ホーム > 文化・スポーツ > 文化施設 > 谷崎潤一郎旧邸 倚松庵(いしょうあん) > 倚松庵の2階6畳 中の部屋
最終更新日:2024年9月30日
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たとえば蘆屋の家にも、雪子と妙子とが共同で使う部屋を一つ当てがってあったが、妙子がそこを始終仕事場に利用するようになった機会に、幸子のはからいで雪子を悦子と同居させることに定めた。悦子の部屋と云うのは二階の六畳の日本間で、畳の上に背の低い小児用の木製の寝台が置いてあり、今まで夜は女中が一人その寝台の下に寝床を敷いて悦子に附き添って寝ていたのであるが、(上巻6章)
この部屋は、作品では悦子の部屋にあてがわれている。8畳の部屋と一間のふすまで、西の部屋の縁側と扉で通じている。採光は南の窓と西の障子のみでやや閉鎖的な雰囲気。
倚松庵の前に住んでいた芦屋打出の家では、松子やその娘恵美子のために部屋の模様がえをして迎え入れたという谷崎。養女・恵美子の部屋にはピンクの壁紙、金色の定紋のついた白いラッカー塗りのベッド、机があったという。悦子の部屋のイメージも自然と思い浮かぶ。