最終更新日:2024年7月11日
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司会:
それでは、ただいまより、7月1回目の市長定例会見を始めさせていただきます。
市長、よろしくお願いいたします。
久元市長:
よろしくお願いします。今日、お話を申し上げたい案件は3件でして、総合基本計画の策定が1つ、それから、神戸における「本」文化の振興について、3番目に、もう夏休みの季節になりましたので、こどもの居場所づくりについて、この3点をお話しさせていただきます。
前回御質問いただいたところですが、基本構想、そして基本計画の策定です。まず、この神戸市の基本構想ですが、これは神戸のまちづくりの方向性、まちの魅力・理念を示す、一番上位に属する計画です。現在の基本構想は、震災の前の1993年9月に策定をされました。大分年月がたちましたので、現在、まちの将来像、あるいは方向性を描く議論をしております。この基本構想の策定に当たっては、たくさんの皆さんに参画をしていただきました。アンケートも2回実施をいたしましたし、エリア別のワークショップも行いました。市立の小中学校の児童生徒の皆さんに、学習用の端末によりまして、基本構想の策定についてのアンケートにも回答をしていただくと、こういうふうにいろんな方々の意見を聞きながら基本構想の策定を進めております。
現在のこの素案につきましては、神戸市総合基本計画審議会、これは今年度から審議会での議論を行っておりまして、基本構想案のいろんな意見をいただいて、必要な文言の修正を行っています。神戸は、海と山に囲まれた美しいみなとまちです。開港以来、海外との交流を重ね、文化や流行を日本に生みだしてきましたというところから始まる前半の部分は、神戸のまちや人の魅力、先人から紡いできた神戸のまちや人の魅力を記述し、後半については、このような神戸のこれまでの積み重ねを生かしながら、今後目指していくべき未来のまちに向けた方向性を書いているわけです。
今年の12月の策定を目指しまして、7月21日までパブリックコメントを実施しています。このような基本構想の策定と並行いたしまして、2035年に向けたビジョンであります基本計画の策定を本格化させていきたいというふうに思っています。基本計画の策定に向けては、次のページですけれども、1つはウェブによるアンケート、これを実施することにしておりまして、2035年度を目標とする基本計画の策定に向けまして、二次元コードでスマホなどを通じて気軽に回答できるアンケートを実施いたします。
それから、体験型ワークショップというものを実施したいと思っております。これは11月までに10回程度実施したいと思っておりまして、神戸ならではの施設、あるいは取組を実際に体験していただいて、そしてその体験のプログラムの後に、この基本計画の内容に関する議論に向けた意見交換を行いたいと思っております。
1回目は、今想定しているのは、三宮の再整備ということで、職員から説明をした後、三宮クロススクエアやサンキタ広場など実際に歩いていただいて、今後の整備状況を御覧いただく。そして、見学後に意見交換を実施する。こういうことをしたいと思っております。これは1つの例です。ここでは、30名ぐらいの皆さんの定員を予定しておりまして、こういうような体験型ワークショップを10回程度実施したいと思っております。例えば、須磨浦山上遊園といったところが今、想定をしております。
もう1つは、この基本計画の策定に向けて、未来の神戸を想像することができるようなコンテストをしたいと思っております。7月下旬から9月の末にかけてです。これは今のところ、この3つの種類のコンテストを考えておりまして、1つは、10年後のあなたから10年前、つまり現在のあなたに関する手紙を書いてもらう。今の10年後の自分の姿を想像して、そこは今、私はこんな暮らしをしている。神戸はこんなまちで、こういう体験をしているというような、そういう手紙を書いてもらうというのが1つのカテゴリーです。
もう1つは写真です。未来の神戸に残したい、そういうシーンをスマホなどで撮っていただいて、これを投稿してもらうということです。
3番目はデジタルアートです。10年後の神戸を表現したデジタルアートを作っていただいて、これを投稿していただくということです。
文章が得意な方は手紙を書いていただいて、あるいは写真が好きな人は写真を投稿していただくという。デザインやアートが得意な方は、このデジタルアートのコンテストに参加していただく。こういう形で未来の神戸を想像するというコンテストを通じて、神戸の未来の在り方を記述する基本計画の策定につなげていきたいと考えております。
神戸市の基本計画の策定には、ぜひ企業の皆さんにも参画をしていただきたいと考えております。神戸の企業だけではなくて、神戸に思いを持っておられるような企業は、東京などもたくさんありますので、そういう神戸にゆかりの企業、団体、店舗、あるいは個人事業主の方々に協賛をしていただき、協賛の方法は、例えばコンテストの賞品に自社の製品を提供していただいたり、あるいはポスターの掲示や社員の方に参加をしていただくというような、参加を促していただくような広報に対する協力、あるいはいろんな提案もしていただければと思っております。企業などの皆さんの参画をいただきながら、この基本計画の策定を進めていきたいと考えております。
スケジュールですけれども、今申し上げたようなアンケート、それからワークショップ、コンテストをスタートいたしまして、そしてこの12月以降に基本計画の素案を作成する。基本計画の素案については、今年度末、来年の3月ぐらいに素案を公表する。先ほど申し上げましたように、基本構想のほうも並行して作成作業を進めて、11月に市会議会の議決を得て、12月には基本構想を決定したいと思っております。そういう基本構想の作業と並行しながら基本計画の策定を進めていくということを考えております。そして、コンテストの中で、優れた作品については、総合基本計画のプロモーション、あるいはそれ以外の広報媒体にも使えるものは活用させていただくというふうに思っております。
以上が基本計画の策定についてです。
2番目は神戸における「本」文化の振興です。神戸というまちを舞台に、ぜひ進めていきたいということです。本の魅力は、自分にない知識が得られる、経験していないことが経験できるという魅力があります。そして、この本を実際に私たちが手にすることができるためには、書店の存在、それから図書館の役割が重要なところです。日常的に本に出会える拠点としての書店や図書館の役割、そこでは自分とは違う見方に触れることができる場でもあろうかと思います。
よく知られておりますように、本、書店の現状ということを見れば、紙の本の売上げは減少し、電子媒体の売上げは好調です。そういう中で、町なかの書店は減少してきているという状況にあります。そういう中で、神戸には、きらりと光る小さな出版社がかなりございます。個性的で多様な書店がまちの中にあると。私もまち歩きをしておりましたら、たまたまそういう書店を見つけて、入って実際に本を買うということも時々あります。
神戸市は、身近なところで本に触れることができる場である図書館の整備を進めてきました。これはかなり力を入れてきました。新しいスタイルの図書館が次々に神戸市内で誕生していまして、現在では垂水の駅前に垂水図書館を建設中です。
そういうような神戸において、この本の文化をさらに振興させるための取組をこれから幾つか行いたいと思っております。
1つは神戸にあるこの個性ある出版社ですね。この出版社が発行している本の紹介をする。出版社の自身の紹介のパネルでありますとか、あるいは刊行している本を展示する。この出版社紹介コーナーを中央図書館に7月の3日から既に開催をしておりまして、来年3月まで開催することとしております。こういう姿ですね。これは二、三か月ごとに展示を入れ替えることとしております。神戸にも特色のある出版社があって、そして様々な出版、書籍が刊行されているということを、ぜひたくさんの皆さんに知っていただきたいと思っております。
2番目の取組が、これはあした開会式をすることにしておりますが、特別展「絵本の旅」という展覧会ですね。小磯記念美術館で開催をすることとしております。これは神戸で半世紀にもわたりまして絵本の出版をしているBL出版株式会社の絵本、たくさんの絵本が既に刊行されているわけですが、この絵本の中から神戸にゆかりのある作家を含む33人の絵本作家の原画と資料、これを220点展示するという展覧会です。編集者トークあるいはワークショップ、ストーリーテリングなどのイベントを開催して、絵本というものを身近に感じていただきたいと思っております。
神戸はこども本の森がありまして、たくさんの家族連れでにぎわっております。先日も週末に私もそこで開催されたイベントに行きましたけれども、神戸では子供たちに絵本に親しんでもらう、そういう取組をぜひこれからも続けていきたいと思っております。
その次のイベントが、神戸の「本」文化を紹介するカルチャー市です。これは「本」文化などを飲食と一緒に体験をするという取組でして、10月13日に神戸文学館ですね。王子公園の中の神戸文学館で開催をしたいと思っております。書籍の販売を行うほか、地元の出版社による神戸の出版文化に関する講演会、あるいは出版物を紹介するという取組です。このときには、ふだん立ち入ることができない神戸文学館の裏庭の部分、私も行ったことがありませんが、これを特別開放したいと思っております。
さらに11月10日には、中央図書館でトークセッションを開催することとしております。神戸を含む関西の大小様々な規模の7書店が登壇して、この事業展開、それからこだわりの棚づくりなどを紹介する、そういうセッションですね。神戸の書店の中からは1003(センサン)という書店を経営しておられる奥村千織さん、それから、須磨の海浜公園の駅前通りにあります自由港書店の旦悠輔さん、それから、ジュンク堂書店の三宮店長でいらっしゃいます堀内理さんに登壇をしていただきます。
こういうふうに単発のイベントを幾つかやるだけではなくて、もっと腰を据えて神戸での本の文化の振興に向けていろいろなアドバイスをいただきたいと思っておりまして、外部アドバイザーをお願いすることを考えています。北田博充さんですね。北田博充さんは現在蔦屋書店の梅田店の店長をしておりまして、併せて書肆汽水域という出版社も経営をされておられる方です。神戸の出身の方なので、この「本」文化に大変お詳しい方で、実際に様々な活動を行っておられます。この北田博充さんにアドバイザーになっていただいて、今年度、例えば書店や出版社の横のつながり、書店の経営者という方はそれぞれが意外とあんまりつながりがないということが言われております。もうちょっとネットワークをつくれば、「本」文化の振興ということをさらに進められるのではないかという。行政がどう関わったらいいかということも含めたアドバイス、大所高所からの助言、それから、具体的な施策展開についてのアドバイスもいただくものと思っております。
3番目が夏休みにおける子供の居場所づくりです。特に学童保育を充実させていきたいと思っておりまして、その取組です。
学童保育は放課後、小学校の放課後に保護者が働いておられるわけですけれども、小学生が安心して過ごせる生活の場ですね。おやつを一緒にみんなで食べたり、外遊びをしたり、みんなで一緒に宿題をするというような場所ですね。この学童保育は共働き世帯が主流になっている中で、この重要性というのは非常に、さらに高まってきているという状況です。学童保育が行われている場所としては、神戸市には250施設があります。一番多いのは児童館ですが、児童館以外に小学校などで設置される学童保育コーナー、あるいは小学校以外にも設置されることがあります。それから民設の民間学童施設もありまして、神戸市には全部で250、比較的全国の中では充実をしているのではないかというふうに思います。
この学童保育のニーズは高まってきております。特にこの数字を御覧いただきますと、学童保育の利用人数はずっと右肩上がりですね。今年度は申込みが既に終了して、もう学童保育は行われているわけですが、過去最高の1万9,206人の方が、子供たちが利用をしております。
そういう中で、夏休みだけ利用したい。ふだん小学校は授業がありますから、学校が休みになる夏休みだけ利用したいというニーズが従来からあります。そういうニーズに対して、これまでは受け入れてきませんでした。保護者の方が就労で昼間家庭にいない、特に午前中にいないという、そういうニーズが高いわけですけれども、これは受け入れてきませんでした。もちろん通年では夏休みも含めて受け入れてきたわけです。通年利用での学童保育を前の年に募集をいたしまして、そして、翌年の4月から1年間受け入れるということで、通年利用が原則ということで、夏休みだけ利用したいというような御家庭からは受け入れてこなかったわけです。
これを20施設からスタートいたします。もう既に学童保育は行われているわけですから、過密でない施設から行っていくことにする必要があります。そういうところから、まず今年度、20施設を実施するということにいたします。
これは、どうしてこれまで行わなかったのかということなんですけれども、これ、やはり全部の施設に受け入れるというのは、これは無理だと。神戸市の現状では無理で、ところが、一部のところだけ受け入れると、どうしても不公平感が出て、やはりかなり厳しい批判を受けるのではないか。特に現場でも、実際に児童館の担当者などが非常に厳しくお叱りを受けるのではないかということで、実はこれ、予算のときに、これをスタートさせるのかどうか、かなり議論をいたしました。やっぱり、特にこの学童保育のサービス、ニーズが強いので、やはり全市一斉にスタートするということが望ましいわけです。これはまだ少し時間がかかります。やれるところから、やっぱりやるということに踏み切るべきではないかということで、今年度予算に計上いたしまして、まずは20施設から、先ほど申し上げましたように、スタートをいたします。こういう形で、もう既に募集も開始しておりまして、まだ空きがある施設については、引き続き募集も継続をしております。こういう形で、この夏休みの学童保育のニーズに応えていきたいと思っております。
この学童保育以外にも、夏休み中も子供の居場所を充実させていくということが重要です。その1つの場所が、神戸っ子のびのび広場です。これは、学校での遊び、学校で遊んでもらう施設でして、これも放課後の居場所として実施をされてきているわけですが、これは既に夏休みも行っておるわけで、25か所がこれまで行われていたわけですが、今年度は40か所まで拡大をいたします。
それ以外にも、子供たちがいる居場所、子供の居場所としてはこども食堂などがあるわけですけれども、夏休み期間中の開催場所、これもさらに増やすことにしておりまして、今年は子供の居場所308か所のうち304か所で何らかの形での、夏休みでの、子供の居場所というのは、こども食堂、食事を提供したり、あるいはおやつを出したり、それから学習支援をしている場所もありますけれども、そういう子供の居場所を充実させていきたい。
こういうような形で、学童保育、そして、学童保育以外のやり方で、子供たちの居場所、夏休みの場所を充実させていきたいというふうに考えております。
私からは以上です。
記者:
まず、総合基本計画なんですけども、基本構想案という形で、柔らかいフレーズというか、情緒あるフレーズで案がつくられたと思うんですが、市長御自身で印象的なフレーズであるとか、この辺は気に入ったみたいなところが、まだ案ということなんですけども、あれば教えてください。
久元市長:
これは、原案は私がつくったわけではありません。これは、企画調整局が中心に原案をつくって、もう恐らくその原案は相当違う形で、審議会でも何回か議論もしていただくし、審議会にお諮りをする前も、先ほど申し上げたようないろんなアンケートだとか、意見をいただいてつくってきたので、相当これはもう頻繁に変わってきて、今のこれは案なんですけれども、こういうものができているわけですが、私自身は、神戸のまちの姿、神戸はどんなまちなのかということ、それから、神戸が歩んできた道のりというのを、そういうものが分かりやすい、優しい平易な言葉で表現できているのではないかと。そういうような、受け継がれてきたものを大切にしながら、未来に向かって進んでいく、その方向性というものが分かりやすく表現できているのではないかなと。分かりやすく、かつ明確になっているのではないかと思いますから、これもさらに意見をいただいて、先ほど申し上げましたようなスケジュール、11月に議会で議決をいただいて、もちろん、その前には議会でしっかりと御審議をいただくことになるわけですけれども、今年中にこれを決定したいというふうに思っております。
記者:
ありがとうございます。
それと、ちょっと「本」文化の振興なんですけども、神戸の資源として、小さなきらりと光る出版社とか、多様な書店の存在を挙げられたんですけども、例えば出版社の数とか書店数とか、数でなくても、例えばその資源が、神戸の「本」文化の資源となるもの、豊かと表現できるような、客観的なものというのは何かありますでしょうか。
久元市長:
出版社の数、私も同じことを文化スポーツ局に聞いたんですけれども、様々な刊行物が発行している、個人事業主も含めて、かなりたくさんあるわけですけれども、実際、それは何か制度が、裏づけとなる制度があるわけでもありませんし、統計もあるわけでもないので、数をというのは大変難しいというのが、率直なところです。
ただ、相当個性的な書店、それから、大きな書店としてはジュンク堂をはじめ、幾つかの書店が神戸市の中にある。数はかなり減っておりますが、神戸の書店、出版社と書店は、やはり集積というものがあるのではないだろうかと。それは、神戸の広い意味での文化の非常に大事な部分を構成しているのではないかなというふうに感じております。
記者:
ありがとうございました。
もう1点だけ、事業者の書店とか、出版社と行政との連携について、これからアドバイザーとかも入れて検討されているということなんですけども、何かイメージとして、どのような形で行政との連携というのを図れるのかというところをちょっとお伺いしたいんですけども。
久元市長:
例えば、元町のまちづくり会館では、これは古本が販売されておりますね。これも、そういう場所を神戸市として提供しているというところが言えますし、あとは、これまで行ってきた取組としては、直接はあまり行ってこなかったので、今回、経済産業省のほうでも書店の在り方について検討を始めたということですが、我々は実際にまちの中の姿、本屋さんも含めて一番よく分かるわけですから、議論をする前に行動しようと、やれる部分からやっていこうということで、今日御紹介したような、そういう取組をすると。
さらに、私どもはこの「本」文化の専門家ではありませんから、そういう分野に詳しい北田博充さん、私もお話しをして、いろいろとお話を聞かせてもらって、物すごく本についての熱い思いを持っておられる方なんですが、そういう北田さん、北田さんだけではありませんけれども、いろんな方からアドバイスをいただいて、本の文化というものを充実させていけないかと、生活文化の非常に重要な構成要素としてですね。本当は、この書店の数というのは神戸でも減り続けております。これを増加傾向に持っていくというのはなかなか難しいかもしれませんけれども、数ということを目標にするのではなくて、その内容、そして個々の書店が、これからも市民が手に取って見てもらえるような書籍を刊行し続けていってほしい。多くの市民が文字に親しむことができるような神戸のまちであり続けたいと、そういう願いを持ちながら、こういう取組を今日紹介させてもらったということです。
記者:
「本」文化の件についてお伺いしたいんですけども、このタイミング、今年度ないし夏から秋にかけて今回事業を始めるということで、時期的な理由というのは何かあるんでしょうか。
久元市長:
これは文化スポーツ局のほうからの提案ですが、経済産業省のほうでも、これは齋藤大臣肝煎りでそういう検討をスタートさせたということも、これも多分、今年に入ってからだと思いますから、やはり国のほうもそういう方向でやるのであれば、やはりもう我々は、先ほども申し上げましたけれども、まちの中の本屋さんの状況とか、図書館も積極的に整備してきておりますし、内容も充実させていますから、我々がまず、神戸ではこれを具体化することができるのではないか。まず行動から始めてみようと、そういうことでスタートさせることにしたわけです。
記者:
ありがとうございます。
もう1点、学童保育の件についてなんですけども、先ほど、これまで夏休み期間の受入れを行っていなかった理由についてお話があったかと思うんですけども、全部の施設で受け入れるのは無理というのは、これは人員的な配置の問題だとか施設のキャパシティーの問題ということでしょうか。
久元市長:
両方ですね。まず人材です。やっぱり子供たちを実際に見守って必要な対応をしていただく人材が要るわけですけど、これが現時点では、全てのところでやる分の人材が確保できないということと、もう1つはキャパシティーの問題です。
ただ、これはやはり力を入れていかなければいけない分野だと思うので、人がいませんからなかなか無理ですということではいけないと思います。今年度とにかくスタートさせて、その状況を見て、来年度はこれをさらに充実させる。私としては、これはニーズが高い分野なので、できるだけ早く全館で実施できるように取り組んでいきたいと思います。今年度はそのテストケースという位置づけだと考えています。
記者:
ありがとうございます。
この20施設というのは全区ではないということでしょうか。
久元市長:
20施設は、灘が2か所、中央が1か所、兵庫が2か所、長田が1か所、須磨が1か所、垂水が3か所、北が4か所、西が6か所です。
記者:
東灘は?
久元市長:
東灘は残念ながらありません。
記者:
今の学童保育に関連した質問なんですけれども、市長、今御説明の中で、来年度さらに充実させることを考えたいとあったと思うんですが、予算措置として何かやっぱり必要だというお考えを既にお持ちということでしょうか。
久元市長:
これは当然、まず予算が先にありきではなくて、どれぐらいの施設で受入れが可能なのかということが先にあって、やっぱりこれは優先順位が高い分野だと思いますから、それに必要な予算措置を考えていくことになります。
記者:
先ほど人員やキャパの問題に触れていらっしゃったと思うんですが、やっぱり予算とかを考える上で、例えば人員を手厚くするためのインセンティブだったり補助金だったり、そういうことも考えられるということでしょうか。
久元市長:
人員を確保するための予算というのは当然必要ですから、必要な人員確保のための予算はしっかり確保したいと思います。財政的な理由でこの施策を先延ばしにするとか、あるいは、人材を何とか確保できそうで、キャパ的にも余裕があるにもかかわらず、予算がありませんから、これを全部無理ですねというような対応をしたくないということです。非常にニーズが高い分野だというふうに感じているので、必要な対応はしっかり行っていくというふうに思っています。
記者:
ありがとうございます。保護者からのニーズが従来からあったというのは理解するんですけども、施設側のほうからも、例えば夏休みだけでも受け入れてもいいと思っているという声があったんでしょうか。
久元市長:
これは施設側の声というよりも、行っているのが大半は児童館ですから、これは神戸市の施設ですから、神戸市がどういう考えかということだと思います。当然、現場の声はしっかり聞かなければいけないし、大切にしたいと思いますが、これは実施主体である神戸市がしっかり行っていかなければいけないというふうに思っています。
記者:
ありがとうございます。細かいですけど、20施設は全部児童館の学童保育ということになりますか。
久元市長:
児童館と、それから学童保育コーナーと、両方です。
記者:
先ほどの学童の件で、追加で質問になるんですけども、確かにエリアがちょっと偏っているというところで、先ほど出た東灘とかは、そもそも多分、公立の学童も定員的に結構足りてないという認識があるんですけども、そこに対してのいわゆるてこ入れとか施策とか、そのあたり、どうお考えでしょうか。
久元市長:
それは、まず今年度スタートをさせて、東灘では実施されないわけですけれども、ほかの実施した場合の課題とかも検証しながら、東灘でも展開できるように。どこでやるのかとかですね。キャパ的に無理なのであれば、児童館以外の場所が考えられないか。学童保育コーナーでできないか。小学校の中には場所が全くないとは言えないと思いますし、いずれにしても、東灘でもスタートできるように、来年度は検討していきたいと思います。
記者:
いわゆる民間学童というところもあったりとか、外部委託の事業者さんもあったりするんですけども、その辺の検討というのは今年はされたのでしょうか。
久元市長:
いえ、特にしておりません。
記者:
総合基本計画策定プロジェクトの中の体験型ワークショップなんですけれども、三宮再整備と先ほど教えていただきました須磨浦山上遊園ですね。このほかにこういうのは、何となくでも結構なんですけども、考えていらっしゃるプログラムがあれば教えてください。
職員:
今考えているのは子育ての関係で、こべっこランドであったりとか、こども本の森、こちらのほうを早めに開催したいと思っております。あと、それ以外の今後のテーマとしましては、例えば防災といった観点で防潮鉄扉とか大容量送水管なんかの見学を行って、いろいろ御意見をまたいただきたいなというふうに考えております。
記者:
これは、申込みは先着順になるんですか。
職員:
基本的には抽せんで、各回30名ほどで考えております。
記者:
子供もオーケーというか、年齢制限などあるんでしょうか。
職員:
基本的に年齢制限は設けませんが、1団体3名ほどでお願いしたいなというふうには考えております。
記者:
前回の記者会見でも出た質問なんですけども、県の一連の問題についてお伺いしたいです。先日、元県民局長がお亡くなりになりまして、またちょっと違うフェーズに入っているのかなというふうに見えますけども、どうお考えでしょうか。
久元市長:
元西播磨県民局長が亡くなられた、自殺の可能性が高いという連絡を受けまして、報告といってもいいかもしれませんが、正直、大変衝撃を受けました。
記者:
一部、県政がこの一連の問題で停滞しているというような指摘もありますけども、県と市と協力して、その圏域の行政を進めていく上で、この点に関してはどうお考えでしょうか。
久元市長:
これも複数回御質問をいただいて、私としては、やはり兵庫県は独立した自治体ですから、その点ではこれは内部の問題なので、外部の私が何か申し上げる立場ではないというふうに申し上げたところです。ただやはり、おっしゃったような事柄も含めて、この数日間の状況を見ますと、やはり普通ではない事象が続いていて、県政が混乱をしているという印象は、拭いえないかなというふうに思っております。
記者:
先ほど、普通ではない現象が続いて県政が混乱しているというお言葉がありましたけども、何か、具体的にどの部分がとか、どのあたりがというのはありますでしょうか。
久元市長:
やはり、まさにこの問題の発端となった方が、かなりの確率で自ら死を選ばれたということは、私自身大変衝撃を受けました。
それからやはり、県の組合が重大な決断をしてほしいという申入れをされたということも、こういうことは、全くないかどうかというのはよく分かりませんけども、私も長い地方自治に関する仕事の中では、ほぼ耳にしたことがありません。これも普通ではない事態かなと思います。
記者:
一連の、その県の、県知事ないし県の対応として、どのあたりが問題になったというのは、何かお考えがありますか。
久元市長:
問題があるかどうかというのは、これはまさに兵庫県の話なので、部外者が何かを申し上げることはありませんが、しかし、県市協調というのは神戸市の基本方針でありまして、兵庫県からも様々な支援をいただいているところですから、兵庫県政が現在、混乱しているというふうに言わざるを得ない状況ですから、神戸市としては、兵庫県の県政の状況というのを今後とも注視をしていきたいと思っております。
記者:
すいません、今の御質問の関係で、実際、県政がちょっと混乱している状況だという中で、実際、県市の連携で何か影響が出ているとか、そういったことはございますか。
久元市長:
いや、ありません。具体的に影響が出ているということはありません。この前も兵庫県の公館で県市連絡会議が行われていまして、兵庫県と神戸市が抱えている共通の課題についても率直に議論が行われましたし、その後に幹部の皆さんとも意見交換をいたしました。具体的に、兵庫県と神戸市が一緒に取り組んでいる課題、あるいは兵庫県から支援をいただいて神戸市が実施している事業について、影響が及んでいるということはありません。
記者:
分かりました。その連絡会議から想定されるんですけど、やはり大阪の私立高校の無償化の件とかは一番関係するのかなと思うんですけど、議論は進んでいらっしゃるということですか。
久元市長:
もともとこれは連絡会議ではなくて、議長、副議長も入っていただいた調整会議の場で、これは坊議長のほうから問題提起をされたときは、県としては、なかなかそれは、考えることは難しいという趣旨のお答えだったということです。これに対しては、これは神戸としてはやはり、これは神戸市を含む兵庫県全体の話なので、兵庫県にお願いをしないといけないわけですけれども、ただ、お願いをするだけではやはり不十分だという思いから、これも相当議論しましたけれども、神戸市内の高校生が神戸市内の高校に通う場合に、通学定期を無償化するということを行うと、予算計上いたしました。神戸市もここまでやるので、兵庫県として対応をお願いしたいということを従来から申し上げてきたわけですけれども、この前連絡会議の場で、兵庫県のほうから、関係者を含めた検討の場をつくるというお話がありましたので、これは前進だと受け止めております。ただ、その答えがあったのはついこの前ですから、これを具体的にぜひ進めていただきたいというふうに考えております。
記者:
先ほどの県のお話の関連ですけれども、公益通報もされていたということで、一般論で結構ですけれども、公益通報者の保護という観点で、市長のお考えをお聞かせいただけますか。
久元市長:
これはまさに兵庫県の内部の問題ですから、公益通報のあり方について、公益通報をどういうやり方をされているのかとか、事実関係は承知しておりませんから、これは、私から何か申し上げることは、兵庫県のことについては申し上げる必要はありませんが、神戸市としては、この公益通報の窓口は内部ではなくて完全に外部に設置をしておりまして、通報の状況については詳しく報告は受けておりませんが、これは適切に機能しているのではないかと思います。
記者:
ちょっと話題が替わるんですけれども、先日、高知市のほうで、プールの子供の事故がございましたけれども、もう夏休みの時期にも入ってしまうところではあるんですが、ちょっと、これは特殊事例と見るかどうかという議論はあると思うんですが、何か受け止めというか、お考えがございましたら伺いたいんですけれども。
久元市長:
プールの事故は、これはとにかく、関係者が全力を尽くして防止をしていかなければいけないと思いますし、特にこれは教育委員会のほうで、その辺の対応はしっかりやっていただいているというふうに認識をしております。
記者:
あともう1点、ごめんなさい、今年も暑い夏が来ると見込まれますけれども、熱中症対策について、これまでも取組をやっていらっしゃると思うのですが、今後の対応を含めて御見解を伺えればというふうに思います。
久元市長:
熱中症の対応は、やはり熱中症をできるだけ防いでいくということが大事で、それは個々人の体調、それからもちろん年齢にもよると思いますから、これは、それぞれ気をつけながら行っていく必要があるというふうに思います。
同時に、そもそも夏の気温が相当高くなってきている、異常高温になってきている。異常高温対策と言われますけれども、これはもう異常なのではなくて、気候変動の影響によって、かつてよりも夏の気温が上がっている。つまり超高温状態が常態化しているということだろうと思いますから、そこは一過性の対応ではなくて、腰を据えてしっかりやらなければいけないだろうというふうに思います。
やはりこの気候変動への対応というのは地球規模でやらなければいけないので、そのときに取るべき態度としては、一自治体とか一企業がやっても効果がない、というのも1つの態度ですね。しかし、そういう態度は神戸市としては取るべきではないので、やはり神戸市としても、国の対応や、様々な企業の対応をしっかり見ながら、そして連携をしながら、この気候変動への対応をいかにすれば脱炭素化を図ることができるのか。
水素エネルギーの利活用、これも神戸市はかなりパイオニア的に進めている都市ですし、カーボンニュートラルへの対応も、これも実際に前に進めています、こういう対応ですね。
もう1つは、やはり大都市としてのヒートアイランド現象、これをどう防いでいくのかということを考えたときに、やはり特に市街地の地表温度を下げる努力をしていかないといけないんだろうと。やはりできるだけ、特に道路の舗装を広く、こういうところの舗装の在り方を今までのような普通のアスファルト舗装ではなくて、舗装をやり替えるときにできるだけ熱を持たないようにする。できるならば神戸の山から産出される木材チップ、竹チップなどを取り込んだ舗装して地表温度を下げていくということが重要だと思います。
建設局はこの辺は非常に問題意識を持って取り組んでくれていまして、東遊園地のむき出しのグラウンドを、今、相当苦労して芝生化し、さらに去年は東遊園地をリニューアルいたしまして、芝生を広げ、また新たな植樹をし、そして舗装のやり方も少し変えています。これを実際に地表の温度をはかると、芝生化をし、それから、木陰の下の地表温度というのは相当下がっています。場所によっては10度からそれ以上、たしか18度とか言っていたかもしれません。かなり下がっています。これは地道なようだけど、こういう取組をやっていかないといけないと思います。これから舗装をやり替える場所は、原則としてそういうやり方で舗装をする。舗装技術というものを民間事業者の皆さんと一緒に研究をして、この前、職員技術研修所をオープンさせましたけど、そういうところでもフィールドワークをやりながら、そういう研究を職員の皆さんがアカデミアや企業の皆さんと一緒に進めて地表温度を下げていく。
それから一部では、従来から神戸の地下水を使った散水をしていますけれども、これがどれだけ効果があるのかということは、これはなかなか難しいですけれども、やっぱり諦めずにそういうことにトライしていかないといけない。そういう腰を据えた対応をしっかりやって、そして市民の皆さんには熱中症にならないように気をつけていただくということが大事だと思います。
もう1つは、よくテレビなどでは「不要不急の外出を自粛してください」と言われる、それは分からないでもないんですね。しかし、みんながみんなエアコンの効いた部屋の中でのんびりしていれば社会が回りませんから、こういう危険が高い時期であっても工事はしなければいけない、物は運ばなければいけない、バスは運行させなければいけない、救急車は走らなければいけない、ごみは運搬しなければいけない。そういうような社会にとって不可欠な仕事をやっている方々の健康、安全ということにやっぱりもっと目を向けるべきではないかという気がしております。神戸市はそういう関係の職員がたくさんおりますから、そういう職員の安全や健康、労働環境の改善にはしっかり従来以上に取り組んで、熱中症にならないようにしなければいけないだろうと思いますし、神戸市が発注している工事については、発注先のそれぞれの会社で、工事現場でそういう取組をしていただくように、無理な工期を設定しないようにしておりますし、そういう取組をする。
それから、もちろん民間企業においても、やっぱり暑い中でも懸命に仕事をしている働く皆さんの健康ということに目を向けていただくということも大事ではないかと感じています。
記者:
先日行われた都知事選について伺いたいと思うんですが、選挙制度の在り方であるとか選挙活動について、立候補者数も56人で多く、いろんな議論が生まれたところかと思うんですけれども、そのあたりの活動の在り方であり、制度の在り方について、もしお考えがあればお願いします。
久元市長:
あの選挙結果はですね、本当は東京のことしか考えない、東京さえよければいい、地方は消滅、少なくとも衰退に結びつくような施策を展開している小池都政というのを終わらせてほしかったと思いますけれども、特に石丸さんの一極集中の是正というのは非常に共感を覚えましたし、頑張ってほしかったと思います。残念でしたけれど、石丸さんは健闘されたのはよかったと思っています。
選挙制度についての議論は、これは実際に東京での選挙の話で報道されているところでしか分かりませんが、少なくとも公職選挙法のルールを改正しなければいけない、そういう議論が当然、選挙制度の議論というのは政党が主導して、実務を担う総務省が必要な意見を申し上げながら、政党が中心に進められることになります。選挙のルールを変えることができるのは国会議員だけです。地方選挙のルールも地方議員がこれには関われないんです。国会議員しか関われないということですから、ここは政党が主導してしっかり、少なくとも有権者から見れば眉をひそめるような事象というのが多々起きたわけです。そういうルールというのをしっかり議論していただく必要があるのではないかと思います。
記者:
今の質問に補足で伺いたいのですけれども、地方衰退に結びつく小池都政を終わらせてほしかったとおっしゃっていましたが、市長のお考えとしてはどこら辺の東京都の施策が地方の衰退につながっていると受け止められたのでしょうか。
久元市長:
とにかくあり余る財源を使って、月額5,000円の現金を18歳以下の人にばらまくとか、それから介護人材にしても、これは全国的に非常に不足している、とにかく膨大な金を使って介護報酬の上乗せをするようなやり方、あるいは高校無償化も東京都が単独でやっている。ほかにもいろいろあるかもしれない。とにかく東京に必要な人材を集めるために、あり余る財源を使って今やりたい放題やっている。周辺の自治体も大変これは迷惑すると思うんですよね。これは周辺の自治体だけではなくて、地方からも今でも不足をしている介護人材とか、あるいは子育ての人材なんかがやはり東京に行くという傾向にさらに拍車がかかる。人口戦略会議が消滅可能性自治体というものを発表して、消滅するかもしれない自治体はどうするのかというようなそういうことも一切考慮しない。まさに東京さえよければ、東京さえ栄えればいいというような施策をやっているような都政というのは、やっぱり少なくとも地方から見たときには、これは極めて遺憾ですし、何とかしていただきたいとは従来から思っておりましたので、そういう意味では今回の都知事選挙は大変残念です。
記者:
やはり東京都はほかの自治体と押しなべて考えるべきではなくて、財源が全く違うから公平な競争でというのは成立しないというお考えということですか。
久元市長:
東京都知事選挙では、そこは少なくとも東京のことだけを考えるだけでいいのかという問題提起を少なくとも石丸さんからは出されたわけで、これは意義があると思います。ですから、こういう論点も含めて今後都政の場において、東京というものの存在が、その政策が東京だけではなくて周辺の自治体のみならず、全国の自治体に大きな影響を与えるという観点からも含めて、これは知事におかれても、あるいは都議会におかれても、そこはしっかりお考えいただきながら都政を進めていただければありがたいと思いますし、やはり首都東京の税財政制度の在り方という、これやはり国が制度をつくっているわけです。そういうことも含めた議論というのはやっぱり国のほうでもしっかりとやっていただきたいと思います。