生労働省令で定めるもの又は二類感染症、三類感染症、四類感染症若しくは五類感染症の疑似症のうち厚生労働省令で定めるものの発生の状況の届出を担当させる病院又は診療所を指定する。
2 前項の規定による指定を受けた病院又は診療所(以下この条において「指定届出機関」という。)の管理者は、当該指定届出機関の医師が前項の厚生労働省令で定める五類感染症の患者(厚生労働省令で定める五類感染症の無症状病原体保有者を含む。以下この項において同じ。)若しくは前項の二類感染症、三類感染症、四類感染症若しくは五類感染症の疑似症のうち厚生労働省令で定めるものの患者を診断し、又は同項の厚生労働省令で定める五類感染症により死亡した者の死体を検案したときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該患者又は当該死亡した者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を当該指定届出機関の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
定点医療機関とは、定点把握疾患(五類感染症の一部と厚生労働省令で定める疑似症)の発生状況を知るために一定の基準に従ってこれらの情報を報告してくれる医療機関のことです。
定点には、インフルエンザ定点、小児科定点、眼科定点、性感染症定点、基幹定点、疑似症定点、病原体定点と7種類があり、医療機関の中から保健所管内の人口に応じた数の定点医療機関を無作為に選定しています。
また、定点当たり報告数とは、一週間に一つの定点からどのくらい患者の報告があったかを表す数値で、この数値によって地域における感染症の流行状況が把握できます。例えば、神戸市保健所管内でインフルエンザ患者の報告が1,920件あったとすると、定点当たり報告数は1,920÷48=40となり、平均すると一つの定点医療機関から40人のインフルエンザ患者の報告があったことになります。(神戸市のインフルエンザ定点は48機関)
種別 | 数 | 調査対象疾患(定点把握疾患) |
---|---|---|
インフルエンザ定点 | 48 | インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。) |
小児科定点 | 31 | RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、 感染性胃腸炎、水痘、手足口病、伝染性紅斑、突発性発しん、 ヘルパンギーナ、流行性耳下腺炎 |
眼科定点 | 10 | 急性出血性結膜炎、流行性角結膜炎 |
性感染症定点 | 12 | 性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、 尖圭コンジローマ、淋菌感染症 |
基幹定点 | 3 | インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。) ※ただし、入院患者に限定する。 感染性胃腸炎のうち病原体がロタウイルスであるもの、 クラミジア肺炎(オウム病を除く。)、細菌性髄膜炎、 マイコプラズマ肺炎、無菌性髄膜炎 ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症 薬剤耐性緑膿菌感染症 |
疑似症定点 | 7 | 法第14条第1項に規定する厚生労働省令で定める疑似症 発熱、呼吸器症状、発しん、消化器症状又は神経症状その他感染症を疑わせるような症状のうち、医師が一般に認められている医学的知見に基づき、集中治療その他これに準ずるものが必要であり、かつ、直ちに特定の感染症と診断することができないと判断したもの。 |
病原体定点 | 26 | 必要に応じて病原体検査のために検体等を採取する。 |
定点医療機関からの患者報告数が一定のレベルを超えた場合、迅速に注意喚起を行うことを目的に注意報・警報を発信します。
注意報は流行の発生前であれば、「今後、4週間以内に大きな流行が発生する可能性が高いこと、流行の発生後であれば流行が継続している」と疑われることを示します。
警報は「大きな流行が発生または継続しつつあると疑われること」を示します。
※注意報・警報は週報等にて発信します。
疾病 | 警報レベル:開始基準値 | 警報レベル:終息基準値 | 注意報レベル:開始基準値 |
---|---|---|---|
インフルエンザ | 30 | 10 | 10 |
咽頭結膜熱 | 3 | 1 | - |
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 | 8 | 4 | - |
感染性胃腸炎 | 20 | 12 | - |
水痘 | 2 | 1 | 1 |
手足口病 | 5 | 2 | - |
伝染性紅斑 | 2 | 1 | - |
ヘルパンギーナ | 6 | 2 | - |
流行性耳下腺炎 | 6 | 2 | 3 |
急性出血性結膜炎 | 1 | 0.1 | - |
流行性角結膜炎 | 8 | 4 | - |
報告いただいた感染症に関する情報は、毎週、週報として公表しています。また、毎月特定の感染症について特集している月報やインフルエンザによる学級閉鎖等の状況、年間の市内感染症発生状況についてもホームページに掲載しています、