ホーム > 文化・スポーツ > 文化施設 > 谷崎潤一郎旧邸 倚松庵(いしょうあん) > 倚松庵の南向きの窓
最終更新日:2024年9月30日
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二階の欄干から見おろすと、玩具の寝台や、洋服箪笥や、椅子や、テーブルや、西洋人形など、こまごました物が並んでいるのが残らず見分けられ、二人の少女の甲高い声がはっきり聞き取られるのであるが、二人は雪子に見られていることに気が付かないで、遊びに夢中になっていた。(上巻18章)
或る日の朝、一遍に春らしくなった空の色に惹かれて、病室の縁側まで座布団を持ち出して日光浴をしていると、ふと、階下のテラスから芝生の方へ降りて行く雪子の姿を見つけた。(上巻29章)
雪子はこの窓から下のベランダで遊んでいる悦子を見下ろし観察。別の章では幸子はこの窓から雪子を見下ろし、行き遅れた彼女のことを思う。
この窓は下にいるものから気付かれずに見降ろし観察できるスポットとして描かれている。