最終更新日:2023年1月11日
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油井副市長会見の模様をお届けいたします。
・神戸市、防災科学技術研究所が包括連携協定を締結
~災害対応力向上・レジリエントなまちづくり~
会見資料はこちら(PDF:1,258KB)
・神戸市、防災科学技術研究所が包括連携協定を締結
司会:
それでは、ただいまより神戸市防災科学技術研究所との包括連携協定締結に係ります記者会見を開始いたします。
まず最初に、会見出席者を御紹介いたします。
国立研究開発法人防災科学技術研究所理事、安藤慶明様でございます。
油井洋明神戸市副市長でございます。
それでは、油井副市長より、協定締結に当たりまして御挨拶を申し上げます。よろしくお願いいたします。
油井副市長:
皆さん、こんにちは。神戸市副市長の油井でございます。
本日は、国立研究開発法人の防災科学技術研究所の安藤慶明理事にお越しいただきまして、防災科学技術研究所と神戸市の間で、包括連携協定を締結させていただくことになりました。安藤理事におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
防災科学技術研究所につきましては、昭和38年に設立されたということで、今年の4月1日が、先ほどもちょっとお聞きしたんですけど、60周年を迎えられると、そういう機関でございまして、防災科学技術における研究開発の中核的な役割を担っておられる機関でございます。
このたび、防災科学技術研究所と神戸市は相互の連携を強化しまして、災害対応力の向上、それから、災害に強いレジリエントなまちづくりを推進するために、本日協定締結に至ったというところでございます。
神戸市におきましては、平成7年に阪神・淡路大震災を経験しましたけれども、それを教訓としまして、これまでハード整備の取組みとしまして、大きなところでいきますと、例えば防潮堤のL2(1000年に1度程度の津波)に耐えられる整備を今やっていまして、今年度中には防潮堤の整備が完了すると。それから、上水道の大容量の送水管の整備、また、いろんな公共施設の耐震化等に取り組んできたところでございます。
また、ソフト面の取組みとしまして、自主防災組織でございます防災福祉コミュニティの活動支援、また、防災・減災の取組みもなどを推進してきたところでございます。
一方で、震災から、来週の火曜日が1月17日ですけれども、28年が経過しようとする中、防災に関する人口動態であるとか、また科学技術、それから自然環境を取り巻く環境は変化してございまして、災害への備えであるとか対応のあり方も変化してきていると、そういう状況にあろうかというふうに思ってございます。
そこで、防災科学技術研究所の最新技術、それから研究、それから情報を取り入れることによりまして、神戸市の災害対応を進化させて、先進的なテクノロジーを活用した防災対策、防災対応力の向上につなげてまいりたいというふうに考えているところでございます。
このたび連携していく内容については3つございまして、1つは災害に強いレジリエントなまちづくりの推進ということ、それから2つ目が、先進的な防災科学技術や情報の活用をはじめ、科学技術の推進、それから3つ目が防災・減災のために講じた取組みの効果の考証及び次世代防災教育に関すること、この3つでございます。
詳細については、この後御説明をさせていただきますけれども、双方で協力しながら、連携事業に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。自然災害をはじめとするあらゆる危機に備え、誰1人として取り残さない、また人を大切にする、安全・安心なまちの実現を目指して、この連携協定がゴールではございませんので、これを契機、またスタートとしてさらに連携を深めて、協定の取組みを推進して、具体的な成果につなげてまいりたいというふうに考えてございます。
改めまして、防災科学技術研究所の安藤理事をはじめ、防災科学技術研究所の皆様には御礼を申し上げます。ありがとうございます。
以上でございます。
司会:
ありがとうございます。
それでは、続きまして、安藤理事より御挨拶を賜ります。どうぞよろしくお願いいたします。
安藤理事:
防災科学技術研究所の理事の安藤でございます。今日は多数お集まりいただきまして、ありがとうございます。簡単に御挨拶させていただきたいと思います。着席で失礼します。
今日、このような形で神戸市との間で包括的な連携協定が締結することができましたことは、大変うれしく思っております。神戸市の久元市長、そして、今日ここにおいでの油井副市長をはじめ、神戸市の危機管理室の皆さん方にも、この協定の締結に至る間、いろいろ御支援、御理解、そしていろんな形で生産的な議論をさせて、ここに至ったことで、大変うれしく思っております。
皆さん方、防災科研、私どもは防災科研と呼んでおりますけれども、あまり御存じないかもしれませんけれども、少しだけお時間をいただいて、簡単に御説明をさせていただきたいと思います。
私ども国立研究開発法人防災科学技術研究所といって、つくばに本拠を構える研究所でございます。文部科学省の所管で、先進的な科学と技術で災害に立ち向かうという、こういうことをミッションに掲げた国立の研究開発法人でございます。職員は、事務と研究者で350人というふうに、大体そういういうふうに思っていただいて、半々ぐらいで構成されている、小さな研究所ではありますけれども、防災科学技術という観点では、我が国では中核的な役割を果たそうということで日々頑張っている組織でございます。
自然災害を対象にはしておりまして、災害の予測からその予防、そして発災後の対応を迅速に行うという復旧・復興と、こういったところ全てを視野に入れて、オールフェーズで立ち向かう、そのための科学技術を提供するという、こういう視点で取り組んでおります。
特に、私どもは情報プロダクトという概念を立てて、皆さんが使いやすい形で情報を提供すると。そして、災害対応のほうに万全を期していただく、しっかりと判断をいただくと、こういう情報をしっかりうまく提供していくということを非常に大事なこととして位置づけて取り組んでおります。特に、世の中でも話題になることがあります南海トラフの大地震、こういったところにも焦点を当てて、私どもは国難級災害ということにどう立ち向かうかということを明確に掲げて、対応についての検討を、研究を進めているという、そういう研究所でございます。
そういう意味で、阪神・淡路大震災を経験されて、その中でここまで復旧・復興をしっかりと進めてこられた神戸市との間で、防災、そしてレジリエントな社会づくりということで取り組んでいけることになるという、そういうことは非常に、研究所全体で大変うれしく思っているというところでございます。神戸市のほうは、先ほどお話がございましたように、誰1人取り残さないという、そういう強い思いで安全・安心なまちづくりを進めておられると、そういう市でございますので、そういったところと、そこのビジョンを基に、私どものほうでICTであったりAIであったり、いろんな先進的なテクノロジーを駆使して対応ができればというふうに思っております。
これから将来を、どういうまちづくりをしていくかというところを一緒に考えていける、そういう機会を今回いただいたというふうに思っておりまして、その意味で、私どものほうでは、研究を通して科学技術の成果をうまくつくり上げて、それで、この神戸市を1つの大事な実証のフィールドということで使わせていただいて、共に考えて対応してまいりたいというふうに思っております。今日は本当にありがとうございます。
司会:
ありがとうございました。
それでは、続きまして、神戸市危機管理室担当課長の吉見より、このたびの包括連携協定の内容につきまして御説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
吉見危機管理室担当課長:
それでは、私より御説明させていただきます。スライドのほうを御覧ください。国立研究開発法人防災科学技術研究所様と神戸市との包括連携協定について説明いたします。
まず初めに、協定締結の経緯について御説明いたします。
本市は御案内のとおり、平成7(1995)年に阪神・淡路大震災を経験し、内外から様々な支援をいただきながら、町の復旧・復興を果たしてまいりました。また、最近では新たな技術も積極的に活用し、安全・安心なまちづくりを推進しているところでございます。
防災科学技術研究所様におかれましては、防災・減災の研究人材を多数抱える国立の研究開発法人として様々な技術、研究成果、情報等を有し、防災分野における社会課題の解決に取り組まれているところでございます。これまでも、本市と防災科学技術研究所様との連携により、災害時のドローン活用や、防災チャットボットによる災害情報収集の仕組みの実証研究等を通じて、災害対応力の強化、向上に取り組んできたところです。
このたび、本市と防災科学技術研究所様が連携をさらに強化し、最新の知見・技術・情報を活用し、災害に対してしなやかに対応できるまちづくりの実現に向け合意しましたので、本日、包括連携協定を締結するに至ったところでございます。
連携項目については、こちらに記載のございます災害に強いレジリエントなまちづくり、先進的な防災科学技術・情報の活用、防災・減災の考証及び次世代防災教育の3点でございます。順に説明させていただきます。
項目の1つ目、災害に強いレジリエントなまちづくりでございます。
本市は海と山を抱えると同時に、三宮を中心とする市街地エリアがございます。神戸市の海・山・市街地、それぞれの災害リスクをサイバー空間で分析し、災害に強い都市空間の構築に生かしていくことや、南海トラフ地震等の発生時の瓦礫の発生量、集積地、海洋への漂流物等の関西圏域への影響を踏まえた本市の応援・受援の在り方に関する研究に協働、連携しながら取り組んでまいります。
また、本市は震災後、防災福祉コミュニティ等を中心に住民の防災意識の向上、住民同士の助け合いにつなげていく組織づくりを図ってきましたが、こうした基盤を生かしながら、人口減少、地域コミュニティの変化に応じた持続可能な防災基礎力の向上のため、自助・共助・公助がどうあるべきかのモデル研究開発に取り組んでまいります。
2つ目は、先進的な防災科学技術・情報の活用でございます。
ドローンの活用につきまして、これまでも防災科学技術研究所様と連携し、ドローンによる撮影飛行や、画像のマッピング化により、災害対応時の意思決定に役立てる共同研究に取り組んできたところです。今後、ドローンが物流をはじめとした空のインフラとして機能していくことが想定される中、災害時においてもレスキューインフラとして情報収集、避難誘導、物資運送、通信途絶時の対応等、幅広く多様な活用に向けた実証研究を進めてまいります。
続いて、基盤的防災情報流通ネットワーク(SIP4D)への参画につきまして、災害時には避難所の開設状況や道路途絶の情報等を、国・県・市・自衛隊・ライフライン事業者等、様々な関係機関で共有する必要がございます。これらの情報を一元的に集約、見える化し、迅速な対応に生かしていく情報基盤として、現在防災科学技術研究所様において実証研究が進められているところです。本市もこの仕組みに参画することで、災害時の状況把握、的確な応援・受援につなげていきたいと考えているところでございます。
また、AI技術を防災にも活用し、過去の災害観測データや映像による被害推定を活用し、被災時に被害規模を迅速に可視化し、復旧・復興に生かしていく研究に参画してまいりたいと考えております。
項目の3つ目は、防災・減災の考証及び次世代防災教育でございます。
阪神・淡路大震災後30年の考証についてですが、本市におきましては震災後、津波発生に備えた防潮堤の整備や大容量送水管の整備等、ハード面の整備を進めてくるとともに、ソフト面の取組みとして、自主防災組織である防災福祉コミュニティ等を中心に、震災の経験・教訓の継承を図ってきたところでございます。震災を契機に進化し、次世代に継承していくべき取組みについて、専門家の視点で評価・考証いただくことで、2025年に震災30年を迎える本市の将来の災害対応に生かしてまいりたいと考えております。
続いて、次世代防災教育につきまして、震災の経験・教訓の継承に当たり、これまでの防災教育コンテンツに限らず、VRやARを用いた次世代型のコンテンツ等を開発することで、防災基礎力の向上につなげていきたいと考えております。
最後に、人材交流として、本市と防災科学技術研究所様との経常的な連携を通じまして、現状生じている現場の行政ニーズを速やかに情報連携していくとともに、先進的な防災技術を本市としていち早く取り入れ、行政機関として実践的な防災活動につなげていく取組みを進めてまいりたいと考えております。
防災科学技術研究所様におかれましては、豪雨災害や南海トラフ地震等、国難級の災害を想定した際に、本市を西日本の中心的フィールドとしていくことを念頭に取り組まれるとともに、本市としても災害対応力の向上、レジリエントなまちづくりにつなげてまいりたいと考えております。
私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。
記者:
ちょっと全体的なところからお伺いしたいんですけども、防災科研さんは今までも自治体と連携していろいろな事業をされてきたと思うんですけれども、この協定を結ぶことによって新たにできることというのは何なのでしょうか。
安藤理事:
協定を結ぶことということは、これを結んで終わりということではなくて、実際に時々の社会のニーズであったり情勢というものを把握しながら、それに応じた対応を考えていく、一緒に考えていく枠組みをつくったということになります。
その枠組みをしっかりと明確に位置づけることで、関係する部署、あるいは職員が一緒に考える機会をきちっと与えていただくということが明確になるので、非常にそういう意味では、取り組むときのモチベーションが上げられるだろうというふうに思います。ほかの自治体ともいろんな枠組みをつくってやってきておりますけども、枠組みをつくるというのは定式化、あるいは定常化された手順とか仕組みを、それを実行するということで、大体標準的なやり方というものがあればそれにのっとってやるということで、枠組みをつくるところの意味は、定型化された枠組みで効率よく実施できるということがあるんですけれども、それに加えて、やっぱりいろんなことを考えていけるようなことをそれぞれの機関のトップが合意することで、ある種目標の共有とそれに合わせた活動についての1つのお墨付きを職員に与えていただける大変重要なことだと思っています。
記者:
この協定自体はもう神戸市で幾つか目なんですか、他にも例があるんでしょうか。
安藤理事:
全貌をちょっと把握しているわけではないんですけれども、幾つかございます。先ほどちょっとありました情報の共有展開の仕組みというもので、基盤的防災情報流通ネットワーク(SIP4D)という情報共通伝達のシステムづくりがありますけれども、これを実証するに当たっては、十数箇所の自治体との間で協定を結ばせていただいて、実証実験をさせていただいていますし、防災に向けたいろんな研究活動を結ぶ上で、他の自治体とも協定を結んだものはございます。具体的な名前等は後からであれば御提供できると思います。
記者:
あと、ドローンですとかAIなど、そういう技術を使ったものというのは基本的に防災科研さんの持っているリソースであって、それを神戸市を舞台にいろいろ分析したり、使っていきますよということですよね。
安藤理事:
利用するリソースというものはいろいろあると思っております。もちろん防災科研においてもドローンを有していまして、それを使うということは考えているんですけれども、1つの情報の使い方という意味で言えば、衛星の情報をどう使うか、それを考えることが大事だと思っています。広域の情報をいち早くつかんで、どこで問題が起きているのかといったところをまず迅速につかみ、それを少しずつブレークダウンしていくことが必要ですので、そうすると今度は衛星からドローンでもう少し詳細な情報を取る、レーダーで情報を取るという形で少しずつ詳細な方向にブレークダウンしていくことになりますけれども、それは誰もが使えるリソースもありますので、それをしっかりと活用しながら、問題はそこから得た情報をどう生かしていくかといったところですので、そこに知恵・力の使いどころがあって、そここそが研究所としての役割を果たすべきところだと思っています。
記者:
分かりました。
神戸市の方でもドローンを持っていると思うんですけども、場合によってはそちらも使ったりということもあり得るんでしょうか。
油井副市長:
ドローンにつきましては、先ほども説明をさせていただいたところでありますけれども、防災科学技術研究所の指導等のおかげで、災害時においてドローンをどう有効活用していくのか、そういう共同研究を過去にしておりました。今回、包括連携協定を結ばせていただいて、今後のドローンの活用の1つとして、ドローンが物流のインフラとして機能する未来が描かれていると。
そういう中で、例えば緊急時のレスキューインフラとして、また、情報収集であるとか、避難、誘導、物資の運送とか、いろんなことに利用されていくのではないかと思いますので、そういった多様な活用に向けて研究を進めていきたいと思っております。
ドローンには当然飛ぶだけではなくてカメラを搭載したり、ライトをつけたりとか、いろんなことがありますので、それを災害の対応にどう生かすことが一番有効かといった研究を一緒にさせていただけたらと考えてございます。
記者:
ありがとうございます。
もう1点だけ、震災30年の考証というお話があったんですけども、30年に向けて専門家視点で分析・考証すると。これは30年の時に何か市と一緒にまとめたりとかそういうお考えがあるのでしょうか。
吉見危機管理室担当課長:
今年の1月17日で震災28年を迎えるということで、既に資料提供の方もさせていただいているんですが、今年度につきましては「1.17Treasure&Future」ということで、防災のこれまでの取組みの中で「よくなったこと」、あるいは「変化したこと」、それから今後の防災について「あったらいいなと思い描く将来について」、市民の皆さんに1月17日から3月11日までの間、意見募集の方を進めておくということで、こちらは既に公表済みです。
この取組みにつきまして、また、いただいた意見を集約していく中で、まずは防災科学技術研究所様にも専門家の観点で意見の整理、あるいは御助言をいただくというところから始めていきたいと考えております。
また、30年まであと残り2年というところもございますので、この取組みを契機に今後30年に向けた課題の整理等も合わせて共同で連携して進めていければと考えております。
記者:
安藤さんにお伺いしたいんですが、先ほどおっしゃった所在地としては、つくば市ということでよろしいのでしょうか。分かりました。先ほどお話にもあったように他の自治体とも連携協定を結ばれてきたということなんですが、今回、神戸市と連携協定ということで、震災の話もありましたが、神戸市だから期待すること、こういうことができるんじゃないかというのはありますでしょうか。
安藤理事:
いろいろあります。先ほど抽象的には、阪神・淡路大震災を経験されて、それをしっかりと乗り越えてこられたという意味で、災害対応に関わるいろんな主体を考えないといけないと思っていますけども、1個人から神戸市さんをはじめすると自治体、それから公共的機関、それから民間、こういった主体があると思いますけれども、そういったところが自ら果たすべき役割をしっかりと認識して取り組んでいくといったところ、そういう力をつけるところが防災対応の基本になるだろうと。
私ども基礎力と呼んでおりますけども、そういう意味でそういう基礎力がある自治体というところと一緒に組ませていただくことで、私どもはやはり研究という視点で考えれば、実証実験、実証試験をいろんな形でさせていただきたいと思っていますので、そういった時に基礎力をしっかりと持っておられるような方々と協力をして、取組みをさせていただくということが一番生産性の高い成果の実証につながるのではないかと思っています。
それはいろんなレベルでございまして、研究所も理化学研究所をはじめ、あるいは神戸大学のような「知」を生み出す機関もここにはございますし、それから、やっぱり人を中心に考えていけば、とにかく災害の際に一番弱者は誰になるのかということを考えていけば、福祉的な観点を入れた対応というのは当然必要になってまいりますから、そういったところの対応がうまくできるように、いかに意味のある情報を届けていくかということを考えていかないといけないとすると、どういう情報をどういう形で届けるのが一番いいのかといったところが実証実験の大きなテーマになると思います。
これは私どもだけではなくて、厚生労働省の関係機関であったり、大学であったり、いろんなところが同じように考えて取り組んでおられるところがあると思いますけども、そういったところとも連携をできるだけ取らせてもらいながら、取り組んでいければいいかなと思っていまして、やっぱり大事なことはそういう基盤がしっかりとあって、また、必要なリソースもきちんと使おうと思えば使えるような環境が整っている、そういう地域ではないかと思っている。そこが私どもにとっては大変な魅力であります。
記者:
災害対応の基盤があるというか、基礎的な力がある自治体ということで期待されているということですかね、分かりました。
先ほどお話の中で実証実験というお話もあったんですが、どういったものというのは具体的には想定されていますか。
安藤理事:
例えばですけれども、これは先ほど説明の中にも出てまいりましたけども、基盤的防災情報流通ネットワーク(SIP4D)の運用に参画をしていただくという意味で考えますと、どの自治体も災害が起きた後に現場の状況をいかに把握して、つまり、インフラが壊れたであったり、停電が起きた、あるいは避難所が開設された、道路が遮断されて物資の供給が滞っている、こういった情報を把握して対応するんですけども、必ずしもそれが部局横断でうまく使いやすいような形になっていないといった現状が多くの自治体に見られます。
それをうまくシステム間をつないで使いやすい情報として一体化していくことで、できるだけ多くの情報を集約することで、現場の指揮において効率的な対応が可能になるようにうまく情報をそろえていきたいと思っています。
そのシステムづくりはそれぞれの自治体が各部署で持っているシステムをベースに考えていかざるを得ないので、そこはやってみないとどこに不具合があったりとか、使いにくさがあるかというのは分かってこないという状況があると思いますから、そこは実証試験においては大変重要なテーマになろうかと思います。
あとは1つの町として考えたときに、いろんな災害の起きた後の影響をどう伝えていくか、リスクをどう伝えていくかといったところを考えないといけないと思っています。これもまた例えばですけども、私ども兵庫県三木市にE-ディフェンスという実験施設がございます。
そこは建物を振動台に乗せて揺らして耐震性を実験するという実験施設でありますけれども、これも建物1つではその町のリスクというのは評価できないので、複数の建物をまとめて評価するとか、もう少し地域に広げて、他の道路であったり、生活インフラとの状況も重ね合わせてリスク評価をしていくといったことも考えないといけないんですけども、それも地震ということでまず考えていけば、センサーをいろいろつけて、そのセンサーから得られる情報を重ね合わせていくということで、より広がりを持った把握ができるものですから、そこで得られた情報をどう重ねていくかといったところもいろいろこれから実験としてはやってみる価値があると思っていますので、このあたりもどういうところにどういう形でセンサーを置くのか、うまく既存のセンシングな手法を活用するのかこれから考えないといけないと思いますけども、広がりを持ったリスク評価という観点でも、1つのフィールドで実験研究ができるというのは大変重要なことだと思っています。
記者:
最後に今回の協定はどちらから申出というか、依頼というものがあったのでしょうか。
安藤理事:
正直申し上げて、私どものほうから「ぜひ一緒にやらせてください」というお話をさせていただきました。それ以前から、先ほど副市長のほうからもお話がありましたように、ドローンをはじめ協力をしながら取り組んでいる実態がそれ以前から既にありました。そういうベースがあってこその話だと思いますけども、それを元にもっと防災という観点で広がりを持たせながら具体的なニーズを上手く拾い上げて対応していける、そういうことに役立てる研究ができるのではないかと、神戸市であればそれができるのではないかと思い、私のほうから持ちかけをさせていただいたと私は思っています。
油井副市長:
先ほど理事がお話ししたような形なんですけれども、神戸市にとりましても防災科学技術研究所のおかげでドローンの災害時の活用であるとか、LINEを使った災害の情報収集を今までやってきたんですけども、そういう点で個別のいろんな取組みはしてきたんですけれども、やはり先進的なテクノロジーを災害対応に役立てていきたいという思いから、防災科学技術研究所の中では災害の予測であるとか予防、また、災害対応、復旧・復興の全ての段階において自然科学の分野、また、社会科学の分野、様々な研究者がいらっしゃるということの中で幅広い防災分野全般にわたって取組みを一緒にしていくことは防災力の向上につながるということで意見が一致して、今回、包括的な協定を結ぶに至ったというところでございます。このページは接続環境によって、映像・音声などがみだれたり、スムーズな視聴ができない場合があります。あらかじめご了承ください。