ホーム > 文化・スポーツ > 文化財・民俗芸能 > 神戸の土木遺産と歴史 > 神戸市内の土木遺産の紹介 > 烏原立ヶ畑堰堤(からすはら(たちがはた)えんてい)
最終更新日:2021年9月29日
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『水道専用ダムとしてはわが国で第4番目。堤体をアーチ状に湾曲させた優美な姿。』
神戸市創設水道の水源地堰堤として明治38年5月(西暦1905年5月)竣工した。総高33.33メートル、堤長122.42メートル、有効貯水容量1,315,139立方メートル、アーチ型重力式堰堤で、表面張石粗石モルタル積である。
設計は佐野藤次郎である。神戸市創設水道の水源池堰堤としては明治33年3月(西暦1900年3月)竣工の布引五本松堰堤がわが国初の重力式粗石コンクリート堰堤として著名であるが、五本松堰堤が直線型であるのに対し、烏原堰堤は堤体をアーチ状に湾曲させ優美な姿となっている。また、堰堤中央上部に四連アーチの余水吐を設け、取水塔には古典的な装飾が施され、入り口には扁額「養而不窮」の文字がある。
五本松堰堤の漏水に苦しんだ佐野はインドへ堰堤調査に出かけ、その成果を烏原堰堤に注いだ。
水道専用ダムとしては、わが国で第4番目にあたる。一部基礎岩盤にグラウチング、モルタルの砂分にスキル(下等煉瓦を粉砕して0.15mmフルイを通過したもの)を添加してモルタルの水密性を高めるなど、漏水対策が採用されている。
開国により近代港都として誕生した神戸は、六甲山系南麓の狭隘な扇状地群に立地しており水利に乏しかったが、近代水道の創設によりKobe Waterの名声を得て、国際港都としての発展をとげた
1998年 国登録有形文化財に登録