最終更新日:2023年6月22日
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司会:
それでは、6月2回目の市長定例会見を始めさせていただきます。
市長、よろしくお願いいたします。
久元市長:
よろしくお願いいたします。
今日、私がお話を申し上げたい案件は3件です。コロナウイルスの感染状況、ChatGPTの具体的な活用方法、それから竹林の保全・再生について、3点お話をいたします。
コロナの状況ですけれども、5月8日から取扱いが変わりまして、感染法上の取扱いだけではなくて、感染状況の把握につきまして、方法につきましても取扱いが変わりました。いわゆる定点観測に移行することとなったわけです。5月8日からは、毎週月曜日から日曜日までのこの1週間の患者数を、神戸市の場合には48か所の定点医療機関から報告をしていただくという、そういう取扱いをしております。
この数字は、この48の医療機関の1つの医療機関の1週間の平均発生患者数です。5月8日から14日、それから1週間ごとに数字をグラフにしてあるわけですけれども、緑色が神戸市、それから薄緑が兵庫県、それからグレーが全国です。神戸市は、全国平均、兵庫県よりも下回っているところですけれども、全国的に見ましても、また神戸市の状況を見ましても、この定点観測の数字は微増の傾向にあるというふうに考えられます。
病床使用率がどうなっているのかですけれども、病床使用率の現在の状況は、直近では21.5%、6月19日が25%でしたので若干下がっていますが、しかし、5月23日が9%でしたから、病床使用率も上がってきているという状況です。ただ、入院をされている方々のほとんどは、高齢の軽症者ということですが、一方で院内感染が発生している医療機関もあります。
一方で、コロナ疑いの救急搬送につきましては、6月19日が7件、20日が1件、6月21日が8件、昨日ですね、ということで、そんなに件数は多くはありませんので、順調に搬送ができております。また、医療機関同士の入院調整につきましても、円滑に運用ができているというふうに考えております。
宿泊療養施設ですけれども、今2か所ありますが、5月8日以降の利用はありません。一方で高齢者施設、障害者施設、病院、病院は1か所ですけれども、クラスターが発生をしていると、こういう状況にあるところです。
神戸市は健康科学研究所でこのゲノム解析を行う、サーベイランスをしっかりと行うという方針をコロナの感染拡大期も含めて今まで行ってきたところですが、変異株については、このオミクロン株の亜系統の状況ですけれども、これにつきましては、変異株の種類に変化が見られているということがあります。この黄色の部分、これBA.5系統というもの、これが今年の3月ぐらいまではこれが主流だったわけですが、今年の4月ぐらいからXBB系統、それぞれこの色づけをしているのがXBB.1.5、XBB.1.9、XBB.1.16、こういうXBB系統のものにかなり置き換わってきているということが見て取れます。
それぞれのこのXBBが何を意味するのかということにつきましては、これは説明を省略させていただきますが、それぞれ、例えばアフリカ、中東地域以外で割合が上昇しているような系統、欧州などで上昇しているような系統、あるいはアメリカなどで感染が広がっているというように、地域ごとに差がありますけれども、そういうものがこの4月以降、我が国にかなり入ってきている。それを健康科学研究所でしっかりとゲノム解析を行った上で、こういう状況にあるということです。
この結果、重症者の急増が見られるということはありませんで、このXBB系統につきましては、WHOや国立感染研究所の研究では、若干この免疫回避の系統傾向が見られるということですが、実際にこのことによって感染が広がっているということはないのではないかというふうに考えられます。
いずれにいたしましても、この変異株がどういうふうに変化しているのか、遷移しているのかということを把握するということは、神戸市としては大変重要なことだと考えております。コロナの感染が始まって以来、当初から、趨勢的に見れば弱毒化の傾向になっていくのではないか。現実にそういうような傾向が見られるわけですが、ウイルスにつきましては、まだまだ未知の領域がたくさんあります。この変異株の状況で、これが重症リスクが高いとされるような変異株がもし発見されれば、これはそれに基づいてアラームを発していかなければなりません。
神戸市は、こういう変異株のゲノム解析につきましては、相当経験を積んできておりますので、国立感染研究所ともしっかり情報を共有し、いち早くこの危険性が高い変異株が発見された場合には、市民の皆さんや内外に対しても、その状況をいち早く正確に発表していきたいというふうに考えております。
以上のような状況を考えれば、現在のこのコロナウイルスの感染状況については、若干感染の拡大が見られるということ。そして、その感染の拡大によって医療提供体制に影響が出ているということは言えませんけれども、しかし、この感染の拡大が広がっていけば、重症者が増える可能性は、今のところはほとんど考えられないにしても、社会生活に影響を与えるということはあり得ます。いずれにしても、感染の拡大を防いでいくということは重要です。
同時に、そのために行動変容を求めていくというような状況でもないであろう。このコロナウイルスとの共存を図りながら、私たちの平穏な日常生活を維持し、経済活動との両立を図っていくことが求められるというのが今の状況ではないかと思います。したがいまして、今の状況では、発熱などコロナの感染が疑われるような場合には、かかりつけ医などに診察をしていただく。そして自宅でしっかり療養をしていただいて、外部の方との接触は極力避ける、そのような行動を市民の皆さんにはお願いをしたいというふうに考えております。
2点目はChatGPTの活用です。神戸市としては、ChatGPTの活用いかんによっては、個人情報などが不本意な形でネット空間に流出をし、拡大をし、市民の権利あるいは財産に影響を与えるおそれがあるのではないか、そういう事態は防ぐ必要があるということで、神戸市情報通信技術を活用した行政の推進等に関する条例を改正いたしまして、非公開情報を入力してはならない、そして、例外的に市長が定めたものはその限りでないという、そういう条例を制定し、既に施行をされております。
そして、神戸市長が指定をした生成AIについては、これは利用を認めるということといたしました。この指定を、すなわち安全性が確認された生成AIといたしまして、6月12日に市会の常任委員会にも報告をいたしまして、今日、マイクロソフト社のAzure OpenAI Serviceを市長が指定するものとして指定をいたしました。
このAzure OpenAI Serviceというものを神戸市が指定する、活用する方法といたしましては、まず、マイクロソフトのローコードツールを用いまして、連携アプリを神戸市が独自に、先ほど申し上げましたツールを活用した連携アプリ、これを独自で開発いたしました。
この連携アプリというのはどういうものかというと、Microsoft Teams、ここにチャットボットを搭載するというのが1つの役割です。Microsoft Teamsは、これはかなりの自治体でも使われているコミュニケーションツールです。庁内のコミュニケーションツールです。このコミュニケーションツールの中に、まずチャットボットを搭載すると。こういう役割を連携アプリが果たします。
もう1つは、専用のチャットボットに入力した内容を、Azure OpenAI Serviceに送信いたしまして、そして、Azure OpenAI Serviceから受信した回答、つまり質問を送信し、そしてAzure OpenAI Serviceから答えが返ってくると。この回答を専用チャットボットに、これをさらに返信いただきまして、それを利用者、現時点では、後で申し上げますけれども、試行する職員ということになりますが、職員がこれを受信して活用する、こういう役割を果たす連携アプリということです。
この連携アプリを使ったChatGPTの試行を今日、Microsoft Azure OpenAI Serviceを指定いたしましたので、これを6月23日から試行開始するというふうにいたします。この試行は活用方法のアイデアを収集する、あるいは有効活用のための知識、経験を蓄積する、あるいは課題や問題点などを収集する、こういう目的で試行するものです。
この試行する職員を、約100名を募集いたしましたところ、多くのほとんどの局、区から応募がありまして、結果的に112名の職員がこの試行作業に参画いたします。
そして、試行を行うための利用ガイドライン、これも既に設定いたしました。この利用ガイドラインでは、非公開情報の中で情報公開条例第10条各号に定めるもの、例えばプライバシー情報とか、法人等の情報とか、生命等保護情報とか、事務事業を執行する上での情報とか、こういうものが情報公開条例第10条に規定されているわけですけれども、こういうものは、こういう情報入力をしてはならないという制限を課した上で、注意事項といたしまして、生成AIはあくまでも補助的なツールであり、これをどう使うのかという、そういう判断は職員自身が責任を持って行うということ、そして、虚偽の内容が含まれていないか、返信、回答の内容に虚偽が含まれていないか、あるいは著作権などが侵害されていないかという、そういう事実確認や調査をしっかりと実施をすると、こういうことが利用ガイドラインの基本的な項目ということになっています。
そして、この利用ガイドラインでは活用例も示しておりまして、活用例といたしましては、例えば文章を要約する、議事録などの長い文章や記事などを要約する上での下書きに使うということ、あるいは翻訳をする、文章の単純な翻訳、あるいは丁寧な表現への入替えなどのニュアンスの調整を行う、あるいは、指定した題名に沿ってつくられた回答を文章の下書きとして使用すると、そういう草案の作成、あるいは、ネット上には膨大な情報がありますから、そういうような情報データを基に、一定のテーマについてのアイデアを出してもらう、そういうようなアイデアや気づきをもらうと、こういうような活用方法があるのではないかということを示してもらった上で、112名の職員の判断でこれを使ってもらう。
その際、ガイドラインの中では、やはり質問の仕方が重要ではないかと。具体的に質問をする。例えば挨拶文を単に作ってくださいということではなくて、どういう局面で誰が挨拶をするのか、テーマは何なのかということをしっかりと質問をする。それから、質問を重ねて精度を高めるということも有用ではないかというような、そういう質問の方法についてのガイドラインも示しております。
6月22日、今日指定をいたしましたし、同時に、先ほど申し上げましたアプリのプログラムコードも公開をいたしました。利用ガイドライン、先ほどごく概略を申し上げましたけれども、この利用ガイドラインも公開をしておりまして、これらにつきましては、ほかの自治体でも参考にしていただきたいというふうに思っておりまして、ほかの自治体とも、いろいろと意見を交換いたしまして、今後の生成AIの活用につなげていきたいと考えております。
先ほど申し上げましたように、明日から庁内で試行を開始いたします。その上で、利用者間での情報共有や意見交換もしっかりと行いたいというふうに考えております。試行期間は明日から9月22日の金曜日までというふうにしておりまして、終了後、この試行利用を総括し、また、様々なアンケートも実施をしたり、また、庁内でも議論をし、有識者の方々からも意見を聞いて、これはいつ本格利用するのかということは今の時点ではまだ言えないわけですけれども、本格利用につなげていきたいというふうに考えております。
ChatGPTにつきましては以上です。3点目が、竹林の保全・再生です。これは既に一部の新聞で、神戸市の農政公社がこのチッパーシュレッダーの貸出しをするという記事があったわけですけれども、これは、詳細は実は承知していなかったんですけれども、この記事を見まして、やはりこの農政公社、それから経済観光局の取組は、大変これは有効だと思うんですけれども、今の竹林の状況を考えれば、もう一歩踏み込んで対応するほうがいいのではないかというふうに、改めて、大急ぎでおととい、昨日と、担当の職員の皆さんと議論をいたしまして、改めてこの竹林の保存・活用・再生につきまして、方針を説明させていただきたいと思います。
この竹林の状況というのは、全国的に見て非常に大きな問題になっているわけですが、改めて説明を聞いて、極めて深刻な状況に陥っているということを確認いたしました。まず、この数字を見ていただければと思いますが、1970年、50年余り前は、神戸市内の竹林は150ヘクタールだったわけです。これが今、推定では1,000ヘクタール程度になっていると。6倍も、竹やぶが6倍にもなっているという状況です。神戸市の代表的な農業地域であり、美しい里山が広がっている北区の淡河町を例に取りますと、1970年代に約30ヘクタールであった竹林が、2010年代、これはちょっとこのときにしかデータがないわけですが、約200ヘクタールにまで拡大をしていると。恐らく今は、相当これを超えている状況になっているというふうに考えられます。もともとの森林だったところ、あるいは耕作をしていたところにも、どんどんこの竹が広がっているという状況があります。
これに伴って、非常に悪い影響が出ています。農業、農村への影響といたしましては、農地、あるいは池の堤防ですとかあぜ道ですとか、農道にこの竹が侵入をしていって、耕作放棄地が広がっている一因にもなりますし、農作業にも影響が出、池の堤にも、管理にも影響が出ております。さらに、この竹林にはイノシシなどが侵入をいたしまして、そこが生息場所になっていくと。竹林は人家、集落に近いところに広がっていますから、このイノシシが人家にも出没をし、農地にも被害を与える、そういう原因にもなっていくということです。さらには、この竹林は人工林、あるいは天然林などに比べて保水能力が低いということも専門家では言われております。大雨などで土砂崩れが発生する原因にもなると。また、竹が一斉に開花をし、一斉に枯れるというようなことが時々起きるわけですが、それによりまして斜面が崩壊をする原因にもなるということで、この竹林の、こういう野放図な拡大というものは、農業や、あるいは農村地域における生活、さらには防災の面でも悪影響が現に出ていますし、これが拡大していくおそれがあるわけです。
また、生物多様性にも影響をいたします。竹林ではほかの植物がなかなか育ちにくいということで、単層化をし、植物や、さらには動物の生物多様性が低下をしていくという傾向があります。一方で、この竹林を適切に伐採すれば有効に活用をするということができる可能性も既に指摘をされておりまして、例えば竹チップには防草効果があって、雑草対策にもなる。竹パウダーを土壌改良剤、あるいは肥料としても活用できるというようなことがありますので、やはりこれを粉砕して、この竹パウダーにしていくということが有効です。
そこで、農政公社がこのチッパーシュレッダーを貸し出すという事業をスタートさせることにいたしました。対象は自治会などの地域団体やNPO法人などで、既に6月13日から受付を開始しております。当初は利用料を5,000円、1回いただくと、運送料をさらに5,000円いただくということにしていたわけですけれども、やはりこの竹林の拡大を防ぐということは非常に公益的な役割がありますから、新たに、例えば自治会ですとか里づくり協議会ですとか、土地改良区や水利組合と、こういう公益的な役割を果たす団体などがこれを借りる場合には、無料にするというふうにしたいと考えております。なお、これを運ぶ必要があるわけですけれども、農政公社のトラックで、職員が指定されたところまで運搬をする場合には、これは5,000円を頂きたいというふうに考えております。
こういう形で竹林の拡大を防ぎ、これを減らしていって、本来の里山の姿を復元させていくと。このことが里山の再生や農業の振興、また農村地域の活性化にも資するものではないかと考えておりまして、このチッパーシュレッダーの貸出しも、こういう形でスタートをさせます。できれば、このチッパーシュレッダーも大幅に台数を増やしまして、竹やぶの伐採が進むようにしていきたいというふうに考えております。
私からは以上です。記者:
ChatGPTの件でお願いします。ガイドラインも策定されて、明日以降試行利用が開始されるということですけれども、市長自身がこれをお使いになって、業務などに活用される御予定などはありますでしょうか。
久元市長:
この前、実はあくまでも試行ということで使ってみたんです。日本語を入力するのと英語で入力をするのを使ってみて、使い勝手はまあまあいいなと。一方で限界があるということが分かったんですが、この試行に際しては、私は112人の中に指定されていないので、私が使うのは駄目ですかね。
職員:
市長の秘書に御利用いただけるような環境は提供しておりますので、市長のほうが使いたいと思われたときに使っていただければというところで準備をしております。
久元市長:
私はオーケー?
職員:
はい。
久元市長:
分かりました。ここで初めて分かったということで、申し訳ありませんでした。
記者:
秘書の方を介して何か利用される可能性は今のところありそうというところですかね。
久元市長:
そうですね。質問したいことはいっぱいあります。
記者:
ちなみに、どういった質問を想定されていますか。
久元市長:
それはもうそのときに思いついたことかと思いますが、1つはアイデア出しですよね。例えば、今でいうといくらでも質問を思いつくわけですけど、竹パウダーの活用は全国でどんなふうに行われているんでしょうかとか、それから、イノシシが嫌う臭いというのはどんなものなのかという。イノシシはヨーロッパにも中国にもいますから、これは世界共通の問題かもしれませんから、イノシシが嫌う臭いとか植物とかというのを聞いてみたいなと。今思いついただけですけど、こんな形で、日々の業務の中で思いつくことはたくさん出てこようかと思います。
記者:
あともう1点、別件で、ChatGPTに関してなんですけれども、まだ試行利用の段階なので、実際に業務で本格的に使うとなるとまた先の段階になるとは思うんですけど、改めて、ChatGPTを使うことで、市民の方にとってはどんなメリットがあるかという点についてお願いします。
久元市長:
市民がどういうふうに使うのかということは、今のところは特に制約がありませんから、そこはより幅広い議論になろうかと思いますが、市民といったときに、例えば子供たちがChatGPTを使う。これは文部科学省が学校での使い方についてはガイドラインを出しましたが、しかし幅広く使われ、子供も大人もChatGPTを使うときには、利便性もあるとともに、様々なリスクがあるということは事実ですから、そういうリスクというものを共有していくということ、これは国や自治体だけでは無理だというふうに思いますから、様々な形でこのリスクに関する情報が提供されて、それが共有をされていくということが非常に重要ではないかというふうに思います。
特に子供たちの場合には、自分で考える能力ということを、このChatGPTが促進することに、高めることにつながるのか、あるいは自分で考える能力ということが、これによってどんどん減退をして、ChatGPT頼りになる思考方法というものが身についていくことになるのか、これは両方の可能性があると思いますから、できるだけ後者にならないような取組みということを、これは教育現場だけではなくて、保護者の皆さんもよく考えていただいて、社会全体でよく考え、議論をし、そしていい方向を見いだしていくということが重要ではないかというふうに思います。
記者:
私の質問が大変足りなかったんですけれども、神戸市の職員の方がChatGPTを使うことによって、結果的に市民の方にどういうふうな利便性ですとかサービスの向上につながっていくのかという点ではいかがでしょうか。
久元市長:
それは職員一人一人の仕事ということが神戸市全体の行政サービスを形成しているわけですから、やはりChatGPTを使うことによってリスクを軽減し、もちろん条例で規制をしたように、市民の権利や財産を侵害することがない形で行政サービスを向上させていくと。例えば、ChatGPTを使って、今までならいろんなことを調査、ネットで、Googleでいろいろな検索をしたり議論をして、実際に政策を企画立案するまでもう半年ぐらいかかっていたものが、ひょっとしたら一月でできるかもしれないということで、より短期間に、スピーディーにレベルの高い政策を展開することができるというのも1つの例ですね。
記者:
先ほどの質問に続いてなんですけれども、このChatGPTを職員の方が使うことでどのような効果を期待しているのか、将来的に経費削減だったりとか、そういう測れるような結果も出るのかどうか、そういう点について教えていただけないでしょうか。
久元市長:
先ほど言いましたように、文章の要約とか、翻訳とか、草案の作成とかというのは、これはどちらかというと効率化の話ですよね。これを本格的に利用するということによって効率化が図られる部分というのは相当程度あって、それは作業時間の短縮につながり、そして経費の削減にもつながっていくということは間違いありません。しかしそこには、繰り返しになりますが、いろいろな落とし穴が潜んでいるということも事実です。もっともらしい全くの虚偽の回答が返ってくる可能性もあるかもしれないですね。Azure OpenAI Serviceでしたっけ、これは一定の制約が、リスクを低減する仕掛けというのはそこにあるわけですけれども、それでも本当に返ってくる答えが正しいかどうか分からないということ、それから著作権を侵害しているおそれはあるのかないのかというようなことなどですね。一番大きいのは、やはり虚偽の情報ですよね。だから、あくまでもこれは草案、下書きに使うんですというふうに言っているわけですね。ですから、そういうリスクを低減しながら効率化を進めていくということ、これは可能性としては十分あると思います。
もう1つはアイデアです。これも使い方によっては、なかなか思いもつかないようなアイデアが提供されることはあるかもしれないけれども、しかし、これを頻繁に使うことによって、クリエイティビティーというか、職員自身の自分で考え、発想する能力の低下というものをきたすおそれもあるかもしれませんね。そういうことを6月から9月までの試行期間の間に、しっかりとこれを使ってもらって、実験をしてですね。
あと大事なのは、やっぱり使った職員の皆さんが集まって議論をするということ、使い勝手とか。実はこんな危なそうなことがあったとか、そんなことをしっかり庁内で議論をするということが大事ですし、また、この分野に詳しい方ですね。この前、デモンストレーションをやったときも、神戸松蔭女子学院大学の先生にアドバイスしていただきまして、非常になるほどと思うようなアドバイスもいただきましたね。そういう外部の方の知見もいただきながら、まずは試行をして、それをしっかり総括するということをぜひやってみたいと思います。
記者:
引き続きChatGPTに関してなんですが、今回プログラムコードとガイドラインを公開して、ほかの自治体にもそういうノウハウを共有するようにされているということですけれども、そもそもやっぱり条例を制定して個人情報の流出とかがないように取り組むという神戸市さんの取組というのは、ほかの自治体ではまだ公表はされてないのかなと報道などを見ていて感じている部分でして、こういった、条例をつくってからこういう試行に向けて取り組んでいくという神戸モデルみたいなものが、ほかの自治体にどういった影響がもたらせればいいかなとお考えでしょうか。
久元市長:
神戸モデルというほどのものなのかは、そこは自信はありませんのと、それから、この神戸市の取組をほかの自治体でまねていただきたいということでこの条例をつくったわけではありません。
これは条例に対する神戸市の考え方ですが、条例の対象の範囲の考え方というのはいろいろあると思いますが、私はやはり市民の権利義務に関する規定をするのが条例の役割ではないかと思っておりまして、市民の権利を制限するのはやはり条例の根拠が要るだろうと。これは、市長やほかの執行機関の判断だけで市民の権利を制限したり侵害することはできないというのが基本的な考え方です。このChatGPTでいうと、職員の入力の内容によって、そういうおそれがあるから、条例で一定の事項の入力を禁止するということが不可欠だと神戸市としては考えたわけです。
ただ、このことについては、正直、ほかの自治体でつくったところは多分ないと思いますから、神戸市の考え方が少なくとも共有されたわけではないだろうと思います。また、自治体が条例をつくるときには、やはり国の方針が非常に大きな役割を果たすわけですが、国については、自治体のChatGPT、生成系AIに関する条例の制定についての方針は何も示していないので、それもほかの自治体が条例制定に動かないということの非常に最も大きな原因ではないかと思います。いずれにしても、それぞれの自治体が判断して条例をつくればいいと思っています。
記者:
分かりました。今、国のほうでも戦略チームを立ち上げてやっている段階ではあると思うんですけれども、地方自治体のほうが国よりもそういった取組に関してはスピーディーに動いているのかなと個人的には思う部分があるんですが、国の方針がまだ打ち出されてないということに対しては、市長ご自身どのようにお考えでしょうか。
久元市長:
そこは、国のほうは、例えば、自治体レベルの仕事あるいは任務の範囲と、国のこういう分野に関する役割とか任務の範囲はかなり違うんですけれども、しかし、このことが国民の権利義務に非常に影響してくると思うので、そこはしっかり議論をして、私は最終的にはやはり、生成系AIについては法律でルールをつくっていただきたいと考えています。その際には、EUのルール、EUが策定し、今後さらにこれをいろいろと改正していくことになろうかと思いますが、これも参考になるのではないかと思います。
記者:
ChatGPTの関係でお伺いしたいんですけれども、この試行利用と本格利用の違いについて、もう少し説明していただきたいんですが、これ、明日からの試行利用期間も、例えば文書の要約とかに使ったものを職員の方の成果物として実際に仕事としていくということも可能な期間という理解でよろしいんでしょうか。
職員:
特に活用の方法について、試行だから限定的にしているという制限は設けておりませんでして、あくまで全職員が使えるようにはしていなくて、募集をして、手を挙げていただいた職員に限定して提供しているというところで試行利用と呼ばせていただいております。
記者:
あと、もう1点続けて伺いたいんですけど、100人の方というのは、先ほど、ほとんどの部署の方が手を挙げてくださったということだと思うんですが、なので、100人は満遍なく抽出されているという感じでしょうか。
職員:
そうですね。我々のほうで特に調整をしたものではないんですが、市全体で募集をさせていただきましたところ、様々な部局からバランスよく応募いただいたというところで、役職も、担当者だけではなくて幹部職員含めて参画をいただいているという状況でございます。
記者:
あと、市長に1点お伺いしたいんですけれども、改めてなんですが、この3か月間という試行期間を設けている狙いというのを教えていただけますか。
久元市長:
全くのこれ、未知のツールですよね。その影響力というのは大変大きいし、利便性も非常にあるし、その利用可能性も非常に大きい。その一方で、繰り返しになりますが、リスクも大きいと言っていいと思うんですよね。メリットもリスクも非常に大きい未知のツールが出現したときに、これをいきなり本格利用するという選択肢は多分ないだろうと思います。やはり限定された形で職員が、一定の、あくまでもこれは暫定的なものですけども、この試行に対するガイドラインであるわけですが、やはりそれなりにしっかりとしたガイドラインの下に、これを限られた職員が使ってみて、そこでこの利用可能性とか、あるいはそこでの、こんな利用方法をしたら非常にリスクが少なくて非常にメリットがあるというような活用方法は何なのかというようなことを発見し、それをみんなで議論するということが本格利用の前提になるだろうと。そのことは、神戸市としては不可欠だと考えたところです。
記者:
引き続き、ChatGPTについてお伺いします。本格利用の開始のめどというのが、目標の時期など、市長の中でありましたら、教えていただければ幸いです。
久元市長:
ここはデジタル戦略部の皆さんとは議論していないんですけど、私は、9月まで試行をして、その間、やはり一定の期間これを総括する時間というのは必要ではないかと考えておりますのと、それから、その間にも国のほうの検討も進むだろうと思っておりまして、私の希望としては、そういう総括をした上で、年内に総括をして、できれば来年早々ぐらいからは本格利用に踏み出していければというふうに思っております。
記者:
コロナのことでお尋ねなんですけれども、市長、現状、感染状況については、総括的な言い方ですと、若干感染拡大が見られるというふうにおっしゃっていたと思うんですが、今の時点であえてこうやって会見の中で注意喚起をされたと思うんですけれども、そこの一番の問題意識としては、定点観測の数が増えているからという理解でよろしかったでしょうか。
久元市長:
そうです。定点観測の数がやはり微増傾向にあるということですね。
それから、これは非常に限られた経験ですけれども、周囲でもかかりましたという人が増えているし、東京の知人、友人でも、自分がかかったとか、先ほどの数字でも、これは全国の数字でしたけれども、比較的関東のほうが高いですよね。東京の知人、友人でも、自分がかかったとか、周りがかかったという話は時々聞きます。今までのコロナの経験では、どちらかというと、東京で起きたことというのはしばらくの時間差で関西方面にも及んでくるというのがこれまでの経験です。今回どうなるか分からないんですけどね。そういうことであれば、今こういうような傾向にあるということ。
そして、これはひょっとしたらもうしばらくこの感染拡大傾向が続く可能性が高いのではないかということを考えれば、今、医療提供体制に大きな影響が出ているわけではありませんが、現実に病院でも1か所クラスターが出ていますから、こういう状況を説明させていただいて、感染された方については、これをほかの方にうつさない、できるだけ早く治していただくということを心がけていただきたいという、そういうことを申し上げたかったということです。
記者:
あと1個だけ。そのコロナの関係で、市長、今後のご説明の中で、アラームを発しないといけない場合もということをおっしゃっていたかと思うんですが、これはより強い注意喚起のことなのかなと受け止めたんですけれども、どのぐらいのまた感染状況になったらそういうアラームが必要だなというふうにお考えでしょうか。
久元市長:
これは、コロナの感染が拡大したときには、インフルエンザ特別措置法なりに基づいて国が一定の措置を取るということが行われてきました。法律に基づかない様々な国からの通知なりに基づく措置というのはこれまでもあったわけで、そういうときには、これは国の方針に基づいて対応することになります。あるいは、これはどちらかというと都道府県知事の権限のほうが重点になるわけですけれども、そういう措置が取られる。これが制度上の対応ですね。
ただ、同時に、神戸市は独自にゲノム解析などもさっきも行っていて、変異株の状況などもしっかりと調査・分析していますから、そういう情報に基づいて、そういう状況を正確に発信し、そして、その変異株が、WHOが指定をしているような危険性の高いもの、これは今までも神戸市がいち早く発見をしたということもありました。ですから、そういうことが発見された場合には、いち早くその状況を市民の皆さんにお知らせして、注意をしていただく。場合によったら、国の方針が示される前であっても注意深い行動を取っていただく。そういう意味でアラームという言葉を使わせていただいたということです。
記者:
ChatGPTの非公開情報の入力禁止について改めて確認したいんですが、これは、もともと条例上で、市長の指定を受けたチャットボットであれば入力可能とするというふうにしていて、先ほどAzure OpenAI Serviceを指定することにしましたというふうにおっしゃっていたかと思うんですけれども、なので、Azure OpenAI Serviceを使用して、明日からの試行では、そういう非公開情報というのもアプリであれば入力してもいいというふうに試行していくということですかね。
久元市長:
それは、条例上は、非公開情報も市長が指定をすれば入力することができるようにはなっていますが、今回の指定では、試行の段階でもあるということもありまして、この条例の先ほど申し上げた10条各号ですか、これについては入力できないようにするということです。それは運用上、市長の指定の中で、その部分は外して運用するということになります。つまり、入力できないようにしているということです。
記者:
なるほど。試行期間中はそれを入力できないようにしているというふうなことですよね。
久元市長:
そうですね。
記者:
それは、非公開情報を入力してもよいというふうな環境で試行する期間というのも設ける予定なんでしょうか。
久元市長:
それは今のところはよく分かりません。それは実際に試行した上で、やはり市長が指定した今回のAzure OpenAI Serviceであっても、引き続き非公開情報は入力できないようにするほうがいいのか、あるいは安全性が十分確認されたので、これは内部の処理であれば、非公開情報でも入力しても、安全性が十分確認されたというふうに判断されれば、それは本格的なガイドラインの中では、これは市長が指定をして入力できるようにするという選択肢もあると思います。
今のところでは、理屈で言うと2つの選択肢がありますが、それは試行をしっかり行った上で、判断をこれはしたいというふうに思っております。
記者:
情報の漏えい、拡散のリスクを大幅に低減というふうに書いてあったんですが、そこは検討中というか、調査中というふうなところが認識としては正しいですか。
久元市長:
繰り返しになりますが、条例上は、指定をすれば非公開情報でも入力できるんです。市長が指定すれば。しかし、今回はAzure OpenAI Serviceを指定したけれども、さらに、運用上、この非公開情報は入力をしないという取扱いにしていると。しかし、それは将来、この条例上は非公開情報も入力をすることは可能です。それはしかし、今はまだ判断できないので、それは試行した上で、どうするかということは試行の結果を見て判断しようということです。
記者:
分かりました。だから、本格利用の際に、そこの非公開情報を入力してもいいかどうかというところを改めて検討するということですか。
久元市長:
そうです。
記者:
チッパーシュレッダーの貸出しについて何点かお伺いしたいんですけど、まず、竹パウダー肥料として利用するというのは、試みとしていろんなところでやっているのは聞くんですけど、可能性として、例えば神戸ハーベストみたいな、神戸市としてそこの肥料を作るというところに力を入れていくものなのか、どのぐらいの見通しなのかというのを教えてください。
久元市長:
市内でも竹パウダーを使っていろんなことが行われておりますが、これは、まだいずれも限定的な、ある意味で一種試行的に行われているというふうに思いますね。これをやはり、シュレッダーもまだ1台しかありませんから、もちろんいろんなところに貸出していけば竹の伐採も相当大幅に増えると思いますが、まだまだ増やさなければいけないですけど、取りあえず、今回、竹パウダーも今までよりは増える、そういうことを考えたときに除草の効果がどれぐらいあるのか。それから竹パウダーを既存の肥料と混ぜることによって、竹に含まれる乳酸菌が発酵してさらに肥料としての効果が上がることになるのかとか、その辺はぜひ専門家の意見、学識経験者の意見も聞いて、知見をぜひ得たいと思いますし、新たな肥料の開発、これは民間企業との連携協力というのが要ると思いますけれども、ぜひ、これにも取り組んでいきたいと思います。
記者:
あともう1点なんですけど、シュレッダーは今1台ということなんですけど、今回無料にするというところの効果は今後だと思うんですけど、私も淡河とかでいろいろ竹林の話を聞いていると、そもそもやっぱり人口減少によって管理する人手が少なくなって、そもそも伐採する人手もいないというところが大きな原因になっていると思うんですけど、チッパーシュレッダーを無料にするというところで、どのぐらい放置竹林対策への効果があるのかというのは、ちょっと限定的なんじゃないかなと思うところもあるんですけど、いかがでしょうか。
久元市長:
それはそうだと思います。しかし、竹を切るというのは杉やヒノキを切るよりはそんなに難しいことでもないんですが、むしろ切った竹をどう処理するのかということが、切ったものをどこに保管して、どうするのかということも同時に大きな課題で、そういう意味から言うと、このチッパーシュレッダーは一定の効果があるということは事実です。大きな効果があると言ってもいいと思うんですね。しかし、そもそも今ご指摘があったように、農村集落においての担い手不足とか高齢化という問題が当然あって、それに対してはより外部の方に入っていただいたり、竹林の伐採ボランティア、あるいは学生の皆さんの参加とか、そういうような参加の機運というのを伐採を行う方々をより増やしていくという取組み、これも並行してやらなければいけないと思います。
いずれにしても、50年前に150ヘクタールだったものが1,000ヘクタールにもなっていると、こういうような状況を前にすれば、考えられるあらゆることをやっていかないといけないと思いますから、今ご指摘があったような、単にチッパーシュレッダーだけで目が冷めるような効果が出るとは思わないです。まずやらなければいけないのは、チッパーシュレッダーの台数をもっと増やすということと、貸し出す拠点ももっと増やしていくと、西区と北区に複数つくっていくと。
それから、これを使ってまず伐採をして、そして、これを使っていただくような担い手を増やしていくということ、こういうことを複合的に行っていくということが重要だと思います。
記者:
マイナンバーカードに関することで質問します。
16日に神戸市の発表でマイナポイントのひもづけミスに関する報告を総務省にしましたという発表をされていました。この報告の中で神戸市としては、いわゆる申請の手続上のミスはなかったんだけど、結果的にひもづけが誤っていたという事案が2件報告されていたと思うんですけれども、ただ、国側の発表の中では人為的ミスに含まれて発表をしていたかと思います。要は神戸市側の認識と国側の認識、ミスに関する認識がちょっと食い違っているんじゃないかと受け止めているんですけれども、これについて市長のご所感があれば伺いたいんですが。
久元市長:
私どもはルールどおり、マニュアルどおりに作業をしたけれども、結果的には違う人とひもづけられてしまったということです。これについて国に報告をしたんですけれども、原因が不明というのは、正直どうしてこういうことが起きたのか分からないということなので、これは引き続き国と連携をして、原因を究明していかなければいけないと思いますが、ただ問題はこのことに着目をして、システムに原因があるのか、いや実はこちらのほうが間違っていたのかということを改めて議論をするというような段階ではなくて、マイナンバーへひもづけられている情報の種類というのは相当たくさんあるわけですから、これについて国が総点検をするという方針を示されたので、具体的にどういう総点検をするのかという方針を国から示していただいて、その上で国と地方が連携をしてこの問題点の解明と、それから、改善ということを国の方針に沿いながら行っていくということが大事ではないかなと思います。
記者:
ありがとうございます。
ですから、市が正しいとか国が正しいとかというよりも、市長としては原因が分からないのであれば原因をやっぱりはっきりさせる、そこはちゃんとすべきではないかというお考えだと。
久元市長:
そうです。ただこの問題に限らず、いろんな問題がマイナンバーでは起きていますから、だからこそ総理も出席されてマイナンバーの本部をつくって対応するということですから、これはやはり相当な覚悟でマイナンバーへの対応ということを国と自治体が連携して行っていくということが大事だと思います。
記者:
今のに関連しまして、ちょっと改めてなんですけれども、全国的にマイナンバーカードに関する問題が相次いでいることについて、どう思われているかという市長のお考えをお聞かせください。
久元市長:
前回も既に起きていること、4種類か5種類のことを申し上げたんですけど、それ以外の事象というのが起きていて、国でも総理も出席をされた本部の中で情報が共有されているということですから、やはりマイナンバーで起きている事象というものを、まず、全貌をはっきりさせるということ、そして、その原因をはっきりさせるということ、そのために総点検を行うということだと思いますし、その総点検を踏まえた上で、必要な改善策というものが、これは全国のシステムですから、国が主導して行うということになると思いますが、そういうことをやっぱりしっかり行っていくということだと思います。
いずれにしても、これは国と地方が相当な覚悟を持って対応しなければいけない課題だと認識をしています。