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臨時会見 2023年9月1日

最終更新日:2023年9月1日

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神戸市と明石市の生物多様性を守り育てるための連携・協力に関する協定の締結

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神戸市と明石市の生物多様性を守り育てるための連携・協力に関する協定の締結

司会:

 それでは、定刻となりましたので、ただいまより神戸市と明石市の生物多様性を守り育てるための連携・協力に関する協定につきまして、共同会見を開始いたします。

 なお、本日の全体時間は質疑応答を含め約50分を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

 初めに、会見出席者を御紹介いたします。

 丸谷聡子明石市長でございます。

丸谷市長:

 よろしくお願いいたします。

司会:

 久元喜造神戸市長でございます。

久元市長:

 よろしくお願いいたします。

司会:

 それでは、初めに、久元喜造神戸市長より協定締結に当たりまして御挨拶を申し上げます。よろしくお願いいたします。

久元市長:

 今日はお集まりをいただきましてありがとうございました。

 紹介がありましたように、明石市さんと神戸市との間で、連携・協力に関する協定を締結することになりました。明石市さんと神戸市は、新しい連携・協力の体制を築くことになります。今日は丸谷市長、お越しいただきましてどうもありがとうございます。

 先ほど、丸谷市長と神戸市と明石市の生物多様性を守り育てるための連携・協力に関する協定にサインをいたしまして、協定を締結いたしました。神戸市の西神地域、そして明石市は隣接をしております。また、明石川や瀬戸川などの複数の河川を共有しておりまして、自然環境の面からも密接な関係にあります。

 これまでも、市域を越えて移動する、例えば外来種のアカミミガメの対策を一緒に行う、そういう協議会を設立いたしまして、相互に協力しながら調査、防除を実施するなど、取組を実施してきました。また、これら以外にも明石市さんと神戸市の環境当局は、意見交換をしたり、様々な協力関係を築いてきたというふうに感じています。

 生物多様性の確保、増進というのは、これはSDGsの中でもうたわれておりまして、これは非常に大事な課題だというふうに神戸市は考えてきました。こういうような生物多様性の保全、育成のための取組というのは、これまで市として行ってきた外来種の対策にとどまらない多岐にわたる取組というものが求められます。そこで両市は、より幅広い分野におきまして連携・協力をし、生物多様性の保全、育成につながる効果的な取組を進めていくことで合意をいたしまして、このたびの協定を締結することといたしました。

 この協定締結を契機といたしまして、両市の行政の連携・協力によるさらなる取組を進めていく、そして保全活動を行う団体同士の交流や市民がお互いの地域の自然環境に触れる自然観察会などの機会を設けまして、市域を越えて生物多様性を守り育てるための機運を醸成していきたいと考えております。今後とも、両市の豊かな自然を将来の世代に引き継いでいけるよう、協力していきたいと思います。私からは以上です。

司会:

 ありがとうございます。

 それでは、続きまして、丸谷聡子明石市長より御挨拶を賜ります。よろしくお願いいたします。

丸谷市長:

 皆さん、こんにちは。明石市長の丸谷でございます。

 先ほど、久元市長のほうからお話がありましたように、生物多様性を守り育てるため、このたび新たに協定を締結させていただきました。本当に隣接する両市で連携・協力して効果的に取組を進めていけますことを大変うれしく思っております。久元市長、本当にありがとうございます。座って失礼いたします。

 神戸市と明石市は、先ほども久元市長おっしゃいましたけれども、複数の河川を共有しております。また、里地、里山、里海もつながるなど、一体的な自然環境に置かれております。長い年月をかけて培われてきたこの地域の多様性に富んだ自然を守り育てることは、市域を越えた両市の共通の大きなテーマの1つだと思っております。

 この生物多様性はSDGsの根幹でもありますし、在来動植物、希少種の保護保全とともに、近年、本当に課題になっておりますナガエツルノゲイトウなどの外来種の防除、そして身近な自然環境の保全、育成につながる環境教育や人材育成など、このたびの行政同士の連携・協力を契機に、今後さらなる取組を進めていくことで、生物多様性を守り育てる機運を着実に高め、市民一人一人の様々な取組にもつなげていきたいと考えております。

 自然の生き物には市の境界線はありません。生態系は行政区域を超えてつながり、影響し合っております。今回の協定締結により、豊かな自然環境を次世代へと引き継いでいく取組が神戸市、明石市の市域を超えてさらに広がることにもつながればなとの思いでおります。今後とも、これを機会に神戸市と明石市で多様な分野での連携・協力をさらに深めさせていただいて、市民のためにさらなる取組を進めていければと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

司会:

 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、明石市市民生活局長、箕作様と神戸市環境局副局長の磯部より、今回の協定の内容につきまして御説明させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

磯部副局長:

 神戸市環境局の磯部でございます。

 私より、神戸市と明石市の生物多様性を守り育てるための連携・協力に関する協定の内容について説明をさせていただきます。前の画面を御覧ください。着座にて説明をさせていただきます。

 まずは両市の地理的な関係と自然環境について御説明いたします。御覧のとおり、神戸市の西神地域と明石地域は隣接し、明石川や瀬戸川といった河川を共有しております。また、両市とも市街地近傍に里地、里山や里海、河川といった豊かな自然環境を有しております。このような自然を有する両市の取組を御説明いたします。

 まずは神戸市の取組です。神戸市では、里山の豊かな自然の恵みを将来の世代も持続的に享受できるよう、生物多様性豊かな里山を保全する取組を推進しております。2023年1月には、神戸が目指すべき里山を実現するための方策を示したKOBE里山SDGs戦略を策定いたしました。

 具体的な取組の1つといたしまして、北区の里山をモデル地区と定め、学生や市民団体、大学などと連携し、樹木の伐採等による明るい森の再生、棚田跡地の保全や生物調査に取り組んでおります。このほか、AIによって生物を判定するスマートフォンアプリを用いた市民参加型の生物調査や、希少な野生動植物を掲載したレッドデータの作成などによる普及啓発を行っております。また、生物のモニタリングの新たな手法である環境DNA調査にも、大学と連携して取り組んでおります。

 外来種等への対策にも力を入れております。2022年に長田区の苅藻島クリーンセンター内に、自治体初の外来生物に特化した啓発拠点として外来生物展示センターを新たに開設し、普及啓発を実施しています。このセンターでは生きた個体や剥製を実際に見てもらうほか、専門員による解説を聞いて学習をしてもらうなど、外来生物に関わる問題を感じる、知る、考える場として整備をしております。また、外来種のアカミミガメにつきましては、市内で防除活動を行う団体に対して捕獲数に応じた補助金を交付する制度を設け、市民との協働による防除に取り組んでおります。外来種以外にも、有害鳥獣であるニホンジカ、イノシシについて、猟友会や農業者と連携して捕獲するなどの対策を実施しています。

 続いて、明石市の取組の御紹介をお願いいたします。

箕作局長:

 明石市市民生活局長の箕作でございます。

 私から、明石市の取組について御説明申し上げます。失礼して、座って説明させていただきます。

 明石市の取組についてでございますが、まず、外来生物対策といたしまして、2011年からアカミミガメ対策を開始し、2017年には神戸市と合同で明石・神戸アカミミガメ対策協議会を立ち上げ広域での防除を開始し、現在も継続して実施しております。2019年には明石市に隣接する神戸市西区の寛政池でナガエツルノゲイトウが発見され、駆除を開始いたしました。ナガエツルノゲイトウは繁殖力が強く、放置しますと河川やため池が一面ナガエツルノゲイトウで覆われてしまいます。また、2022年6月に石ケ谷公園でクビアカツヤカミキリが兵庫県内で初めて確認されました。調査の結果、被害木25本が確認されるとともに、成虫9匹を捕殺いたしました。被害のあった樹木に薬剤を注入することや、成虫が外に出ないように幹の部分をネットで巻いたり、被害が大きい樹木は伐採するといった対策を実施しております。これらの外来生物の対策は、早期発見・早期防除が重要となります。

 次に、環境学習といたしまして、学校のカリキュラムの一環として、小学校3年生に1年を通して地域の自然環境について体験や研究をしてもらい、研究成果として発表用にパネルにまとめています。そうして作成したパネルを商業施設で展示し、市民への啓発にもつなげております。また、保育園児は自然探検隊の隊員になり、季節で変わる自然の変化を体験しています。

 生態系の保全の取組といたしましては、まず、ため池の水を抜き、池干しする掻い掘りを実施しています。本市の掻い掘りは、ため池の栄養分を貧栄養化の進んだ海に届けるため、農業者と漁業者が協力し、豊かな海づくりの取組の一環として実施しています。また、希少種の保護といたしましては、明石市で絶滅の危機にあるデンジソウを移植し、域外保全を行っています。

 次に、生物多様性の普及啓発といたしましては、年に2回環境フェアを開催しています。また、生物多様性あかし戦略を推進するため、明石市の大切にしたい生きもの明石市レッドリストガイドブックを作成し、市民への啓発に活用しています。

 明石市の取組についての説明は以上でございます。ありがとうございました。

磯部副局長:

 続きまして、このたび締結いたします、協定の連携・協力事項について御説明をいたします。

 取り組む項目は御覧いただいておりますように、大きく6つの分野です。これらの分野において連携・協力を進めます。

 まず、里地、里山、里海、河川等の保全、活用です。

 両市の有する、豊かな里地、里山、里海、河川等の自然環境を守るため、それぞれの市が有する知見を共有し、施策に生かせるよう協議をしてまいります。また、人材の育成支援として、里山や里海の保全に係るイベントや講習会など、両市の市民が参加できる取組を実施いたします。

 続いて里地、里山、里海、河川等における在来種の保全です。

 両市にまたがる河川の上流部に生息するイシガメの保全や、希少な植物であるデンジソウの保全などにつきまして、連携を進めたいと考えております。

 次に、生態系に悪影響を与える外来種への対策です。

 アカミミガメにつきましては、明石・神戸アカミミガメ対策協議会におきまして、既に連携しているところです。この協議会の取組を継続し、防除を進めます。クビアカツヤカミキリは昨年より両市を含む兵庫県の各地で発見されております。スマホアプリを活用した市民参加型生物調査などを基にした分布情報や対策状況を共有してまいります。

 なお、外来生物問題の普及啓発の取組として、両市の小中学生などを対象とした外来生物展示センターの社会見学を年内に実施する予定です。

 生物多様性に係る環境教育及び人材育成の分野では、両市の市民がお互いの自然環境に触れることを目的として、両市の自然を生かした自然観察会などの普及啓発イベントに取り組んでまいります。この秋には、明石で毎年開催している環境フェアに神戸市も出展し、里山保全や外来生物対策の重要性について紹介いたします。また、生物多様性フォーラムの年度内の開催に向け、調整をしていきたいと考えております。

 さらに、両市民対象の外来種防除講習や、両市の職員に対する生物多様性や外来生物対策の共同研修、専門家による自然観察会を実施したいと考えております。

 生物多様性に関する調査研究では、これから生物多様性保全を担う世代による生物調査や、新たな調査方法の研究、実施に取り組んでいきたいと考えています。また、明石川などにおきまして、両市の小中学生による合同の生物観察会を年内に実施する予定です。

 ビオトープの整備の分野では、両市の知見を共有し、より一層地域の生態系に配慮したビオトープの整備及びそのネットワーク化を検討いたします。また、これらのビオトープを活用した両市の希少種の保全策も研究してまいります。

 最後になりますが、神戸市と明石市は両市の生物多様性豊かな里山等の自然環境を保全し、将来にわたって引き継いでいけるよう、連携・協力して取り組んでまいります。今後の取組にぜひ御注目いただければと思います。

 以上で協定の内容の説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

質疑応答

記者:

 お二方にお伺いしたいんですけれども、これ、あえて連携することによる、何というか、メリットみたいなものがいまいち見えてこなかったんですけど、例えば職員の方の人材交流がやりやすくなるだとか、現段階でそのカメの協議会が設置されていて、何が違うのかなと思ったんですけれども、その辺の何がメリットなんでしょう。

久元市長:

 これはやはり連携協定という形で、協定を具体化することによって、それぞれの庁内で、今まではミシシッピアカミミガメが中心でしたけれども、もっと幅広い取組に広がっていくということが期待されますし、それから、説明もあったかもしれませんが、両市、私は神戸市のことしか知りませんけれども、神戸市内にはこの生物多様性に関する団体がたくさんあります。NPOや地域の団体、また大学なども、この生物多様性に取り組んでいます。

 これらの団体の方々とお話しする機会、結構あるんですけれども、求めているのはやはりネットワークですよね。やはり、いろんな知識や経験を共有したいと。そして、お互いに連携・協力をして活動の場を広げたい、また、研究や活動を深化させたい、深掘りさせたいと、こういうニーズがあります。

 明石市さんと神戸市は隣同士ですし、川もつながっている。それから、丸谷市長がお話しがありました、海もつながっている。こういうことを考えれば、そういう民間も含めたネットワークということが、これから広がっていくことが期待できるというふうに思います。

丸谷市長:

 私のほうからも、具体的な事例としてお答えさせていただきます。

 先ほど説明にもありました、ナガエツルノゲイトウという外来植物が繁茂している寛政池というのは神戸市にある池で、その池から田畑に水を流しますので、瀬戸川という明石の川に連なっています。2019年11月に、寛政池でナガエツルノゲイトウが確認され、明石のほうではため池協議会の皆さんとか、大学生とか市民団体の方が一緒になって防除してくれているんですが、実は寛政池の上流部分には清水川という神戸市の川があり、そこでナガエツルノゲイトウが繁茂しておりますので、寛政池から瀬戸川を一生懸命防除しても、清水川のもとのところのナガエツルノゲイトウの防除活動が進まなければ、毎年同じことを繰り返すだけになります。そういう意味では神戸市と明石市、水系が一緒ですから、一緒に防除を進めていくことで、より効果的な防除ができます。それはアカミミガメでも実証されていますので、そういう連携は、ぜひ私もお願いしたいと思っております。

 先ほど来、久元市長もおっしゃっていますが、本当に里山にしても、それから海にしても、里地にしても、神戸市とはつながっておりますので、生態系としては一体的なものがあり、生き物に市境はありませんから、神戸市、明石市と生態系1つとして捉えて、一緒に守り育てていく。

 また、明石川では、神戸市は上流部分で環境教育も進んでおられますので、明石市側にいる子供たちにも、そういった取組をぜひ一緒に体験させていただけたらなということもあって、本当にすばらしいお話だと思い、今回、協定をさせていただいた次第です。

 以上です。

記者:

 あと1点だけ、お二方とも、その機運を醸成させたいというか、機運を高めたいという発言があったと思うんですけど、この生物多様性に関しての理解というのは、まだ地元では広がっていないという認識なんでしょうか。

久元市長:

 広がっているとか広がっていないというのは、立場によって恐らく見解は分かれるかもしれませんが、やはり機運の醸成というのは求められているということだと思いますね。これは行政として機運を醸成したいということだけではなくて、さっきも申し上げましたように、様々な民間団体や大学も、こういう生物多様性の機運を醸成したいと思っている方はたくさんいらっしゃると思っています。ですから、この両者が協力することによって機運の醸成につながっていくのではないかと期待しています。

丸谷市長:

 意外と、地域にどんな大事な生き物がいるかというのは普通の市民の方には伝わりにくいところもありますので、こういった連携協定をするということを1つの皮切りに、市民の方にもそれぞれの市域で大事な共通する生き物が暮らしているんだよということを知っていただく。知っていただかないと、守り育てるという機運にはつながらないと思いますので、こういう連携協定というのは市民の方に知っていただくいいきっかけになるのではないかと私自身も思っております。

記者:

 先ほど丸谷市長が触れたところで1つ質問なんですが、今回の協定に関しては、神戸市のほうから協定しませんかという呼びかけがあったんでしょうか。

久元市長:

 また丸谷市長からもお答えいただければと思いますが、8月18日に丸谷市長が神戸市役所にお越しになりまして、前も兵庫県の公館などでお会いしたことはあったんですけれども、改めて御就任の御挨拶ということでお越しになりました。

 そのときに話題になったのが、両市でやっているということが、まずはミシシッピアカミミガメのお話になりまして、そこから話が何かいろいろ発展していきましたね。いろんな、とにかく生き物の話でわんさか話が出まして、ミシシッピアカミミガメにしてもナガエツルノゲイトウの話にしてもイシガメの保全にしても、困る生き物は対応しないといけないし、希少な生き物は保全する。結局これは、そういう生き物が住んでいる里山や川ですね、里山、里海、里地という言葉は、これは丸谷市長から教えていただいたわけですけれども、そういう生息地域というのはやっぱり保全する必要がありますよねとか、そういうことを保全しようと思ったら、そこの活動というものをどう盛んにしたらということが必要なのではないでしょうかねとか、あるいは活動を盛んにしようと思ったら、やっぱり生物多様性の様々な局面を理解してもらうということが必要でしょうね、あるいは子供たちに対する環境教育ということも必要でしょうということで、非常に多岐にわたる話につながっていって、そういうことなのであれば、これは一緒にやれる部分って結構ありますよね。明石市さんではこんなことがされている。神戸市ではこんなことをしていますよということも早速そこでいろんな情報交換が行われたら、似たことをやっているところがあるし、明石市さんはやっているけれども神戸市はやってないということがありますよねとか、いろんな話に発展して、それなら一緒にやったらどうでしょうかということになって、そういうことであれば連携協定というのも1つの方策ということで、その場で何となくそんな雰囲気になったと私は思っています。

丸谷市長:

 私、5月1日に市長に就任しまして、丸谷市政としましては近隣市町の皆さんと仲よくしていきたいなという思いがございまして、神戸市の久元市長のほうにも御挨拶に伺わせていただきました。明石市と神戸市、様々な行政課題がございましたので、そういったお願いもさせていただく中で、久元市長が自然に造詣が深く、また、お話ししていると、子供たちが五感を使って自然の中で体験するということが生きる力を育むことにつながるし、すごく大事なんだというお話も、私が20年近くやってきた、積み上げてきたことを久元市長が言い当てるようにおっしゃられて、本当に驚きましたし、何より自然が大好きで、大事にしたいと思っておられるというのをお聞きして驚きまして、すごくお話も弾みましたし、同じ思いがたくさん共通するところがありました。

 また、これから国際的にもネイチャーポジティブであるとかOECM、サーティー・バイ・サーティーというような考え方をそれぞれ基礎自治体も取り入れていかなければならない中で、明石市だけで完結できるものではありませんので、環境や自然、そして里山の取組も神戸市は先進的にやってらっしゃいますので、一緒にさせていただけると、そんなにいいことはないなということで、こういうお話がどんどんと進んで今日に至った次第で、本当にありがたいなと思っております。

記者:

 あともう1つお尋ねしたいのが、先ほどのいろいろ御説明の中で、やっぱり連携する価値については、例えばナガエツルノゲイトウのお話であったりですと、外来種の対策ですごく効果的なのかなと思うんですが、改めてお二方に、連携協定を締結することによって最も期待したい分野、幅広で連携されていくと思うんですが、特にこういうところの効果であったりとか取組で期待したいところが、それぞれのお考えがあれば伺わせてください。

丸谷市長:

 まずは、神戸市でも様々な活動をされている市民やグループの方もいらっしゃいますので、そこで市民と市民がネットワークでつながっていくというのはすごく大きなことだと思っておりますし、環境学習は、兵庫県の環境体験事業として神戸市も明石市もやっておりますので、そこで何らかコラボができたり、また、シンポジウムということも計画していますので、お互いに市民同士や団体同士がつながっていけるようなことができたらいいなと思っておりますし、明石市の外来生物でも近々の課題はやっぱりナガエツルノゲイトウですので、一緒に防除計画が立てられたり、一緒に防除の活動ができたり、そういうことがまずできたらありがたいと思っています。

久元市長:

 目に見える成果を上げていきたいと思います。そのためには、やはり共通理解が広がっていくということが非常に大事で、既に説明がありましたように、できれば年度内にシンポジウム、これはまだこれから相談する必要がありますが、できれば明石市さんの中で1回、神戸市で1回、1回ずつ両市共催で生物多様性に関するシンポジウムを開いて、そこで、これからどういう方向を目指すべきでしょうかというのを行政が一方的な考え方を示すのではなくて、むしろ、この活動されている方、あるいは生物多様性に関心を持っている市民の皆さんから様々な意見をお聞きして、それを両市のそれぞれの活動や、あるいは連携に反映させていくということ、これをまずぜひやりたいと思っています。

 あとはやはりさっき丸谷市長もおっしゃいましたけれども、今やっぱり子供たちが、これはコロナの影響もあって家の中に閉じ籠もる傾向、それから、そういうこととも関連してスマホ漬けになったりして、リアルな世界から遠ざかっているという面もあります。

 この前も神戸市の総合教育会議でも話題になりましたが、子供たちの体力というのが明らかに落ちてきている。その要因というのは軽々に論じることはできないかもしれませんが、やはり外で体を動かす、特に自然に親しむと、自然の中で体を動かして、人間というのは自然の中であれ、家の中であれ、学校であれどこにあっても五感を統合して世界を把握するということ、そういう存在ですから、そういうような存在から少し遠ざかってきているのではないだろうか。そういうことを考えると、珍しい動物がいなくなっていますよ、何かおかしな動植物が入っていますよ、それに対してどう対応するのかということを超えた価値というものが、これは生物多様性への取組の中にはあるのではないだろうかと。これは非常に大事なことなので、そういうような認識を広げていく、これはやや私の個人的な考え方も入りますが、そういうことが非常に大事で、そういうような価値観が共有されつつ、そういう発露として様々な具体的な活動につながっていく、この連携協定の項目にあるような具体的な活動につながっていくということを期待したいと思っています。

記者:

 これは川が共通するとか、あるいは周辺の生態系が共通して広がっているということが連携協定のきっかけになったということであるかと思うんですが、そうすると、例えばこの協定にほかの近隣の、例えば稲美町であったりとか、加古川市であったりとかに「参加しませんか」と呼びかけることというのは今後あり得るんでしょうかということなんですが。

久元市長:

 これはまた両市で相談したいと思いますが、やはりいきなり広げるという考え方もあるかもしれませんし、もしもそういうような提案がほかの市からあれば、それは真摯に検討したいと思いますが、やっぱりまずは両市で様々な活動をスタートさせるということが重要ではないかと今のところは考えています。

丸谷市長:

 私もこうして神戸市とまず明石市がしっかり連携協定を結んだという1つのモデルになりますので、それで近隣市町の方が関心を持ってくださって一緒にということであれば、また御相談させていただいて、広げていくということは大事だと思っております。

 

記者:

 先ほど丸谷市長のほうから「いろいろなことを一緒にやっていきたい」というような趣旨の御発言が最初のほうにあったかと思いますが、この生物多様性の話以外にも神戸市と進めてみたいことというのがおありだということなんでしょうか。

丸谷市長:

 神戸市と明石市はお隣同士で、様々な行政課題はありますので、神戸市さんに御協力いただかなければ、例えば、道路のことですとか、水道もそうですね、今度阪神水道企業団から水を引きますので、神戸市さんにお世話になります。そういう意味では様々な行政課題の中でいろいろ御協力いただかなければならないこともありますので、仲よく連携協定できたらと思っております。

記者:

 今の道路、水道……。

丸谷市長:

 協定ではなくて連携できたらいいなと思っております。

記者:

 今、道路、水道と挙げていただきましたけど、何かあと1つ、2つ何かありましたら、差し支えなければという感じですが。まだおっしゃれないということでしたらあれですが。

丸谷市長:

 例えば、自然ではなくてでしょうか。

記者:

 何でも結構です。

丸谷市長:

 今のところはそういった形で思っておりますし、自然に関しては例えば、海の問題、海が栄養不足ということもありますので、それはお互いにつながっています。神戸市さんもノリの養殖をされておりますので、海の栄養塩の問題であるとか、本当に隣同士でつながっておりますので、そういう様々な課題は共通するものがあると思っております。

久元市長:

 目の前にある海はもちろんつながっているし、共通した財産ですよね。神戸市も太古の昔から海の恵みを受け取って、神戸に生きる人々は昔から暮らしてきたわけです。その海の環境というものが、これは気候変動の影響もあるかもしれませんが、相当変わってきている。その中の1つが、これは気候変動の影響がストレートにあるかどうかはよく分からないですけれども、やっぱり貧栄養化という問題ですね。これに対してはやはり相当広域的に取り組まなければいけない、これは両市だけの問題ではありませんが、しかし、両市で取り組む問題もあるはずです。

 例えば、先ほど明石さんでは積極的に掻い掘りを行っておられるというお話がありましたが、これはやはり池の中に蓄積された栄養物というものを下流に流し、そして海につながると。これが昔は様々な人々が、様々な集落で、様々な地域で自然に行われてきた。これが行われなくなってきているということですよね。こういう取組も重要です。

 あとは全く違う観点ですが、神戸市の場合には下水処理場の下水処理の在り方ということを見直して、貧栄養化を防ぐのに少しでもお役に立つことができないかという取組を進めています。それ以外にも何かあるかもしれませんね。

 ですから、海の環境というものをよりよいものにしていくということについては、まだほかにどんな知恵があるだろうかということについては、これはまだお互いに知恵を出していく部分があるのではないかと思います。

記者:

 今回の協定をきっかけに今後両市の連携がさらに深まっていくのかなと期待がされているかと思うんですけれども、これまでもアカミミガメに関しては両市の中でも既に連携というのが進められてきた中で、何か目に見える成果とか、何か両市で取り組むことで幅広く対策が取れているといった、何か効果が現れているのであれば教えていただければと思います。

磯部副局長:

 アカミミガメにつきましては、先ほども少し御紹介させていただきましたけども、2017年に両市でアカミミガメ対策協議会というのを発足させました。その後、両市で協力して防除を進めておりまして、昨年度までに両市で1万1,565匹、このアカミミガメを駆除しております。そのほかに、アカミミガメの移動範囲がどのぐらいあるかとか、あるいは在来種のイシガメとの割合がどの地域でどのぐらいあるかというような調査をやっておりまして、そういった知見の積み重ねにもつながっております。流域全体で取り組んでいるということでございます。

記者:

 ごめんなさい、駆除は何匹だったか。

磯部副局長:

 1万1,565匹です。これは2022年度までです。

記者:

 2017年度から2022年度までということですね。

磯部副局長:

 そうです。

記者:

 やっぱり両市でやることによって行動範囲がどこまで広がっているとか、地域ごとのイシガメとアカミミガメとの割合というのをいろいろ調べることができるというのは、やっぱり両市で人員を確保というか、やっぱり両市でやることによってマンパワーも増えるし、じゃ、こっちの区域は明石市さんでやりましょう、こっちの区域は神戸市さんでやりましょうというふうに役割分担しながらできるという効果があるということなんでしょうか。

磯部副局長:

 1つは、おっしゃるとおり役割分担もございますし、また、流域全体で活動している市民団体の方もいらっしゃいます。そういった方の協力を仰ぐ上でも、神戸市は神戸市、明石市は明石市という形でお願いするのではなくて、流域全体として一緒にやりませんかと持ちかけることによりまして、スムーズな協力も得られているんじゃないかなというふうに思っております。

記者:

 連携・協力事項の1つのビオトープの整備に関してお伺いしたいんですけれども、この整備が、両市が連携することでどう効果的に、効率的に整備がなされるのかというのがちょっとイメージがつかないので教えていただきたいのが1つと、あと、ネットワーク化というのはどういうことなのかというのをお伺いしてもよろしいでしょうか。

磯部副局長:

 ビオトープは、その地域に生息・生育する生物が安定的に暮らすことができるという空間づくりを目指して維持・管理していく必要があります。また、里山や河川等の自然環境、そこに生息・生育している生物の生活史等を踏まえた、いわゆる地域の自然環境との連続性とか親和性、要するにその地域にどれだけなじんだ環境にできるかということを検討する必要があります。こうした課題をお互いに共有・議論して、既に幾つか整備されているビオトープもありますけども、そういう活用も含めまして、どういった場所に、どういった形で整備して、どういう管理をしていけばいいかというようなことを検討していきたいというふうに思っております。

 特に、それぞれのビオトープの設置場所の周辺の生態系の情報を踏まえて整備あるいは維持・管理することが必要だと思っておりまして、そのあたりを、例えば、先ほどから何回も出てきておりますけども、流域を共有する、環境を共有する両市が知見を出し合って、じゃ、こういうところにこういう形でやったらいいんじゃないかという検討を進めていくということは有意義なことではないかというふうに思っています。

記者:

 ネットワーク化というのはどういうことを指すんでしょうか。

磯部副局長:

 ネットワーク化というのは、ビオトープは、例えば池みたいなものをそれぞれの場所でつくるわけですけども、それを、ある一定の面的なつながり、生物がビオトープとビオトープの間を移動できるかどうかとか、そういうことも考えて、要するに面的なつながりを意識して整備・維持・管理するというようなことを想定しております。

記者:

 こういった生物多様性に関する協定を隣接する自治体で結ぶということは全国的に見てはどうなんでしょうか。

久元市長:

 全国的には知りませんが、神戸市は三田市さんとの間では連携協定は締結をしました。

記者:

 隣り合うということは珍しいということ、隣り合っている市、川を共有していたりとか、そういう点で今回結ばれるということかと思うんですけれども、そういった点で結ぶというのは、隣同士で結ぶのは珍しいということなんですかね。

久元市長:

 すみません、珍しいかどうかはよく分かりません。ほかの地域のことはちょっとよく分かりません。

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