最終更新日:2023年8月7日
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レジャーや野外作業、農作業等でダニの生息場所に立ち入ると、ダニに咬まれることがあります。ダニがウイルスや細菌などを保有していた場合、感染症を発症することが知られています。
※感染症を引き起こすダニは「マダニ類」「ツツガムシ類」と言われており、食品・衣類や寝具など家庭内に生息するダニとは全く種類が異なります。
全てのマダニ類・ツツガムシ類が病原体(ウイルスや細菌)をもっているわけではありません。
2021年の兵庫県内における日本紅斑熱発生数は、10月10日時点で16件と、例年より多い状況で推移しています。野外活動時、ダニに咬まれないための予防対策が必要です。
マダニは、全国の草むら、やぶ、森林などに生息しています。一年を通して活動をしていますが、気温が15度以上になる4月~10月に活動が盛んになります。野外活動等でダニの生息している場所に入ると噛まれる可能性があるので、ダニに噛まれないための対策が必要です。
なお、神戸市健康科学研究所の調査によると、六甲山において10月から12月初旬にも主にキチマダニが多く存在しており、冬の時期でもダニ対策が必要です。
六甲山系で採取されたマダニの月別採取数
かならず、専門の皮膚科などの医療機関を受診してください。
以下の注意点も参考にしてください。
中国で2009年頃から発生が確認され、2011年に初めて原因ウイルスが特定された、マダニに刺されることで感染する新しい感染症です。わが国でも2013年1月に初めて患者が確認されて以降、九州及び西日本を中心に患者が発生し、毎年60~100例程度の報告がされています。現在までに神戸市内での患者発生はありませんが、兵庫県内では2013年5月中旬と7月下旬に但馬地域で2件、2017年7月中旬に播磨・姫路地域で1件、2019年7月中旬に播磨・姫路地域で1件、2021年6月上旬に但馬地域で1件の発生がありました。厚生労働省の研究班の調査では、複数のマダニ種(フタトゲチマダニ、ヒゲナガチマダニ、オオトゲチマダニ、キチマダニ及びタカサゴキララマダニ等)からSFTSウイルス遺伝子が検出されており、ウイルス保有率は5~15%程度であったと報告されています。また、既に患者が確認されている地域だけではなく、患者が報告されていない地域SFTSウイルス保有マダニが確認されていることから、SFTS患者の発生が確認されていない地域でも十分な注意が必要です。
ウイルスを保有するマダニに噛まれることで感染します。マダニは、森林や草地に生息する体長3~4mmの比較的大型の吸血性のダニで、市街地の草むらにも生息していることがあります。家庭内に生息するダニ(イエダニ、ヒョウヒダニ、コナダニなど)とは種類が異なります。
潜伏期間は、マダニに噛まれてから6日~2週間程度とされています。
この病気にかかると、発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、腹痛、下痢)、時に頭痛、筋肉痛、神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸器症状(咳など)、出血症状(紫斑、下血)を起こします。
すぐに医療機関を受診してください。
多くの場合、マダニに咬まれてSFTSウイルスに感染すると考えられますが、マダニに咬まれた痕が見当たらない患者もいます。
最近の研究で、SFTSウイルスに感染し、発症している野生動物やネコ・イヌなどの動物の血液からSFTSウイルスが検出されています。このことは、SFTSウイルス感染している動物の血液などの体液に直接触れた場合、SFTSウイルスに感染することも否定できません。
今般、体調不良のネコからの咬傷歴があるヒトがSFTSを発症し死亡した事例やSFTSを発症したイヌからヒトに感染した事例が確認されました。ヒトにSFTSウイルスを感染させるリスクのあるネコなどは、ヒトのSFTSで認められる症状を呈していたことが確認されており、健康なネコなどからヒトがSFTSウイルスに感染することはないと考えられます。また、屋内のみで飼育されているネコについては、SFTSウイルスに感染する心配はありません。
なお、ヒトのSFTSで認められる症状を呈していたネコに咬まれたヒトがSFTSを発症し、亡くなられた事例について、そのネコから咬まれたことが原因でSFTSウイルスに感染したかどうかは明らかではありません。
SFTS以外の感染症に対する予防の観点から